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2017/05/01 18:58
『第十一回声優アワード 新人発掘オーディション』22名の声優の卵が夢の切符をつかむ
才能ある声優の卵を発掘・育成する『第十一回声優アワード 新人発掘オーディション』が今年も文化放送メディアプラスホールにて3月18日に開催された。1000通を超える応募者のなかから最終選考に出場した39名が、今持てる力と、これまでに培った個性を出し切って合格を目指した。審査の結果、22名の声優の卵たちに声優事務所のスカウトの札が上がった。
『声優アワード 新人発掘オーディション』は、年度毎に印象に残る活躍をした声優を称える『声優アワード』の誕生とともに産声をあげ、今年11回目の開催。当日は事前に行われた声優事務所による一次選考を通過した39名が集結。同日に授賞式が行われ、名だたる声優が登壇する『第十一回声優アワード』と同じステージを使い、自己PR・テキストリーディング・2人1組での掛け合い台詞・質疑応答の最終審査が行われた。
自己PRでは、自分のキャラクターを解説したり、ダンス・歌などの特技を披露したり、なかにはポルトガル語での自己紹介、ボイスパーカッション、殺陣といった自分が持つ個性・武器を思う存分にアピールしていった。
続く掛け合い台詞審査では、当日渡された2分程度の台本を2人1組で演じる。短い練習の時間のなかで、どの話を選び、声のキャラに合わせてどちらの役を演じるかを決め、キャラを理解し、舞台背景を設定するなど、相手との息を合わせるだけでなく、細かい演技プランも考える必要がある高度な内容だ。
審査員からは、どんな設定、関係性を作って、どのように演じたかなど、演技プランについての質問も飛ぶ。声を操る技術だけでなく、想像力や順応性、対応力といった、声優に求められる能力が、短い時間の審査で見極められているように感じた。
すべての審査が終わると小休憩をはさんで審査結果へ。例年通り1人ずつステージに登壇し、客席に座る多数の声優事務所の審査員が、スカウトを希望する出場者に対して札を上げる形式で行われる。幸運にも札が上がると、緊張から一気に解放され、喜びを爆発させる参加者たち。毎年大きく明暗が分かれるステージ上だが、この経験は必ず次のステップに繋がるはずだ。
今年は22名の合格者が誕生。演技経験の少ない候補者にも多数の札が上がるなど、声を素材と伸びしろが重視されている印象も強かった。合格者は今後『ドラフト会議』のように各事務所と所属に向けて交渉に入る。合格者が口にしたように、このオーディションでスカウトされた声優のタマゴたちの大きく成長した姿が見られるのを期待したい。
■『声優アワード 新人発掘オーディション』合格者Pick Upインタビュー
■金田真秀(かねた・まほ)/22歳・神奈川県出身。
芝居経験は「2日」とほとんどないが、独特の低音に魅力。審査員も芝居のセンスを評価していた。4社からスカウト。現在は大学生4年生で休学中。
【受賞の感想】
「周りの方は何年も演技を学んできた上手い方ばかりだったので、自分の番ではすごく緊張しました。全然まだまだ下手くそなので、これから追いつき追い越せで活躍できるように頑張りたいです」
【オーディションの出来は?】
「自分としては周りの方との差を痛感しましたし、合格をいただけたのは、のびしろや期待値を込めてだと思うので、僕に札を上げてくださった方の期待値を超える努力をしたいと新たに決意しました。今日は相手役の方にも助けられたと思います。すごく可愛い感じの声の方がお相手をしてくださって、僕は声が低い声なので、その対比も良かったのかなと思っています(※相手役も無事に2社スカウトを獲得)」
【声優を目指したきっかけは?】
「1日20時間ぐらいテレビの前にいるぐらいテレビが大好きで、テレビ局への就活をしていたんですが、面接官や受験者と話をしているうちに、自分は出て行く人間になりたいと感じて、昨年8月ぐらいからオーディションを受け始めました。声優を意識したのは、たまたま『Re:ゼロから始める異世界生活』をリアルタイムで観て、感動するシーンに心打たれたのがきっかけ。自分の中で思っていなかった演技やアニメの展開が魅力的で、改めて“テレビってすげえ”って思って。そこで声優について調べ始めて、思い立ったら即行動の勢いで申し込んで、そのままの勢いでここまで来ました」
【これからの目標】
「今の声優には幅広い仕事が求められていて、声や演技、話し方の技術だけでなく、アニメのキャラクター越しに声優さん自身に価値が見出されていると思っています。もし自分がキャラクターを演じたとき、キャラクターを透かして見た僕がカッコ悪かったら申し訳ないし、観ている方、作っている方に迷惑をかけると思うので、いわゆる演技面だけじゃなくて、自分自身が本当に人から好いていただいて応援していただける人になりたいと思っています」
■西本のどか(にしもと・のどか)/21歳・大阪府出身
古着めぐりが好きで、この日もパーカーとダメージジーンズで参加。現在は上京してアルバイト中。ちょっと不思議なアクションが可愛らしいが「天然だねと言われますが、自分ではわかりません」。
【受賞の感想】
「札が上がった瞬間は“どこの方とご縁があるんだろう”と、一歩先の楽しみにワクワクする一方で、“しっかりしていかなきゃ”という気持ちを改めて持てました。大谷郁江さんや矢島晶子さんのように、しっかり心の底から演技が出来る声優さんになるために、感受性や、様々なことを考えていく能力をつけていかなければいけないって思いました。これからの人生が楽しみです。死ぬときにスパイスになるように…」
【オーディションの出来は?】
「緊張した状態で出し切れたのが自分の100パーセントだと思うので、100点っていいたいところなんですけど…今後もまだまだ伸ばせる部分があるっのも確かなので、80点と希望をこめた20点で100点ですかね」
【声優を目指したきっかけは?】
「自分はあまりにも声が独特で、周りからからかわれることが多くて嫌だったんです。それで内に内にこもっていく自分が嫌で、だったらネガティブなポイントを自分のチャームポイントにしてやろうと思って、声優の養成所にいこうと。そう考えることができたのは、声優オーディションを受けている友人の影響です。私、中学ぐらいまでアニメのキャラクターはキャラクター自身が喋ってると思ってたので(笑)。本当は高校を卒業してから行くつもりだったんですが、お父さんが“お前が行きたい世界は、そんなに計画立てて行くようなところじゃないだろう!”ってハッパをかけてくれて、その日のうちに養成所のパンフレットをもらって申し込みました。16歳ぐらいから初めて、大阪と東京の養成所でレッスンを2年ずつ受けていました。レッスンを受けるうちにだんだんとお芝居が大好きになって、声の芝居をしたいという一本に絞りました」
【これからの目標】
「声優の仕事は多岐にわたると思うんですが、お芝居であることを忘れずに、悲しいからどんな声が出る、嬉しいからどんな声が出るということをちゃんと勉強していけば、声の可能性はすごく広いと思います。それをいつも胸に置いて努力したいです。将来的には子供たちに好かれるキャラクターの声をやりたいです」
■三川華月(みかわ・はるな)/19歳・香川県出身
芝居は独学でレッスン経験なし。地元の大学に通う大学2年生。ナレーションでの綺麗な日本語に高い評価。
【受賞の感想】
「周りの皆さんが自己PRでパンチのあることをするなかで、私は演技経験も全然無くて、アピールすることもなかったんですが、今自分ができることを精一杯した結果、たくさんの方に札を上げていただけました。上げてもらえた嬉しさとともに、そのプレッシャーに打ち勝ちながら、これからどんどん現場で経験を積ませていただいて、どんどん成長できる声優になりたいと思います」
【オーディションの出来は?】
「一つのキャラクターになりきって演じるということがまだ分かっていなくて。どこかで素の自分で演技しているというのがありました。(審査員が“可愛いねえ”という言葉を漏らしていたが)たぶん、田舎感が出てたからじゃないかなって(笑)。これからもっと演技を勉強して、いろんなキャラクターになれる、演技で勝負できる声優になりたいです」
【声優を目指したきっかけは?】
「小さいときから、卒業文集にも“女優になりたい”とか、何かを見せる仕事がしたいって思っていました。中学で入った部活が厳し過ぎて、そういう夢を考える余裕がなかったんですが、その頃に先輩が『妖狐×僕SS』(いぬぼくシークレットサービス)というアニメを教えてくれて。アニメの後ろにいる声優さんに興味を持って、声優のことを調べるようになって、声優を目指すようになりました。高校でもずっと声優になりたいと思いながら、地方というハンデもあって大学まで行動せずに来てしまったんですが、以前受けたオーディションで“もうそろそろ(年齢的に)ヤバいよ”って言われて。何か始めないといけないと思ってインターネットで検索して、このオーディションを見つけました」
【これからの目標】
「沢城みゆきさんや雨宮天さんのように、それぞれのキャラクターに命を吹き込めるような声優が目標です。最近『マクロスΔ』を観て、歌を聴いていたら本当にゾクゾクして、勝手に涙が流れてくるぐらい感動したんです。演技をするだけじゃなくて、オープニングや挿入歌も歌えるような、歌える声優になりたいです」
■山田香帆(やまだ・かほ)/24歳・神奈川県出身
劇団四季出身で、現在はフリーで役者として活動。19歳のときに賢プロの養成機関スクール・デュオの基礎科に在籍。2016年開催の『キミコエ・オーディション』ではファイナルに進出。
【受賞の感想】オーディションの2日前に24歳になって、20代前半最後の年ということで焦っておりました。オーディションも10代から今までずっと受けてきて、いつも合格の直前で“残念でした”と、何百回も悔しい想いをしてきましたが、今回やっと一つの結果を出せたのかなって思います。これで安心せず、やっとスタートラインに立てたと気を引き締めて、事務所の期待に応えられるように頑張りたいと思います」
【オーディションの出来は】
「1点です…。台詞をガッツリ噛んでしまって。プロなら本番で噛むなんてありえないので、今から急いで帰って一から鍛え直します。めちゃめちゃ落ち込んでいて、札が3秒間ぐらい全く上がらなかったので、上のほうをボーっと見ている間に4枚上がっていて。チャンスをいただけたので、今日噛んだことを一生忘れずに努力したいと思います」
【声優を目指したきっかけは】
「坂本真綾さんが主役の声を演じた『ブラックスワン』の吹き替え版を観て志しました。これまで舞台、ミュージカルのオーディションを多数受けてきて、自分ではミュージカル俳優になるんだろうなって思っていたんですけど、坂本真綾さんのように、声優としても、舞台俳優としてもアーティストとしても幅広く活躍できる多才な方もいらっしゃるんだなって、声優を意識するようになりました。それから音大に通いながら声優の養成所に通い、劇団四季で全国公演に出て、そしてもう一度声優のオーディションを受けたいと思ってここに来ました。根っ子は役者ということで全てパフォーマンスは同じだと思うので、今まで積み上げてきたものを活かして頑張りたいと思っています」
【これからの目標】
「坂本真綾さんや平野綾さんみたいに、ミュージカル、声優など幅広い方面で活躍できる人になりたいです」