ニュース
2017/06/24 19:51
多和田秀弥、初主演映画への想いを語る「不倫モノの次はBLって、自分でもふり幅がすごいなと(笑)」
文乃ゆきのBL漫画を実写映画化した『ひだまりが聴こえる』で、難聴の大学生という難しい役どころに挑んだ多和田秀弥。小野寺晃良とともにW主演を務めた本作への想い、役作りについて、撮影エピソードなどをインタビュー。また、初主演舞台『ソラオの世界』以降、話題作への出演が続いている彼に、激動の1年間を振り返ってもらった。
【『ひだまりが聴こえる』/多和田秀弥インタビュー】
◆「主演は素直に嬉しかった。ただ、BLものと聞いて“おや!?”ってなりましたけど(笑)」
――W主演を務めた映画『ひだまりが聴こえる』がついに公開。まずは、出演が決まったときの心境を教えてください。
「主演ということに対しては、緊張とかプレッシャーはあまり感じませんでした。それは、きっと(初主演となった)舞台『ソラオの世界』をやった直後に、このお話をいただいたからかなと思います。前だったら“主演か、どうしよう”というような不安があったかもしれないですけど、そういう気持ちは全然なくて、光栄だなと思いましたし、素直に嬉しかったです」
――プラスな気持ちで臨めたと。
「自分を求めてくださっているのなら、できることはやりたいなと思いましたし、W主演という形でもあったので、お話を聞いたときは、プラスな気持ちでした。ただ、題材がBLものと聞いたときは、“おや!?”ってなりましたけど(笑)」
――恋愛もので言うと、『不機嫌な果実』では不倫、今回はBLに挑戦……。
「そうなんですよね。この前は不倫もので、今回はBLって、自分でもふり幅がすごいなって思いました(笑)。BLにあまり触れたことがなかったので、“需要あるのかな?”という不安はあったんですが、台本をいただいたときに、読んでいくにつれて気づいたらBLに対しての不安は無くなっていて。いわゆる僕らや一般の人が想像しているような、濃厚なBLものではなくて、BL要素が薄いというか、そこだけをフィーチャーしたいわけじゃないんだなっていうのを、台本を読んで感じました。原作の漫画も、最初は今回実写化する1巻だけを買って読んだんですけど、続きも読みたくなってしまって、続編の『-幸福論-』も買っちゃいました。それぐらい面白い、素敵な作品だなと思いましたし、原作を読んで、より楽しみになりました」
――難しい役どころでもあったと思いますが、役作りとして、イヤホンをして周囲の音を聞こえづらくして過ごしたりしたそうですね。
「難聴という部分をどう表現するんだろうっていうところが、一番のキーポイントだなって思って。自分はそれを体感することはできないから、どうしたらいいかな?と思ったときに、家でイヤホンをつけてみたら、テレビの音が聞こえづらいなと感じて、“この感覚に近いのかもしれない”と思って、実践してみたんです。音楽は流さずにイヤホンだけして電車に乗ったり、わざとガヤガヤしている渋谷のスクランブル交差点の近辺に行ってみたりしました。原作にも書かれているんですが、確かに声が高めの人とか早口の人だと何を言っているかわからなかったり、ボワ〜っとして聞こえたりして、そういうのを少し体験できたことで、自分の中では大きく一歩進めた感覚がありました」
――ともにW主演を務めた小野寺くんは、どんな役者さんでしたか?
「現場ではみんなの弟みたいな感じで、すごく可愛がられていました。晃良は面倒を見たくなるような子なんです。ほっとけない感じというか、『ホラ、ご飯こぼしてるよ』とか、『今、カメラ回っているから、ペットボトルのラベルは剥がしておかないとダメだよ』って言って、僕が剥がしてあげたりとか、そういうことを自然としたくなるんです」
――なんか、お母さんみたい(笑)。
「普通の人だったら、“ちゃんとしてよ!”って、ちょっとイラっとする部分があったりするけど、全然イラっとしない。みんなにもすごく可愛がられていたし、『お兄ちゃん』みたいな感じで寄ってきてくれるところもあったから、癒しでもありました」
――現場では可愛い弟でも、芝居では大学の同級生の役を演じなければならないわけですが、どんな風にその関係性を作っていきました?
「僕とみちゅ(三津谷亮)は、晃良に比べて全然年上だから、僕らは同い年に見えても、肝心の晃良だけは、僕らが普通の芝居をしていたら一人だけ弟にみえてしまう。それをどうしようかというのは、僕もみちゅもどこか頭の中にあって。もしかしたら、どちらかというと、僕らが晃良に寄せにいった感じはあると思います。晃良が放つ何気ない言葉とかにも、なるべく僕らも食いつくようにしたり、わ〜いって騒いでいたら一緒になって盛り上がったり。それは嫌々やっていたのではなくて、自然と二人ともそういう考えてやっていたと思う」
――その3人の中では最年長の三津谷くんは、どんな印象でしたか?
「あの人が一番若かったんじゃないかな(笑)。元々みちゅは愛されキャラだから、彼が来ると、現場がパッと明るくなるんです。本当に、太陽的な存在でした。雨は呼び寄せていたかもしれないけど(笑)、彼がそういう立場で現場に居てくれたので、すごく安心感があったし、感謝していますね」
――前回取材をさせていただいたのが、『ソラオの世界』が始まる前でした。ちょうど1年前になりますが、初主演舞台を経てからのこの1年、すごくいろいろな変化があった年だったと思うのですが。
「『ソラオの世界』を経験できたことは、本当に大きかったです。テニミュを長くやっていたので、(座長の)小越勇輝の隣で支える役だったこともあり、近しい景色は見てきたし、いろいろと話し合ったりもしたから共感できる部分はあったけど、やっぱり自分で味わないとわからない部分もあったんだなって、わかっていたことだけど、改めて感じました」
――どんな経験になりましたか?
「(演出の西田)シャトナーさんと出会えたことは、すごくいい経験になりました。幕を開けてからは正直、体力的にも精神的にもけっこうしんどかったですけど、だからこそ本番中にすごく鍛えられたなって感じいて。改めて、真ん中から見る舞台上の景色って全然違うなと思いました。主演はまたやりたいけど、『ソラオの世界』を経験して、軽々しく口にできないなと思ったし、もしまた次に主演をやらせてもらえるのなら、もっと実力をつけたタイミングでやれたらなって。今回は、周りの人たちに支えてもらっていた部分が多いので、次やるときは、支えられるような太い人間、役者になりたいなと、この舞台を経て思いました」
――『ソラオの世界』以降、『Take me out』、『熱海殺人事件』、朗読劇など、この1年間で本当にたくさんの経験を積まれていますよね。
「いつか出演したいと思っていた演出家の方々の舞台が続いたことは、本当にありがたいことだし、感謝しないといけないなって思います」
――芝居に対しての意識がまた変化した?
「正直、15、16歳でこの業界に入ったばかりの頃は、芝居が大嫌いだったんです。人前で泣いたり、笑ったり、恥ずかしいなって思っていたし、自分の魅力が何かわからない時期でもあったので、カッコイイ人とか面白い人がやるからいいんでしょ?って冷めていたところがあって。でも、テニミュを経験して、表に立つことの楽しさとか、徐々に感じていって、いろんな作品を経たことで、もっと芝居上手くならないとなって感じるようになりました」
――8月には舞台『幽劇』、11月・12月にはミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』も決定しています。話題作への出演が続きますが、今の段階での多和田くんの役者としての野望とは?
「僕は今すぐ大ブレイクしたいとか、知名度をもっと上げたいとか、そういうのはないと言ったら嘘になるけど二の次で。いろんな演出家さん、共演者の方々、作品と出会って、今“芝居がやりたい!”という状態になってきているので、この先も舞台、ミュージカルと続きますが、自分がその作品でどういう輝きを放てるかっていうのを、自分の中で見極めて大切にやっていきたいなと思います」
映画『ひだまりが聴こえる』は、6月24日より池袋HUMAXシネマズにて公開、全国順次。なお、本作への想い、激動の1年を振り返った多和田秀弥のロングインタビュー全文は、オーディション情報サイト「デビュー」に掲載中(下記リンク参照)。