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2018/06/23 10:01
主演映画が続く注目の若手俳優・高杉真宙、役者業の魅力を吐露「ゴールが見つけづらい分だけ楽しめる」
『武士道シックスティーン』や『ストロベリーナイト』など幅広いジャンルで活躍する人気作家・誉田哲也による小説を実写化した『世界でいちばん長い写真』が、いよいよ本日6月23日より公開される。消極的で人生の目的を持てずにいた少年・宏伸がギネス記録を持つパノラマカメラと出会い、モノクロだった人生が鮮やかな色に変わっていくという、実話を基にした青春ムービーで主演をつとめた高杉真宙に、本作の見どころや撮影エピソード、役作りのこだわりなどを語ってもらった。映画『虹色デイズ』、『ギャングース』などの主演作が控える高杉が思う、役者業の魅力、楽しさとは!?
【映画『世界でいちばん長い写真』主演・高杉真宙インタビュー】
◆「正解やゴールが見えない職業だからこそ、常に自分の限界を決めないようにしています」
――最初にオファーを受けた際の心境から聞かせてください。
「僕は、こういう、なんでもないような日常の中でちょっとずつ変わっていく青春もののストーリーが好きなんです。しかも、実話から生まれた物語と実際にある<世界でいちばん長い写真>を伝えることができる。歴史ものもそうですけど、昔からあったものを再び“伝える”っていうのは、役者としてやりたいことの1つでもあるので、今回、こうやってお話をいただけて嬉しかったです」
――脚本を読んで、主人公の高校生・宏伸はどう捉えました?
「宏伸は消極的で、言いたいこともなかなか言えなくて。やる前からなんでも諦めてしまっている子という男の子で。根本的な部分で僕自身と似ているんじゃないかなって思いました」
――似ていますか?
「そうですね。今の自分とは違いますけど、中学生の頃の自分と似ているというか、“あ、わかるな”という部分がすごく多かったんです」
――その役柄はどうやって作っていきましたか? 役者を目指す人たちが読んでいる媒体でもあるので、できるだけ具体的にお伺いしたいんですが。
「基本的に、僕自身は台本が全てだと思っているので、そこからどう付け加えていくかだと思うんです。今回に関して言えば、台本には、消極的で、やりたいことをやらずに逃げるとか、手を挙げられないような子というようなことが書いてあって。それに、あっちゃん(竹中温子/武田梨奈)と三好(三好奈々恵/松本穂香)っていう気の強い女の子がいる。身の回りにできる女の子たちがいるために、より自分に自信がなくなっている男の子で。そういう環境下で自信のない子はどういう風になっていくんだろうと考えたんです。台本に、どもっていたりすると書いてあったので、どもりを入れたり、自分自身としては、気の弱さや自信のなさを表すために、宏伸っていう子を小さく見せたいなって思いました。そこから、小さく見えるにはどうしたらいいかなということを考えて、猫背にしてみたり、うつむきながら人の目を見ずに喋ったりとかしていました。そうやって、いろいろと自分の中で考えながらやっていきました」
――本作の現場はどんな雰囲気でした?
「胸を張って言えるくらい、すごく仲の良かった現場だったと思います。知多半島でオールロケだったんですけど、今回泊まらせていただいていたホテルの一階に談話スペースがあって。そこで、撮影が終わった後に、誰が声をかけるわけでもなく、自然とみんなで集まったりしていました」
――武田梨奈さん演じる従姉妹の温子と松本穂香さん演じる写真部の部長の三好。宏伸の周りは本当に気の強い女性ばかりでした。
「僕自身は、どちらかというと、自分の意思がはっきりしている人に魅力を感じますし、お互いに鼓舞し合って、高め合っていく関係性が理想なので、気が強い方は素敵だなって思います」
――宏伸は、パノラマカメラに出会ったことで変わっていきます。今まで見ていた日常の風景も違って見えるようになっていきますよね。
「自分にとって何気ない日々の中で綺麗なものを見つけようとする姿はやっぱりカッコイイなと思いましたし、大きな一歩だなと思いました。宏伸の周りの子たちからしたら、ほんの小さな一歩なんでしょうけど、宏伸からしたら、それはすごく大きな一歩で。夢中になれるものが1つできたことで、きっと世界は全く変わって見えたんだろうなって思いますね。また、そういうのにどこで出会えるのかわからないなとも感じました」
――高杉さん自身は、自分の考え方や物の見え方までも変えてしまうような出会いはありましたか。
「僕はやっぱり、この仕事だと思います。自分にとって、かけがえのないものになりましたし、純粋に楽しいと思えることの1つになっているので。もしもこの仕事と出会わなかったら、ここにいることもなかったし、いろんな作品やいろんな人とも出会えてなかったとも思うので、本当に出会えて良かったなって思います」
――それは仕事を始めた最初からそう感じていました?
「いや、そんなことはないですね。経験を積み重ねていったことで、だんだんと変わっていったんだと思います。最初の頃は……もちろん、必死にはやっていましたけど、どうやっていいかわからないから、楽しむっていう気持ちはなかったです。楽しいよりも、大変だなって思うことの方が多かったので、途中から好きになっていきました」
――特に転機になったなと思うお仕事は?
「『ぼんとリンちゃん』(2014年9月20日公開)という作品かな。小林(啓一)監督に出会ったことが僕にとって大きな転機になりました。撮影の前に3ヵ月くらい稽古があってその後、約1ヵ月の撮影があって。役でいる時間も役を考える時間も長かったというのが、そのときの自分にとって大きかったなと。それによって、役作りの楽しさを知りましたし、そこから役についてより考えるようになって、楽しくなっていきました」
――その作品あたりから、高杉さんの顔つきも変わったというか、年齢的なこともあるかもしれませんが、中性的なイメージから、グッと男らしく変化したように思います。
「本当ですか? 嬉しいです。自分自身、男っぽくなりたいと強く思っていた時期でもあって。当時は中性的なイメージというのが、わりとコンプレックスでもあったんです。どうにかして男っぽくなりたいと思って、いろいろとやったりしていたんですよね」
――では最後に。今の高杉さんが思う、役者の“楽しさ”というのは、なんでしょう?
「何が楽しいのかと問われると、言葉ではなかなか答えづらいんですけど。自分は本当に楽しいっていう感情だけでやらせていただいているので、なかなか伝えづらいんですが、正解やゴールが見えない職業だからこそ、常に自分の限界を決めないようにしています。ゴールや目的が誰かの言葉で決まると、自分もそこでいいやとなっちゃうので、あまり聞かないようにしていて。自分の評価は自分で決めて、自分のゴールは自分で見つけたいなと思っている。その見つからなさ具合が楽しいというか、見つけづらい分だけ、楽しめるんじゃないかなと感じていて。答えになっているかわからないですけど、今後も自分の天井を決めないようにしていこうかなと思っています」
映画『世界でいちばん長い写真』は、6月23日よりシネ・リーブル池袋・イオンシネマ全国順次ロードショー。なお、高杉真宙のインタビュー全文は、オーディションサイト『Deview/デビュー』に掲載(下記リンク参照)。
【高杉真宙インタビュー全文】
https://deview.co.jp/X_topinterview_180621