2020年は芸能界もコロナ禍に大きな影響を受けた。春にはドラマの撮影が数ヵ月にわたりストップ。放送延期が相次ぎ、一時は再放送だらけに。そんな中、深夜ドラマや配信ドラマでは、若手俳優の積極的な起用が目についた。そこで次はプライタイムで主役級をうかがえそうな輝きを放つ逸材が注目を浴びた。

◆バラエティなどでも活躍中の次世代国宝級イケメンNo.1 神尾楓珠

　『ViVi』の名物企画『NEXT国宝級イケメンランキング』の2020年上半期で1位に選ばれた神尾楓珠。東京出身の21歳で、デビューは高2だった2015年。当初からイケメンぶりは知る人ぞ知る存在で、2019年は上半期、下半期とも2位だったが、連続ドラマ3本でレギュラー、出演映画4本が公開などと活躍した今年、知名度もいっそう高まった結果だろう。

　昨年、話題を呼んだドラマ『3年A組 −今から皆さんは、人質です−』（日本テレビ）で、男女とも有望な若手が生徒役で集結した中、自ら命を落とした水泳部のエース（上白石萌歌）に想いを寄せていたマネージャー役で目を引く。深夜ドラマ『左ききのエレン』（MBS・TBS）では、才能の限界に悩む広告代理店のデザイナー役で、池田エライザと共に初の主演を務めた。

　今年に入ると、同じマンションに住む幼なじみの高校生5人の恋愛ドラマ『鈍色の箱の中で』（テレビ朝日）に出演。屈折した感情を持ち、男子も含む他の4人全員とキスするという衝撃的な役だった。『ギルティ〜この恋は罪ですか？〜』（日本テレビ）では、新川優愛が演じる主人公の務めるファッション誌編集部のバイト役。彼女を慕っているように見えたが、実はその夫への復讐のために近づいてきたという、これまたシビアな役どころを演じた。

　演技において、そのイケメンぶりは存分に活かされている。『ギルティ』の前半、バイトで大学生の寺嶋（神尾）が8歳年上で結婚している莢（新川）への好意を匂わすところは大人の女性視聴者をときめかせ、その分、復讐という目的を露わにしてからの冷徹さとのコントラストでインパクトを強めた。特に神尾のシャープな目力は、画面越しでも引き込んで離さない強さがある。かと言って、ただ“イケメンがいる”というような浮き方をしないのは、演技として人物造形の持って行き方が的確だからに他ならない。

　『3年A組』以前から、『アンナチュラル』（TBS）7話での自殺してしまう高校生など、陰のある役の印象が強めだったが、『いいね！光源氏くん』（NHK）では金髪に赤メッシュを入れたチャラいホストを演じた。また、『THE MUSIC DAY』（日本テレビ）内で放送された『矢沢永吉特別ドラマ』では若き日の矢沢に扮したりと、役幅を広げている。

　一方、若者に大人気の恋愛リアリティーショー『オオカミくんには騙されない』（AMEBA）ではスタジオで初めてMCを担当し、生放送の情報番組『ZIP！』（日本テレビ）で12月の月替わり金曜パーソナリティーを務めたりも。バラエティでは飾らない爽やかさと人懐っこさが出て、さらにファンを増やした。
　2021年には、少女マンガ原作の配信ドラマ『マイルノビッチ』で桜井日奈子とW主演を務める。地味な女子高生を変身させていくラブストーリーで、世の女性たちをますますトリコにしていくのは間違いない。

◆『わたナギ』子犬系後輩キャラで新たな一面を見せた眞栄田郷敦

　父が千葉真一、兄が新田真剣佑という血筋を持つ眞栄田郷敦は、20歳になった今年、“おじキュン”で人気を博したドラマ『私の家政夫ナギサさん』（TBS）にレギュラー出演した。ドラマデビューした昨年の『ノーサイド・ゲーム』（TBS）では、ラグビーチーム再建の切り札となるニュージーランド帰りの選手役で、精悍な顔立ちとも相まってヒーロー感を漂わせていたが、『わたナギ』では一転。製薬会社の新入社員で、主人公・相原メイ（多部未華子）の部下の瀬川遙人役で、世間知らずなイマドキの若者というキャラクター。メイを苛立たせて仕事で失敗もするが、素直で勉強熱心でもあるため、憎めない。

　コミカルなシーンもあり、眞栄田自身が「子犬のようなキャラクターを目指した」と言う通り、ネットでは「可愛い」といった反響が多く見受けられた。スピンオフの配信ドラマ『私の部下のハルトくん』では主演をつとめ、オリジナルストーリーで、先輩の天馬あかり（若月佑美）との恋愛模様を織り交ぜながら、よりコメディ色が強まり、眞栄田の新たな一面が発揮された。

　同じく地上波と配信で展開されたスペシャルドラマ『あと3回、君に会える』（カンテレ・フジテレビ）では、人の背中に人生であと何回出会えるか数字が見えるという役で、ミステリアスな雰囲気を漂わせてもいる。

　年明けには、木村拓哉が警察学校の教官を演じる『教場2』（フジテレビ）に訓練生役で出演。さらに地上波ドラマ初主演となる『星になりたかった君と』（日本テレビ）も放送される。人生につまづいて大学を休学中の役で、心臓病を患う少女に心を惹かれていくラブストーリーだ。映画でも『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』や『東京リベンジャーズ』が2021年に公開予定。

　キャリア2年にも関わらず、硬軟問わず堂々とした演技ぶりは、やはり出自の良さもあってのものか。183cmの長身ということもあり、立ち居振る舞いにも天性のカッコ良さが漂い、テレビやスクリーンの画面に映える。出演作はさらに続くと見られ、大ブレイクは近そうだ。　
　

◆「おじカワ」「恋する母」で知名度アップ17歳新人・藤原大祐

　10代では、今年彗星のように現れた17歳の藤原大佑が注目の的に。『おじさんはカワイイものがお好き。』（読売テレビ・日本テレビ）で、眞島秀和が演じる主人公の甥役として、ドラマに初のレギュラー出演。アメリカ育ちで日本の大学に通うために帰国し、家が見つかるまで居候する設定で、つぶらな瞳の圧倒的な美少年ぶりに、女性視聴者たちがSNSで「可愛い」「天使」などとざわつく。ソファーで居眠りするシーン、風呂場のシーン、猫と戯れるシーンなどもあって、その可愛さをより際立たせた。実は少女マンガ家を目指しているという役柄も、イメージとハマっていた。ドラマ自体、全5話ながら、渋くて仕事もできる中年課長が実は犬のキャラクターなどカワイイものが大好きで……というストーリーがウケて、話題になったこともあり、藤原の存在も広く知られる結果に。

　中学時代に原宿でたびたびスカウトされ、母親が知り合いに渡した写真がアミューズのスタッフの目に止まり、オーディションを経て昨年所属したばかり。今年、『おじカワ』の前には配信ドラマ『中3、冬、逃亡中。』に出演。性的虐待を受けて義母と父親を殺害し、孤独な30代の独身女性（壇蜜）と共に逃亡するという、ハードな役を演じている。

　秋ドラマでもプライムタイムの『恋する母たち』（TBS）にレギュラー出演。木村佳乃が演じる主人公の息子役で、幼い頃に父親が失踪してから、母親と二人暮らしをしていた。やさしい良い子だが、記憶喪失になっていた父が現れ、母は父の駆け落ち相手の元夫と再婚。めまぐるしい状況の変化の中で、父と祖母と共に暮らすことを選んだ。

　3人の母親たちのドロドロ気味の恋愛ストーリーの中、藤原に奥平大兼、宮世琉弥と新進俳優たちが演じる息子3人が清涼剤となっていた。木村は藤原のことを「めっちゃ可愛い。完全にノックアウトされています」とインタビューで語っていたが、テレビを観ていた母親世代にも同じような想いを抱かせたようだ。
　そんな藤原だが、現場では新人ながら物怖じせず、自分の意見を堂々と発言したりしているとのこと。2021年もまだ高校生。同世代の先陣を切る活躍が期待される。

　2021年には彼らより少し上の世代の吉沢亮が大河ドラマ『青天を衝け』（NHK）に主演する他、定番の朝ドラや特撮シリーズから世に出た俳優たちもひしめく。だが、20歳前後の若手勢には、そこに割って入る勢いを感じさせる。

文／斉藤貴志