

2月に開催予定の『デビューオーディション』はWECの学生にとって、事務所所属に直結する最大のチャンスイベント。ワタナベエンターテインメントはもちろん、大手芸能プロダクション、レコード会社、モデルエージェンシーまで、毎回約300を超える業界関係各社の新人担当を招いて公開プレゼンテーションが行われる。1人あたり1社以上のオファーがあるかどうかを示す「1次通過率」は100パーセント(2016年10月度実績)を誇り、全員が2次面接に進んでいく。有望な参加者には数10社から100社以上の事務所のオファーが届くこともあるという。この高い通過率を支えているのが、学生たちの自己PRをチェックし、ブラッシュアップする「レベルチェック」なのだ。


今回は、アクター、タレント、モデル、声優志望の学生のレベルチェックを取材。この日のチェックは学長が自ら行っていた。教室に集まった学生は、一人ずつ、ステージ上を想定して自己PRの模擬審査を受けていた。ステージ袖からステージ中央まで歩く登場の部分から始まり、自分で考えてきた短いシーンの演技を披露。それに対して学長からの容赦ない、しかし愛に溢れた「ダメ出し」が浴びせられる。立ち姿や服装のチョイスも細かくチェック。演技では、独り善がりの伝わらない設定や、自分のキャラに合っていない内容などを鋭く指摘。演技の決めの部分を、審査員席から表情が見えにくい角度で演じた学生に対しては「カメラはどこにある!?」と一喝した。


印象的だったのは、学長が一人ひとりのプロフィールや演技をチェックする際、各自の表現を豊かにするために触れておくべき映画作品を挙げていたこと。その半端ない情報量には驚かされた。恋愛映画ならこれ、コメディならこれ、モデルを目指すならファッションを描いたこれ、と、古今東西問わず様々な名作の情報が系統立てて語られていく。圧倒的に経験が足りない若い学生たちに、自分を豊かにして、周りと差をつけるためのヒントを、惜しげもなく与えていくのだ。学生たちは真剣なまなざしでその言葉に聞き入っていた。
