俳優集団D-BOYSの堀井新太が、24日にNHKで行われた創作テレビドラマ大賞『川獺（かわうそ）』の試写会に出席。本作がドラマ初主演となる堀井は「今後、嘘をつかないお芝居をしていきたい。心に訴えるような、そんな表現をしてみなさんに伝えていけたらと思います」と、役者としての決意を新たにした。

　『創作テレビドラマ大賞』は、テレビドラマ脚本家の登龍門として、1000編近い応募作から選ばれた大賞受賞作品を毎年NHKで映像化し放送している、日本放送作家協会とNHK共催のコンクール。今回の受賞作『川獺』は、絶滅したとされるニホンカワウソをモチーフに、名もない人生を送った父の生き方の真実に触れる息子の物語を描く。

　主人公の松浦保（堀井）は、疎遠になっていた父・明憲（勝村政信）の危篤を知り、14年ぶりに故郷の町に戻ってくる。明憲は絶滅したはずのニホンカワウソを発見したという嘘をつき、世間を騒がせた、それがきっかけで離婚し、保とも離れ離れになっていた。父へのわだかまりを抱きつつも、ふとしたきっかけで父の行動の陰にカワウソの住む磯を守ろうとする強い意思があったことを知り、“父がなぜ嘘をついたのか”その理由を調べ始める――。

　試写会後の会見には、堀井のほか、父・明憲を演じた勝村政信、山下真和（脚本）、伊勢田雅也（演出）、陸田元一（制作統括）が出席。高知ロケでの撮影について堀井は「この作品を観たら、高知で撮影した意味がわかると思う。キレイな海、山、川……。撮影ではセットは一切なくて、（家のシーンも）高知の方のお家をお借りして撮影させて頂いたり、エキストラの方も高知で役者をやられている方々とかで、お芝居をやる上ではこの上ない環境で演じさせていただきました」とコメント。

　さらに「最初に脚本を読ませてもらって、この作品は今この世に伝えるべき作品だなと思った。あと山下さんのデビュー作ということで、絶対にいい作品にしなくては！と思いました」と語り、「とにかく演じられて良かったです。僕は今後、嘘をつかないお芝居をしていきたい。心に訴えられるような、そんな表現をしてみなさに伝えていけたらと思っています」と意気込みつつ、「緊張してます！」と正直な想いを告白して笑いを誘っていた。

　そんな堀井に対して勝村は「目がきれい。この年代の青みがかった美しさがある。作品を観て、いい時期にいい作品に出会えたんだなと。これからが楽しみな俳優さんです」と称賛。脚本を担当した山下も「本読みのときに堀井さんから『本番はもっと頑張りますよ！』って言われたんですが、完成した作品を拝見して、“本当にそうだな”と思いました。これからの活躍をすごく楽しみしています」と堀井を称えた。

　また、役作りについて堀井は「僕は役の設定とは異なった環境で育ったので、（父と疎遠の息子）を演じるにあたって、すごく不安だった。なので、近い関係性の友達に会って話を聞いたりして役作りしました」とコメント。高知育ちの父・明憲を演じた勝村は、高知弁でのセリフに苦戦したようで「クランクインのシーンが、僕以外全員が地元の方で。みなさんから“ここの発音がちょっと…”と言われて、もう1回やらせていただいたり。先生がたくさんいたので、怖い反面、助かりました」と撮影を振り返った。

今作での共演に関して、堀井が「撮影の途中で、勝村さんと高岡早紀さんと、“一緒に夜ご飯に行こう”ってなって、みんなで鍋焼きラーメンを食べました。僕はその日の撮影がもう終わっていたんですが、お二人はまだ撮影があったので、ビール飲んじゃまずいかなと思ったんですけど……」と話すと、すかさず勝村が「飲んでましたよね？」とツッコミ、「飲んじゃいました！」と無邪気な笑顔をみせて笑わせた。

　最後に堀井は「今回初主演ということで、現場にいる時間も今まで以上に長かった。これだけ多くの方々が協力して撮ってくれているんだと実感しました。野球部時代の監督にもずっと言われていたことですが、”感謝の気持ち”を忘れずに取り組んでいきたい」と語り、「絶対に一人ではできないことがこの世の中にはたくさんある。そういうのを改めて感じられた作品。親父や家族、マネージャー、お世話になっている人に対して恩返ししていきたい」と決意を表した。

　創作テレビドラマ大賞『川獺』は、3月29日（火）NHK総合 午後10：00〜10：48に放送される。