『子役の登竜門』と呼ばれる、丸美屋食品ミュージカル『アニー』2018年公演のアニー役Wキャストに、新井夢乃（あらい・ゆめの／11歳）と、宮城弥榮（みやぎ・やえ／11歳）が決定。2018年4月21日〜5月7日に新国立劇場 中劇場で上演される本番を前に、稽古に臨む2人に話を聞いた。

■新井夢乃＆宮城弥榮インタビュー

――稽古が始まりましたが、本番に向けてエンジンがかかってきましたか？

弥榮「歌の稽古の時は“アニーに出るんだなぁ〜”っていう気持ちでしたが、振り付けの稽古に入ってから、“これは本当に舞台なんだ！”って気合いが入りました。よりいい舞台にしたいと思いました」

夢乃「昨日の振り付けの練習は『ハードノックライフ』で、私の大好きな曲なので、アニーって楽しくていいなって改めて思いましたし、他の孤児の子たちも一緒にいて、いつも楽しいので、すごく幸せです！」

――二人がミュージカルの世界に進んだきっかけは？

弥榮「私は5歳からタップダンスを習っていたんですが、その先生に薦められた教室にミュージカルクラスがあって、歌やお芝居も楽しそうだなって思って受けてみたら、本当に楽しくなってきて、今はミュージカルを習っています。アニーのオーディションは自信がなかったんですけど、精いっぱい自分を出してみようと思って挑戦しました。2017年の時はタップキッズが無くなっていたので、ダンスキッズで受けたんですけど、そのときは落ちてしまって。次、頑張ってみようみたいな感じで2018年に応募しました」

夢乃「ミュージカルを観るのも好きで、5歳の時からお芝居と歌のスタジオでレッスンを受け始めました。受けているうちにどんどん楽しくなってきて、色々なオーディション受けて舞台に立ちました。アニーのオーディションは、1回目はモリー役の年齢で受けて落ちちゃって、オーディションが難しい舞台なんだなということが分かって。でも2018年はアニー役として挑戦するから受かるぞ！って思って、自信を持って受けました」

――ミュージカル『アニー』の舞台に触れたのはいつごろですか？

夢乃「5歳くらいのときに2012年のアニーを観たのが最初です。その時はまだちっちゃくて内容も全然わからなかったんですけど、何回か見ているうちに、モリーがすごく目立っていて“いいな”って思ってオーディションを受けたんです。しばらくして、2017年のアニーを見た時に、セットもいっぱい変わっててなんかゴージャスっていう感じで。アニー役って出番もいっぱいあっていいなって思ってチャレンジしました」

弥榮「2016年のアニーを観たんですが、初めて見たミュージカルがアニーだったので衝撃を受けて、次の年にはもうミュージカルの世界に入りました。友達が2017年のアニーになったので観に行ったら、作品のスタイルがガラッと変わってて、“こんなアニーになったのか！”ってそこでもまたびっくりして。私も頑張ってみようと思って今回応募しました」

――オーディションで記憶に残っていることは？

夢乃「ワークショップの審査（身体表現、ダンス、『ハードノックライフ』の歌を組み合わせた即興性と想像力が問われるもの）が凄く難しかったです。（広崎）うらんさんに“みんな失格！”って言われて、自信なくしちゃって。“あ〜もうだめだ〜”って思って。でも、結果発表で自分の番号があって、すごく大泣きしたので、いい思い出になりました」

弥榮「私はすごく緊張していても、周りからは緊張してないように見えるってよく言われる人で。歌の審査の時、内心すごくガチガチだったんですけど、演出の山田（和也）さんに“緊張しなくていいからね”って優しく言ってもらって、すごく緊張がほぐれたのを覚えています」

――アニー役に合格したと聞いたときの心境は？

夢乃「オーディションは気合いを入れて自信を持ってやっていたんですが、本当にその夢が叶うとは思っていなかったから、嬉しい気持ちが溢れてきて、泣いてしまいました」

――弥榮さんは泣いていませんでしたね。

弥榮「みんな泣いてるんだけど、私1人だけ泣いてないから“大丈夫かな”って思いました。実は受かると思ってなかったからびっくりしすぎて“えぇ！”みたいな感じで実感が湧いていなかったんです。本当に実感が湧いたのは、ポスターの写真を撮影するとき。衣裳やヘアメイクも全部やってもらったので、“これで私はアニーっていう作品に出るんだな”っていう気持ちが湧いてきました」

夢乃「私は会見の時も実感が無くて、本当に実感が湧いたのは稽古が始まってから。何か信じられなさすぎて…。稽古場で、孤児の子たちもみんな来て、歌合わせをしたりしたときに、本当にやるんだって思ったんです」

――Wキャストでアニーを演じる、お互いの印象について教えてください。

夢乃「弥榮ちゃんは、優しくて心強くて。いつも笑顔なので、近くにいるとついつい笑っちゃうみたいな感じです。面白いところもあって、私が変なことすると、それに対して変顔してきたりするので、お互いに笑っちゃいます」

弥榮「オーディションの時、みんなが夢ちゃんのことを見て、髪の毛の下の部分がちょっと茶色いので“かわいいねー”って言ってたのを覚えてます。合格発表のときにめちゃくちゃ泣いてたので、すごく泣く子なんだなって。CD用に『トゥモロー』を録音したときに、リズムをとるのがノリノリですごく面白いなって思いました」

――会見で会ったキャストの方々の印象はどうでした？

夢乃「白羽（ゆり）さんは、声もきれいで優しくてふんわりとした人で、なんかいいなって思いました。藤本（隆宏）さんは優しくて、すっごい気持ちを込めて歌います。辺見えみりさんは、制作発表のときにすごくかわいがってくれて、たくさん話しかけてくれました」

弥榮「藤本さんはすごく優しくて、話も合わせてくれます。制作発表の時に二人で絵しりとりをしてたんですけど、それを藤本さんが見てて“それなに？”って話しかけてくれたり。白羽さんは凄く歌声がなめらかで、聞いてたらなんか気持ちいいなって思いました」

――今回はサンディ（犬）も変わるんでしょう？　2人とも動物は好き？

2人「はい！」

弥榮「昔犬を飼ってたんですけど、パピヨンで、ちっちゃいやつでした」

夢乃「猫を飼っていました。スコティッシュフォールドで、猫だからサンディに比べると全然小さいです」

弥榮「新しいサンディも結構大きいです。立ったら弥榮の身長くらいあるし、飛び跳ねたらもっとぴょーんっていくので、初めて会った時は怖くて全然動けなかった。でも今は言うことも聞くし、落ち着いてる時はブラッシングもします。でもこの前は、ブラシかけてる途中でいきなり起き上がって走り回っちゃって。朝だったのでなんか張り切ってるみたいでした」

――アニーの役の好きなところや、自分と似ているところはありますか？

夢乃「アニーはなんでも前向きに考えて、強い心を持っていて優しい子なので憧れています。私もイライラすることがあっても、周りに優しく接するようにしているところが近いかな」

弥榮「アニーの明るい性格が私に似てるなって思いました。なんでもいい方向に、例え辛いことがあっても、それを反対のいいことに考えるっていうアニーの考え方がいいなって思っていて。自分も、嫌なことがあっても“大丈夫、次！次！”とか、アニーらしくするようにしています」

――ミュージカル『アニー』で好きな歌や場面は？

夢乃「全部好きなんですけど…前は『ハードノックライフ』だったんですけど、最後の『ニューディール・フォー・クリスマス』、希望と愛のクリスマスって歌うあの曲がすごく楽しくて盛り上がります」

弥榮「私は『ハードノックライフ』が好きで、舞台を見ててもモップを床に突き刺したり、バケツとかいろんな道具が出てくるので楽しいです」

――アニーの本番に向けて期待しているところは？

夢乃「稽古場では本番用の衣裳を着て出来ないので、舞台に上がって衣裳を着られるのがすごく嬉しいし、楽しみです」

弥榮「アニーの衣裳はドレスみたいな感じで、くるくる回るとスカートがふわーって広がるので、写真撮影のときに2人で“せーのっ”って回って遊んでました（笑）」

――今回の舞台で観てほしいところはどこですか？

夢乃「私はお芝居が得意なので、ロケットのシーンを見てほしいです。ちょっと泣けるっていうか、気持ちを入れられるように頑張ります」

弥榮「私は芝居は好きだけど上手ではないと思うんですが、元気いっぱいのアニーにするのでパワーを貰ってもらいたいです」

丸美屋食品ミュージカル『アニー』は2018年4月21日〜5月7日に新国立劇場 中劇場で上演。8月より、全国ツアー（福岡、大阪、新潟、名古屋）公演あり。