5月1日より上演される、俳優・東啓介と女優・青野紗穂が出演するNew Musical『Color of Life』。5日、都内スタジオにて稽古が公開された。

　本作は、ニューヨークで開催されるオフ・オフ・ブロードウェイの国際演劇祭で、演出家・石丸さち子ちと音楽家・伊藤靖浩のタッグで初演され、最優秀ミュージカル賞、最優秀ミュージカル演出賞、最優秀作詞・作曲賞、最優秀ミュージカル主演女優賞の4部門を受賞。2016年には日本語で日本初演を果たし、第24回読売演劇大賞上半期「作品賞」「演出家賞」ベスト5にノミネートされ、高い評価を得て、2017年に再演された感動作。

　この物語の主人公は、大震災以来、画題を見失ってしまった画家の男・和也と、心から愛した同性の恋人を病で亡くしたばかりの女優・レイチェル。ある日、二人は飛行機で偶然隣あわせになり、惹かれ合い、N.Y.の彼女の部屋で一緒に暮らし始めることになる。二重国籍で同性愛者の彼女と、絵を描くこと以外に世界とつながる方法がなかった彼は、相手に向き合い、自分と向き合っていくうちに、パレットの上で混じり合う絵の具のように、人生が響き合い、新しい色が生まれていく。でも、やがて観光ビザの決めた90日の猶予が近づいてきて……という物語。

　この日公開されたのは、和也とレイチェルが飛行機内で出会うまでの冒頭のシーンと、和也がレイチェルとともに暮らし始め、幸せを噛み締めつつ、それぞれが自分と向き合い始めるという2つの場面。

　まずは、恋人を亡くし、悲しみの底にいるレイチェルが歌うナンバー「空っぽの部屋」から幕開け。最愛の人とのつらい別れで泣き果てたレイチェルの思いを青野が魂込めて表現。カメラを構えながらもその歌声、姿に胸が締めつけられ、一気に作品の世界観へと引き込まれた。続いて、震災以降、絵が描けなくなってしまった画家の和也が歌う「Color of Life」が披露される。高音の優しい歌声から始まり、だんだんと感情を高ぶらせながら、東がまっすぐに歌声を届ける。

　1場面終わるごとに石丸は二人の傍にいき、台本片手に「ここのビブラートはもっと細く、サーチライトのように歌って」、「ここはあくまでも"怒り"じゃなくて自分を探しているから」と指摘しながら実際に歌ってみせて、歌詞の裏側に隠されている本当の意味や思いなどを事細かに伝えていく。東も青野も石丸から次々と生み出されるその言葉たちを一つも逃さぬようにと、真剣な眼差しで必死にくらいついていた。

　そして場面が変わり、和也がレイチェルの部屋で一緒に暮らし始めて一週間後の朝のシーンへと移る。自身の腕枕で寝るレイチェルの寝顔を見た和也が、彼女との生活に喜びを見出す「しあわせ」を披露。人懐っこい笑顔と心が温まるような歌声、さらには身振り手振りを加え、"しあわせ"を表現する東に思わず笑みがこぼれる。

　続いて、レイチェルがオーディションを受けるシーン。一生懸命、オーディションの審査員に自己紹介しアピールしつつも、その裏で「どこの誰がそんなに簡単に自己紹介なんてできる?」「どこの誰がそんなに簡単にわたしのことがわかる?」と、自身のアイデンティティについて迷い、そして苛立ちを見せるレイチェルの心の叫びを表現したアップテンポなナンバー「Who Am I? Who are You?」を青野が熱唱。さきほどの「空っぽの部屋」とは打って変わって、鋭い眼差しとパワフルな歌声で魅了する。青野が歌い終えると石丸も思わず拍手を送っていた。

　キャスト2人だけで紡がれていく物語ながら、稽古場はとにかく熱気に満ち溢れていた。ミュージカル界のニュースター2人がフレッシュかつエネルギッシュに演じる中、石丸がセリフや歌詞１つひとつに込められた思い、台本には描かれていないそれぞれのバックボーンや景色なども二人に細かく具体的に提示し、想いを共有していきながら丁寧に作り上げていく。

　東京公演がスタートするのは、ちょうど新元号「令和」の幕開けとなる5月1日。新しい時代の始まりとともに、新時代を担う若手二人が本番の舞台上で、どんなカラフルな物語を紡ぐのか、期待が高まる公開稽古だった。

　そして、キャスト二人からのコメントも到着。東は4度目となる石丸とのタッグについて「石丸さんとご一緒させていただくのは、4度目なので、求められることのハードルがどんどん上がっていると感じています。そのおかげで新しい自分が見つかるかもしれないな、と感じています」と明かし、「ものすごく繊細なお芝居なので、そういった部分と、身体を大きく使って見せる部分との差を求められています」と吐露。

　レイチェル役の青野に対しては、「青野さんはすごくレイチェルっぽいんですよね。石丸さんが『私の想像を超えるペアを見つけたい』とおっしゃっていたので、二人で頑張りたいと思います！」と宣言。さらに「今日、稽古場をご覧になってお分かりだと思いますが（笑）、歌もお芝居も、今苦しんでお稽古している最中です。是非劇場で、この作品を通して成長した姿をご覧いただきたいです」とアピールした。

　一方の青野は、「この作品はひと言でいうと、出会いの物語だと思っています。なので、稽古場でも石丸さんに出会った事、東くんに出会った事を、毎日新鮮に感じるようにしています」と述べ、「今はまだ発展途上ですが、自分が自分であり自分でない。時の数える幸せなどを、ご指導していただきながらレイチェルを探しています。いつもピリっとした緊張感と、そこに生まれる幸せを噛み締めています!」とコメントを寄せた。

　New Musical『Color of Life』は、4月26日(金)相模女子大学グリーンホール 多目的ホールでのプレビュー公演を経て、5月1日(水)〜27日(月)までDDD青山クロスシアターにて上演される。また、上演を記念してアフタートークイベントも決定。相葉裕樹、納谷健、上口耕平、松岡充、三津谷亮、三浦涼介が登場し、ここでしか聞けない舞台裏トークを繰り広げる。

【公演概要】
New Musical『Color of Life』

脚本・作詞・演出：石丸さち子
作曲・編曲：伊藤靖浩
出演：東啓介 青野紗穂

◆プレビュー公演
日程：2019年4月26日(金)
会場：相模女子大学グリーンホール 多目的ホール
料金：6,000円(全席指定・税込)

◆東京公演
日程：5月1日(水)〜27日(月)
会場：DDD青山クロスシアター
料金：8,000円(全席指定・税込)

≪アフタートーク≫
・5月3日(金・祝)17：00公演／ゲスト：相葉裕樹
・5月4日(土・祝)17：00公演／ゲスト：納谷健
・5月9日(木)19：00公演／ゲスト：上口耕平
・5月15日(水)19：00公演／ゲスト：松岡充
・5月17日(金)19：00公演／ゲスト：三津谷亮
・5月22日(水)19：00公演／ゲスト：三浦涼介
※司会進行は全日程、東啓介が担当。

◆公式サイト https://coloroflife.westage.jp/