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2017/02/19 20:00
「プライドと魂を賭けて」味方良介ら、新世代キャストが挑む『熱海殺人事件』開幕
つかこうへい氏の代表作『熱海殺人事件 NEW GENERATION』が18日、新宿・紀伊國屋ホールにて開幕。初日公演に先駆けて17日に同所にて公開ゲネプロが行われ、味方良介、文音、多和田秀弥、黒羽麻璃央、演出・岡村俊一が囲み取材に出席した。
1973年に文学座で書き下ろされた『熱海殺人事件』は、つかこうへいの代表作であり、最年少で岸田戯曲賞を受賞し、紀伊國屋ホールを拠点に、何度も上演され続けている名作戯曲。主演・木村伝兵衛役には、三浦洋一、風間杜夫をはじめ、阿部寛、池田成志、山崎銀之丞、馬場徹など名だたる俳優陣が歴史を作ってきた。そして2017年、“NEW GENERATION”と銘打って、岡村俊一演出のもと、新キャストで生まれ変わる。
木村伝兵衛・部長刑事を、『新・幕末純情伝』で桂小五郎を演じた味方良介が、馬場徹に並び、史上最年少24歳で挑戦。対する犯人・大山金太郎役に、ミュージカル『刀剣乱舞』三日月宗近役などで注目を集める黒羽麻璃央、水野朋子・婦人警官には、1986年映画版でヒロインを演じた志穂美悦子の娘である文音、そして富山からきた田舎刑事・熊田留吉に『手裏剣戦隊ニンニンジャー』などで活躍する多和田秀弥を迎え、まったく新しい『熱海殺人事件』を作り上げる。
座長を務める味方は「紀伊国屋ホールで『熱海殺人事件』をこの若い世代でできるということが“NEW GENERATION”といわれる所以。僕たちがまた新たに、つかさんの遺志を背負い、岡村さん演出のもと、後世に伝えていけたらと意気込んでいます」と挨拶。文音は「この紀伊國屋ホールで『熱海殺人事件』をできることを本当に嬉しく思っております」と喜びを噛み締め、「生きることの大切さを、みなさんに感じ取ってもらえたらと思いながら、必死に演じさせていただきます」とコメント。
黒羽は「僕らと同年代の役者たちは『出たい、出たい』と言っている作品。こうして僕達が各々役割をもらって、みなさんの前で披露するというのは、一つの使命だと思っています」と決意を新たにする。多和田は「昔から続いている歴史ある作品ということで、最初はプレッシャーや不安がとてもありましたが、稽古が始まるととても楽しかった」と振り返り、「今日までの日々が楽しくもあり、つらくもあり……みんなで必死に取り組んできました。その楽しさを忘れずに、僕らにしかできない『熱海殺人事件』で、新しい風を吹かせられたら」と意気込みを語る。
演出を手がける岡村は「つかさんがお亡くなりになって7年、続けて紀伊國屋ホールで公演をやらせていただいていますが、今年初めて。つかさんとまったく関わりのない役者たちでの公演になります。新しい世代が“ちゃんとやっている”という形を残せるように頑張りましたので、ぜひご期待ください」と期待を寄せる。
カンパニーの雰囲気について味方は「稽古初日から仲良く楽しくやっています」とコメントすると、多和田も「稽古場からわきあいあいとしてる」と賛同。後から稽古に合流したという黒羽は「僕は遅れて合流したんですが、もうすでに出来上がっていて……。合流した初日に通し稽古みたいなことをやって、おや?と焦りました」と語ると、味方が「それは、麻璃央くんを驚かせようと思って、カンパニー一同頑張ったんだよ!」と明かす。それに対して黒羽は「でも、そのおかげもあり、ケツを叩いてくれる人たちがいっぱいいたので良かったです」と笑顔をみせた。
“NEW GENERATION”と銘打っての公演に関して、味方は「若いからといってなめられたくない」と断言。さらに「若さに甘えたくないし、若さに甘えて観てほしくない。役者としてのプライドと魂を賭けてこの作品を作っているし、それくらいの覚悟でやっています」と力強く語りつつ、「あまり大きい声で言っちゃうと自分にプレッシャーがかかちゃうんだけど(苦笑)」と最後に弱気な部分を見せると、岡村をはじめキャスト陣から「今、自分でハードル上げた!」と総ツッコミを受け、笑いを誘っていた。
「若さゆえにできることを大切にしたい」という多和田は、「稽古場で岡村さんが『若いやつは身体を動かせる。そこしかないんだよ』と言っていて、すごく心に刺さった。この若い肉体で『熱海殺人事件』をやるということの意味をしっかりと理解し、この作品の良さや若いエネルギーを届けていきたい」とコメント。黒羽は「観に来てくださる方のなかには、『熱海殺人事件』をご存知じゃない方もいると思います。これだけ続いている作品なので、それを終わらせるわけにはいかない。その想いも若い僕らがやることによって、若いお客さんにも繋がっていく。その繰り返しで、つかさんが作り上げてくれた世界が止まることなく続いていけばいいなと思います」と作品への想いを語る。
最後に味方は「これから幕が開いて、僕ら自身も感じることや受け取り方で、いろいろと変わっていくと思います。すべてが今後の僕らのプラスになると思う」と語り、「簡単なことではないけれど、つかさんの遺志を継いで、誠心誠意、魂込めて大事にやっていくので、ぜひこの劇場で体感してください。お待ちしております」と呼びかけた。
『熱海殺人事件 NEW GENERATION』は、2月18日(土)〜3月6日(月)まで新宿・紀伊國屋ホールにて上演。