丸美屋食品ミュージカル『アニー』の公開ゲネプロが22日、新国立劇場 中劇場にて行われた。この日、ゲネプロを公開したのは、『アニー』オーディション初挑戦で主役に抜擢された会百花（11歳）の「チーム・モップ」。新演出版の『アニー』は、子供たちの個性が輝く、スピーディーでパワフルな作品になっていた。

　今年、16年間演出を担当したジョエル・ビショッフに代わって、『ラ・カージュ・オ・フォール』『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』などの演出を手がけた山田和也を演出に迎え、新演出版となったミュージカル『アニー』。翻訳台本、振り付け、舞台美術、衣裳、オーケストラ編曲まで一新、これまでの良さは残しながらも、作品の印象は大胆に変貌を遂げた。

　特に、子供たちの活き活きとした個性がこれまで以上に引き出されている印象が強い。オーディションのドキュメントでも、ワークショップ審査で通り一遍の芝居を捨てさせ、それぞれの表現を要求している様子が放送されていたが、実際の舞台でも、孤児たちのダンスはシンクロを重視した美しさより、それぞれのキャラクターを活かしたパワフルなものに映った。めちゃくちゃな悪ふざけやいたずら、怒りを爆発させる部分など、より子供たちの個性が際立っていたように見えた。

　そしてNYCのシーンは、これまで「タップキッズ」として美しく揃ったタップダンスを披露していたが、新演出版では「ダンスキッズ」に生まれ変わっている。16名のダンスキッズ（2組に分かれて登場）が、それぞれ異なる衣裳、異なるダンスでシーンを盛り上げていた。

　今回のゲネプロ取材で公演を公開したのは『チーム・モップ』。アニーを演じる会百花は、初の『アニー』オーディション挑戦で主役を掴んだという。見た目、色白で目元が涼しげな「和風美人」という雰囲気の会。透明感のある歌声も魅力的だが、歌以外の部分でも、型通りの芝居ではない独特の表情を見せ、目が離せなくなる。藤本隆宏演じる、少しワイルドに若返ったウォーバックスとの愛称もぴったりだ。もう一人のアニー・野村里桜の『チーム・バケツ』は本日、本番を迎えているが、こちらも全く違ったアニーを見せてくれているはずだ。

　丸美屋食品ミュージカル『アニー』は、4月22日（土）〜5月8日（月）まで新国立劇場 中劇場にて上演。その後、大阪、仙台、名古屋、上田にて地方公演が行われる。