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2019/08/12 11:51
舞台『転校生』、オーディションで選ばれた42名の若手キャストの稽古大詰め
オールオーディションキャストで上演される、平田オリザ・作、本広克行・演出のパルコ・プロデュース公演『転校生』(8月17日〜8月27日/紀伊國屋ホール)。女子校版、男子校版各21名(全42名)の俳優たちが、17日からの本番に向けて連日稽古に勤しんでいる。
『転校生』は1994年に青山演劇フェスティバルで上演されて以来、“高校演劇のバイブル”と言われている戯曲。ある高校生たちの一日を、同時多発の会話で描き、他愛のない日々の会話のなかから、彼らの日常と社会への好奇心、大人たちへの不信感、将来への不安感を描き、人間の存在の不確かさが浮かび上がらせる…そんな時代を超えた普遍性を持った作品となっている。
今回は初の男子校バージョン、女子校バージョンでの上演となり、18歳から25歳までの男女を経験不問で募集。応募総数は2128名にのぼり、オーディションを経て男女各21名のキャストが選ばれた。子役から活動している者から、新人、劇団員、タレント、フリーの役者まで様々な出自のメンバーが顔を揃えた。
稽古場には本番と同サイズのセットに、学校の机と椅子が並べられている。セットの横の「相手の台詞をよく聞いて 大きな声ではっきり台詞を言う」と大書された貼り紙が目に飛び込んで来る。“同時多発の会話”によるリアリティを演じるためには、とりわけ大事なことなのだろう。
稽古の始まりには、男女キャスト42人全員で発声。拍手をしながらリズムを合わせて声を出し、ウォーミングアップしていく。この日は男子校・女子校それぞれの通し稽古。台本の流れは男女ともほとんど同じだが、恋愛や、家族、出産、生命、自分の存在についてなど、話題に対するリアクションにはおのずと差異が生まれる。そんな違いを楽しんで観比べるのも面白いかもしれない。
教室を表す舞台装置への、様々な生徒たちの出入りがもたらす変化も見どころ。それだけに、キャストの入り方、待ち方にも細心の注意が払われる。「入り方がパターンになっている」「待っているときの佇まいは自分らしく」と、演出の本広氏から指示が飛ぶ。また、前回公演のZeppブルーシアター六本木とは、かなり異なる造りのステージとなるため、本広氏も客席からの見え方をチェックしていた。
パルコ・プロデュース『転校生』は8月17日〜8月27日、紀伊國屋ホールにて上演。