全国の高校生・中学生と、世界中の“声優”を目指す若者が集う“声の祭典”「第六回　国際声優コンテスト『声優魂』」が19日、ゲートシティ大崎ホールにて開催された。1500通のエントリーの中から、ファイナリスト25名（2名欠席）が最終審査に挑み、最優秀賞には、鳥取県出身の高校1年生・木村美言（きむら・みこと）さんが選ばれた。

　一般社団法人 国際声優育成協会が、声優プロダクション、アニメ製作会社、メディアなどの協力を得て、『声の祭典』として声優の世界をめざす若い才能を応援するために開催している『声優魂』。今年は、書類選考を通過した全国の中高生と、東北大会、近畿大会、鳥取大会、九州大会の各地区大会代表、そして海外からのエントリー「インターナショナルカテゴリー」の代表を合わせたファイナリストが最終審査のステージに上がった。

　最終審査は、現在放送中の、高校のアニメ研究部を舞台にしたアニメ『アニメガタリズ』の映像を使用。ステージ上で4人一組のアフレコレッスン形式で行なう『アフレコ審査』、そしてボイスドラマの台本を3人一組で演じる『掛け合い台詞審査』という2つの実技審査を実施。現役の声優や音響監督（声の演出の責任者）、アニメプロデューサーらが審査を行なった。審査では厳しめの指導も飛んだが「皆さん上手いので、プロと同じテンションで審査してしまった」と審査員も認める出場者のレベルの高さだった。

　今回、最優秀賞を受賞した木村さんは、鳥取大会の優勝者として出場。高校では演劇部と執行部に所属するなど積極的に活動しており、少し大人びて凜とした声、ステージで映えるビジュアルも印象的だった。アフレコ審査、掛け合い審査でも役柄を的確に把握して演じており、普段心がけていることについて「声優やお芝居の仕事って、伝えることが一番大事だと考えているので、その日あった出来事を母親に説明するときにも、頭のなかで整理して順序だてて説明したり、このときはどんな感情だったんだろうかとか、こういう言い方なら伝わりやすいかなとか、考えながら話すことを意識しています」と語るなど、意識の高さも評価された。

　木村さんは「鳥取大会もレベルが高くて、みんなの夢への本気度が心に残っていたんですが、今回、控え室に入った瞬間、空気が違う！って思いました。本気で声優になりたいとかじゃなく、なる！って覚悟を決めているような空気感でした」と振り返る。そして「それが私にものすごくプレッシャーを与えましたが、刺激も受けました。皆さん個性が強く、演技力も声もすごく良いので、私が何で闘えるのかということを、改めて考えさせられました」と、周りの熱気に、自身のレベルも引き上げられたことを明かした。

　木村さんが声優という仕事に興味を持つようになったのは、声優・梶裕貴がきっかけ。「友達に“梶裕貴さんって知ってる？”って勧められて、アニメを観てみたら“なんだ、この人！！”ってなりました。演技力の幅ももちろん、アドリブ力だったり、イベントの語彙力も凄いと思いました。臨機応変な対応力は、自分に欠けている点だと思っているので、そういう点は見習って吸収して、目標にしていきたいと思う人です」。

　そして今後の目標として「声優になって活躍できたとき、“好きな声優は誰か？”って聞いたら、私の名前を言ってもらえるような、インパクトのあるマルチな声優を目指しています」と語る木村さん。「声優は、自分と全く違う人生を歩むことが出来ることができるのが魅力だと思っています。普段大雑把で、いつもうるさい感じの自分とは逆で、全く架空の世界で別の人生を歩んでみたいです」と夢を語った。

　なお第六回 国際声優コンテスト『声優魂』では、優秀賞に長崎県出身の高校1年生・中村鈴々花さん（なかむら・りりか）、兵庫県出身の高校2年生・延次莉衣奈さん（のぶつぎ・りいな）、インターナショナルカテゴリー入賞に王イカンさん（中国／埼玉県在住）、Sandy Chia-Hua Chengさん（オーストラリア他／東京都在住）、DHIRALAKSH ORNCHAMAIさん（タイ／東京都在住）、Reina Burkhalterさん（スイス）が選ばれた。