柳下大がアフタートークショーで語った、舞台『オーファンズ』への想い | ニュース | Deview-デビュー

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2016/02/14 15:15

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柳下大がアフタートークショーで語った、舞台『オーファンズ』への想い

舞台『オーファンズ』(東京芸術劇場 シアターウエストにて上演中)のアフタートークショーに登場した柳下大(右)と平埜生成(左)
舞台『オーファンズ』(東京芸術劇場 シアターウエストにて上演中)のアフタートークショーに登場した柳下大(右)と平埜生成(左)

 俳優集団D-BOYSの柳下大が主演を務め、現在、東京芸術劇場 シアターウエストにて上演中の舞台『オーファンズ』。SNSを中心に口コミでの評判が盛り上がりを見せている中、13日の上演後には、柳下と平埜生成によるアフタートークショーが行われた。

 同作は、1983年にロサンゼルス初演が上演されて以降、日本でも市村正親や椎名桔平、根津甚八などの名優たちによって演じられ、今なお世界中で上演され続けている名作戯曲。今回、柳下自らが演出の宮田慶子氏に直々にオファーし、企画が実現された意欲作である。物語の舞台は、アメリカ・フィラデルフィアの古びれたアパートメント。孤児の兄弟・トリートとフィリップ、そして、ふとしたことから一緒に暮らすことになった中年男性・ハロルドの3人に芽生える絆の物語。柳下が演じるトリートの弟・フィリップには、劇団プレステージの平埜生成、兄弟を導いていく中年男性・ハロルドを高橋和也が演じる。

 親のいないトリートとフィリップは、トリートの盗みで日々の生計を立て、古びれたアパートメントで暮らしていた。そんなある日、トリートはバーで出会ったハロルドを連れて帰る。ハロルドを実業家と思いこんだトリートは、家に監禁し誘拐を計画。しかし、ハロルドは意に介さず、トリートに自分の仕事を手伝うように持ちかける。ハロルドとの生活は、兄弟二人に変化をもたらしていく。教養とお金を与えられ、トリートは人とのつながりを学び、フィリップは外の世界を知るようになる。孤独だった孤児(オーファンズ)が、互いに寄り添い、かけがえのない存在になっていくが、思いもよらない結末が待っていた――。

 柳下は、暴力で抑圧するという歪んだ愛情でしか弟を守ることのできないトリートをナイーブに表現。不器用なまでに弟を想う温かさを、時折見せる表情で感じさせ、複雑な心情を丁寧に演じ分けている。弟・フィリップを演じる平埜は、兄の暴力的な振る舞いに怯えながらも、日々を楽しもうとする、ひたむきで真っ直ぐな純粋無垢な少年を繊細に体現。そんな兄弟を大らかに包み込むハロルドを演じる高橋は、まさにハロルドそのもの。豪放で愛嬌あるキャラクターながらも、父性を持って兄弟に接する姿はどこか優しさを漂わせている。

 ハロルドとの出会いが、閉ざされた世界で生きていた孤児の兄弟たちを照らしていく。暴力的だったトリートが理性を学び少しずつ素直になっていく様子や、兄に怯え、そして外の世界を知らなかったフィリップが様々なことを学び、のびのびと生きていく姿が丁寧に描かれている。クスッと笑えるシーンもありがなら、そんな3人の世界にいつの間にか惹きこまれ、ラストシーンでは、そんな3人の数奇な運命に、様々な感情があふれ出してくる。観終わったあとに、しばらくの間、放心状態になるほど、心震わされる作品だ。

 上演後のアフタートークショーで、感動冷めやらぬ舞台に再び登場した柳下と平埜は、ちょっと照れくさそうに挨拶。まずは、自ら宮田氏にオファーし、企画した柳下が、この作品を選んだ理由について「自分自身が最後のシーンを観たいと思ったから」と、開口一番熱く語る。

 お互いの第一印象について話が及ぶと、柳下は「生成くんは、最初は変わった子だと思った」そうで、平埜は、当初柳下を“元ヤンキー”とインタビューで評していた。共演してみての印象は変わったかというと、柳下にとって平埜は「やっぱり不思議ちゃん」だそうで、平埜は“元ヤンキー”から「気のいい兄ちゃん。湘南っぽい」へ。すると柳下は「それって、ただ俺が横浜出身だからでしょ? 湘南と違うし(苦笑)」と、相変わらずマイペースな平埜に対して優しくツッコむ。

 舞台の上だけでなく、素でも兄弟っぽく平埜を温かく見守る柳下という、公演を重ねても、以前とさして変わらない様子の二人。本番を終え、リラックスした様子でたわいもない話に盛り上がる場面も見受けられた。さらに、平埜が『オーファンズ』の脚本の冒頭にはヘレン・ケラーの言葉が引用されていること持ち出し、改めてこの作品のメッセージ性の高さについて語り合うなど、アフタートークを盛り上げた。

 舞台『オーファンズ』は、2月21日(日)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて上演中(2月27日には神戸オリエンタル劇場にて上演)。なお、本日14日(日)18:00公演の終演後には、柳下×平埜×高橋の出演者3人によるアフタートークショーを実施。当日券もあるとのこと。人と人とのつながり、家族とは何か、自身の生き方など、様々なことを考えさせられるこの作品。役者3人が目の前で繰り広げる繊細かつ熱い芝居は、ぜひ劇場で目に焼き付けてほしい。

【公演情報】
『オーファンズ』
翻訳:谷賢一、演出:宮田慶子
出演:柳下大 平埜生成 高橋和也 
東京公演:2016年2月10日(水)〜2月21日(日)東京芸術劇場 シアターウエスト 
神戸公演:2016年2月27日(土)〜2月28日(日) 新神戸オリエンタル劇場 
<アフタートークスケジュール>
≪東京公演≫
■2月14日(日)18:00公演/柳下大×平埜生成×高橋和也
■2月18日(木)19:00公演/柳下大×宮田慶子×三津谷亮(俳優集団D-BOYS)
≪兵庫公演≫
■2月27日(土)13:00公演/柳下大×平埜生成×高橋和也×宮田慶子
■2月27日(土)18:00公演/柳下大×平埜生成×高橋和也

関連写真

  • 舞台『オーファンズ』(東京芸術劇場 シアターウエストにて上演中)のアフタートークショーに登場した柳下大(右)と平埜生成(左)

  • 兄・トリートを演じる柳下大

  • 弟・フィリップを演じる平埜生成

  • 上演後のアフタートークでは、また違った角度で『オーファンズ』の世界を楽しめる

  • 舞台『オーファンズ』ゲネプロより

  • 舞台『オーファンズ』ゲネプロより

  • 舞台『オーファンズ』ゲネプロより

  • 舞台『オーファンズ』ゲネプロより

  • 舞台『オーファンズ』ゲネプロより

  

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