人気恋愛マンガを原作とした実写映画『一礼して、キス』の完成披露先行上映会が3日、新宿バルト9で行われ、主演を務めた池田エライザと中尾暢樹をはじめ、共演の前山剛久、結木滉星が舞台挨拶に登壇。劇中に出てくる胸キュンシーンを男性キャスト同士で再現するひと幕もあり、池田は「ある一部の層にかなりウケると思う。私もそこです（笑）」と大満足の様子だった。

　原作は、小学館『ベツコミ』で連載され、コミック累計100万部を突破した色気の魔術師の異名を持つ、加賀やっこによる同名マンガ。青春を弓道に捧げてきたピュアな先輩・岸本杏（池田）と、不器用ながらも一途に杏のことを想う後輩・三神曜太（中尾）の、両思いなのにすれ違ってしまう、歯がゆい恋愛模様を描く。

　本作について、池田は「杏の母性や三神くんの魅力だったりを全面に出すためには、どう頑張ろうかとずっと考えていたんですが、原作を読むとそこにはたくさんの答えとヒントがあった」と語り、「完成した映画は、かなり原作へのリスペクトを込めた作品になっていると思いますし、原作の空気はそのままに、私たちだからこそできた関係性や表情がたくさん詰まったものになったんじゃないかなと思います」と胸を張る。また「弓道場というとても神聖な場所で、キスをしたりしちゃうなんて、ちょっと悪いことをしているような気持ちになっていました」と吐露。

　中尾は「クランクインする前に弓道の練習をしていたんですが、そこで（監督・池田を含めた）3人で役について話せたりする機会があったので、クランクインの日は緊張せずに、すごくナチュラルにできて良かった」とコメント。すると、池田は弓道の特訓の日々を振り返り「練習中はずっとバチバチしていたんです。先生に『中尾くんはどこまでいきましたか？』って聞いたりしていて」と告白すると、中尾は「僕のほうが先に始めていたからね。お世辞かもしれないけど、『上手だね』って言われてました」とドヤ顔でアピール。それに対し、池田は「私は邪念があるから当たらないんだなって気付いて。この邪念を捨てて、ちゃんと杏として的と向き合おうって思って、本番に挑んだら、当たりました！」と満面の笑みを浮かべる。

　中尾は撮影が終わってからも弓道を続けていたそうで、「一昨日、弓道審査で初段受かりました！」とファンに生報告。「映画（公開に）間に合いましたよ！ この映画で弓道が好きになって続けていたんですが、初段ということで、実力も判を押してもらえたので、この映画が大ヒットしたらいいなと思います」と喜びをかみ締めた。

　キャスト陣の和気あいあいとした空気に、MCから「仲が良いですね」と言われると、中尾は「そうですね。同世代が集まっているので……」と発言しつつ、隣の前山をチラ見。キャスト陣と会場の空気を察して「確実にオレだけおじさんなんだよね。一人だけ26歳なので……」と肩を落とす前山に対して、中尾は前山の衣装について「でも、ピンク似合ってますね!!」と慌てて先輩を立てようとしたが、前山に「絶対イジってくると思ってた！（笑）」と即座に突っ込まれ、笑いを誘っていた。

　また、男性キャスト陣は仲良くなるのも早かったそうで、中尾が「撮影が終わったあと、滉星と二人でご飯食べに行って、ハンバーグをおごってもらいました」と無邪気な笑顔を見せると、結木も共演者である松尾太陽（超特急のタカシ）の自宅に宿泊したエピソードを告白。「オレと暢樹と佐藤友祐の3人で泊まりにいって、深夜2、3時に超特急のライブDVDをずっと観てました。太陽がちょっと生で歌ってくれたりもした」と楽しそうなエピソードを語ると、池田は「何ソレ、知らない！仲間はずれ〜」と抗議しつつ、「フレッシュな男の子がいっぱいいて、なんか寮母の気分でした。道場の畳の上でみんなで丸になって寝ていて、『おやすみなさい』って思いました（笑）」と振り返る。

　本作には、様々なイケメン弓道男子が登場するということで「劇中の登場人物で一番好きなキャラクターは？」と聞かれた池田は、左右のキャストを吟味しつつも「この中ではいないんですけど……（笑）、（松尾が演じた）由木くん」と回答。その理由について「原作の由木くんは映画で描かれている以上に策士なんです。もともと私は、そういう主人公の男の子の親友ポジションにやられやすいタイプなんですが、ちょっと健気な策士の由木くんが好き」と明かし、「松尾くんがやってらっしゃった由木くんの、三神を支える姿勢や視線がすごく素敵だなって思います」と絶賛。

　それに対して、中尾は「中尾さんは振られましたね……」と肩を落としつつ、「でも、それはすごく賛同できる。僕も太陽が好きなので、ちょっとライバルですね！」とキッパリ。すかさず池田が「私は由木くんの話をしているんだけどね」とツッコむと、「由木くんも好きです！」と中尾は満面の笑みを浮かべていた。

　そして、劇中に登場する様々な胸キュンシーンを男性キャスト同士で再現することに。男性陣が「それ、台本にありました？」（中尾）、「需要あります？」（結木）と戸惑う中、池田は「見たい！すごく見たいです」と目を輝かせる。そんな中、結木が中尾に“頭ポンポン”しながら「的ばっか射抜いてないで、オレのことも射抜いてくれよ」と語りかけ、前山は結木に“壁ドン”して「オレだけみてろよ！」と男らしく決め台詞を放つ。最後は、中尾が前山を“バックハグ”しながら「オレの好きな色はピンクなんだよ」とささやきかけると、前山も「嬉しい。ありがとう」と返し、場内は黄色い声援に包まれた。男性同士の胸キュンシーン再現に、池田は「ある一部の層にかなりウケると思います。私もそこです」とニンマリ。

　最後に、中尾は「これから観るみなさんもいろいろと感じることがあると思いますが、ある二人の物語の目撃者になってほしい。二人の世界をみなさんが覗き見しているような感覚になると思います。ぜひ楽しんでいただいて、SNSなどで宣伝してくれたら嬉しいです」とアピール。池田は「弓道な大好きな杏として、心をまっさらにして、いろんな人と出会って影響されていくという、一人の女性として強くなっていくという杏の姿が、今いろんな悩みを抱えている人たちの胸に、何か響くものがあるんじゃないかなと思っています」と胸のうちを明かす。

　続けて、「古澤監督から『この映画は僕の今まで撮ってきた映画の中で…』って、今までの映画に私も出ているんですけどね（笑）。『今までの映画の中で一番、納得のいくもの、満足のいくものになった』と伝言を承っております。すごく幸せです」と語り、「そんな作品をみなさんが愛していることを祈ります。公開までよろしくお願いします」と呼びかけた。

映画『一礼して、キス』は、11月11日（土）より全国ロードショー。