乃木坂46のキャプテン・桜井玲香と日本舞踏家で女優の藤間爽子がW主演をつとめる、舞台『半神』が11日より東京・天王洲 銀河劇場にて開幕。初日公演に先駆けて、公開ゲネプロが行われた。

　数々の名作を世に送り出してきた漫画家・萩尾望都による異色の傑作短編漫画『半神』をもとに、萩尾と劇団夢の遊眠社時代の野田秀樹が共同で舞台脚本化し、誕生した戯曲『半神』。醜い姿ながら、物覚えが早く高い知性をもった姉・シュラ（桜井）と、何をしても姉にはかなわないものの、他人の愛を一身に受ける美しい妹・マリア（藤間）という、体がつながった結合双生児姉妹の数奇な運命を描く物語。1986年に、劇団夢の遊眠社で初演されて以降、88年、90年に上演、さらには99年には演出に大胆に手を加えNODA・MAPで再演し、注目を集めた。

　今回、演出を手がけるのは、劇団「柿喰う客」代表・中屋敷法仁。2006年の旗揚げ以降、劇団の全作品の作・演出を手がけるほか、舞台「黒子のバスケ」、舞台「文豪ストレイドッグス」シリーズなどの2.5次元作品まで、数々の作品に脚本家・演出家として関わり、頭角を現す注目の次世代クリエイター。初演から30年以上の時を経て、次世代を担う才能が新たな解釈と演出で、今を生きる若いキャストたちと共に現代の"人間"そのものを描く。

　キャストには、結合双生児の姉妹を演じる桜井と藤間をはじめ、舞台「黒子のバスケ」やミュージカル『刀剣乱舞』などの2.5次元舞台や、『ジャージー・ボーイズ』『手紙』『アメリ』などの本格ミュージカルでも活躍中の太田基裕が先生役を演じるほか、スフィンクス役に牧田哲也、父役に福田転球、老数学者／老ドクター役に松村武など、多彩で個性豊かなキャスト陣が集結。

　痩せこけて醜い容姿ながら高い知能を持つ姉のシュラを演じる桜井は、「幕が上がってからは、一気に駆け抜けていく、まさにジェットコースターの様な舞台です。ご観劇いただく皆さんには、最後までしっかりとついてきて頂きたいです！」と語り、「最終的に遊びゴコロを芽生えさせるところまで行くことが目標なので、自分が持つパワーの全てを使って、双子の姉であるシュラを演じたいと思います！」と意気込みを語る。

　一方、誰からも愛される美しい容姿だが知能が低く話す事もできない妹のマリアを演じる藤間は、「中屋敷さんの演出はとにかく動く動く動く！ たくさん動きます。観客の皆様をひかせてしまうくらい、とんでもない演出を生み出す方です。大変なこともあったけれど、ピンクパンサーのぬいぐるみに毎日見守られながら笑いの絶えない楽しい稽古場でした。お稽古中、どんな時も1番に役者を信じてくれていたので、私は安心して自由にマリアを演じることができました」と稽古を振り返り、「私にとって初めての舞台。『緊張や不安でいっぱいです』と言いたいところですが、全く不安はありません！ 何故ならシュラがいつも横に一緒にいてくれるから！」とコメント。

　先生役を演じる太田は、「中屋敷さんの稽古場は、僕は二度目だったのですが、相変わらずテンションと発想とが混沌とする稽古でした」と明かし、「『半神｣は難解な戯曲ですが、何か人間の根底にあるものがふつふつと湧き上がるような作品だなと思っています。いよいよ初日を迎えます。不安など、未知な部分がたくさんあります。しかしお客様に僕自身の想いや美学が伝えられるように精進していきたいと思います。楽しんでください」と呼びかけた。

　そして演出を手がける中屋敷は、「『半神』という原作がはらんだ複雑怪奇な迷路。そこにさまよう俳優たちの姿が、醜くも美しい。音楽にDE DE MOUSEさん、振付にスズキ拓朗さんという気鋭のクリエイターをお招きし、演劇らしい魔法と詐術が絡み合う、不思議な亜空間が誕生した。目撃されるすべてのお客様の「人生」という劇世界が、さらに豊かに広がることを願っている」とコメントを寄せた。

　舞台『半神』は、7月11日（水）〜16日（月・祝）まで天王洲 銀河劇場にて上演。その後、大阪公演が7月19日（木）〜22日（日）まで松下IMPホールにて上演される。