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2018/10/23 11:53
松田凌「本作は平成きっての謎ではないかと思う」、西田大輔の映画監督デビュー作「ONLY SILVER FISH」完成披露上映会
映画『ONLY SILVER FISH −WATER TANK OF MARY’S ROOM』の完成披露上映会が22日、都内で行われ、松田凌らキャスト陣が劇中衣装で登壇した。
本作は、舞台「煉獄に笑う」や「戦国BASARA」シリーズの人気舞台演出家・西田大輔の映画監督デビュー作で、2018年1月に紀伊國屋ホールで上演された舞台「ONLY SILVER FISH」と同じ出演者が、設定は同じでも、登場人物も全く異なる別のストーリーに、別のキャラクターとして登場する。この日の舞台挨拶には、松田をはじめ、皆本麻帆、玉城裕規、高柳明音(SKE48)、伊藤裕一、山口大地、小槙まこ、双松桃子、辻本耕志、中村誠治郎、川本成、西田大輔(原作・脚本・監督)が出席。
本作で映画監督デビューを飾った西田監督は「本作のことだけでなく、人生においても、ようやくこの日が来たな、という思いです。俳優と新たな挑戦をもう一つ上のスケールでやっていきたいという想いがあって、これは始まりの扉であるような気がしています」と心境を語り、「笑えるだけの作品や泣けるだけの作品が世の中にたくさん溢れているので、そこで皆の顔色を伺ってもしょうがないなと思って、ちょっと挑戦的な、かっとんだ作品を作ってみました」とコメント。
さらに「1回で分かった人いないんじゃないかなと思うような映画なんですけれど、睨みつけて見ていただければと思います。舞台は舞台のために作られたものですから、せっかく映像で物を作るとなった時に、『絶対に映画でしか作れないものでないといけない』という想いがありました。これは舞台ではできないでしょうし、舞台版と映画版の完全なるジャンルの違いをやってみたかっというのもあります。(舞台版と映画版と同じキャストに出演してもらいましたが)あえて全然違う役をやってもらっています」と作品への想いを明かした。
黒ネクタイの男役の松田は「ここまで"緊張"の2文字はなかったんですけれど、この作品が生まれ、ついに皆様の元に届くんだなと思うと、ものすごく緊張してきました。胸騒ぎがあるように思います。新しい扉が今日、この作品から生まれると思うので、本日も刮目して観ていただければと思います」と述べ、自身が演じた役柄について「黒ネクタイの男を演じるにあたって、一番は我慢をしたかなと思います。本作は目には見えない空気感が大事なものとして画に残っていて、この人はどう思っているんだろうというのを顔やセリフから感じ取られないように、できるだけ自分の全てを抑えて演じました。なので、我慢を軸として演じました。その我慢と言う文字が最後にはどうなっていくかを注目してもらえればと嬉しいです」と語る。
ユキ役の皆本は「この作品がお客様にどのように受け入れてもらえるのか、すごく緊張しているんですけれど、楽しんでもらえたらなと思います。撮影現場では、おかしな人が沢山いる中で、一生懸命それを感じ取ろう、受け取ろう、見逃すまいと思いながらユキとしていました。」と回顧。白ネクタイの男役の玉城は、「演じるために心がけたこと」を聞かれ、「ないですね」と一言答え、笑いを誘う。そして、「あまり深く考えずに、新鮮にいようかなと思いました」と語った玉城に対し、MCが「ありのままということですか?」と突っ込むと、「素ではないですからね! ちゃんとお仕事をしておりますので」とジョークを飛ばしつつ、「舞台とは別作品なので、舞台のことは全く無視で映画をそのまま見てください。楽しんで観てもらえたらなと心から思います」とアピール。
同映画にちなみ「過去に戻れるのならどうするか?」と聞かれた、チョーカーの女役の高柳は、「アイドルになるくらい(の時期)に戻って、もうちょっとアイドルの姿を徹底して、今頃総選挙で1位になっていたらなと思います。残念ながらなれなかったので。これから何かで1位になれるように頑張ります」と抱負を明かしていた。
赤ボールペンの男役の伊藤は、「極限状態にある人たちって、心拍数も違えば、しゃべるスピードも違ってくるだろうし、そういうものを隠そうとかっこつけているんだけどかっこつかない、というのが僕の役の魅力なのかなと思いました。かっこよく見えなかったらそれが正解です」と演じる上で心がけたことを述べ、「今回の『ONLY SILVER FISH』の舞台で西田さんと初めてだったんですけれど、照明効果にこだわりを持っている方だと思っていまして、明かりや色のこだわりがこの映画でも随所に出てくるので、それを見逃さずにご覧いただければと思います」と見どころを語る。
トランペットの男役の山口は、演じた役について「この作品に出てくる登場人物って変わった人たちが集まっているんですけれど、その中でも飛び抜けて狂気を放っている役柄でして、なるべくナチュラルに狂気を放つことを心がけました。狂気を放とうとすると、それは嘘になってしまうので、隠そう隠そうとしても隠しきれないという人物にしようと役作りをしました」とコメント。バレッタの女役の小槙は、「みんなの表情や感情を見るようにしました。あと、台本の初見の感情をすごく大事にしました。撮影は、寒かったので、みんなで毛布にくるまって雑魚寝したりしていたイメージです」と振り返った。
ドーナツを食べる女役の双松は、「ドーナツを食べている女の子ってかわいいイメージがあるじゃないですか? ツインテールだし。でもかわいくない役を演じました。ドーナツを手から離している時がなくて、ずっと胃もたれをしていました。」と苦笑いを見せる。ハンドグリップの男役の辻本は、「気弱なおどおどした感じなんだけれど、ちょっと鍛えたりしていて、エッジが効いたキャラクターだったので、やりすぎてもみなさんのお芝居の邪魔になるしどうしようかなと思っていたんですけれど、よくよく考えたら自分と似ているところがあるなと思って、自分の中の気持ち悪い自分を出した感じです」と明かし、「舞台版と映画版は全然違うものなので、『あの芝居をやっていた人がこんな芝居をやるんだ』とその振り幅を見ていただければ、みなさん役者冥利につきるのではないかと思います」と想いを吐露。
銀コインの男役の中村は、「西田さんが狂った作品を作りたいとのことだったので、質問したら『何も考えずにやれ』とのことだったので、何も考えずに、自我を捨てて、普段の自分とは違い、おとなしく、我慢するような感じでやりました」と話し、「映画の撮影現場では、舞台で演出するいつもの西田さんと違って、(最初は)わからない部分もあるというような感じだったんですけれど、慣れていくスピードが尋常じゃなく、撮影2日目の方がアイデアが出たりだとか、すごい人だなと改めて思いました」と感心しきり。
「心がけたこと」を聞かれた懐中電灯の男役の川本は、「セリフを噛まないということと、セリフを間違えないということと、衣装をちゃんと着るということ」と答え、会場は大爆笑。「『映画は1回映ったものが一生残るから、1回に全てを賭ける』でなく、せっかくだからそれを含めて楽しみたいな、良い意味での適当感を持ってやろうかなと思いました。」と真面目に話し、「ちょっと役者っぽく説得力を出そうかなと思って」と言って、再度会場を笑わせていた。
最後に松田が、「聞いていただいた通り、おかしな人たちで映画を作りました(笑)。平成という時代は終わってしまいますが、恐らく本作は平成きっての謎ではないかと思います。みなさんそれぞれの答えがあるでしょうし、映画は何度も見れるものなので、振り返りもできます。人生もそうですけれど、映画にとっても、西田大輔さんの初監督したこの作品が世の中にとっての最大の謎であれるよう、みなさんに届けばと思います」と呼びかけ、舞台挨拶を締めた。
映画『ONLY SILVER FISH−WATER TANK OF MARY’S ROOM』は、11月24日(土)よりシネリーブル池袋にて公開他、全国順次公開。