『かいけつゾロリ』シリーズ30周年 劇場版アニメでヒロイン役&主題歌を担当- 百田夏菜子(ももいろクローバーZ) | Deview-デビュー
百田夏菜子

撮影/加藤千絵(CAPS)取材・文/小島和宏 ヘアメイク/白井ユリ スタイリスト/関 志保美

ももいろクローバーZのリーダー・百田夏菜子が、『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』で、劇場版アニメのヒロイン役として、声優に本格初挑戦。グループでの活動のほか、連続テレビ小説『べっぴんさん』の演技が高い評価を受けるなど、個人での活動も幅を広げている彼女に直撃インタビュー。若き日のゾロリ母“ゾロリーヌ”の役作りやアフレコでの苦労、声の仕事への想いなどを語ってもらった。
「昔から“アニメ声”って言われて、自分の声がコンプレックスだったけど、ラジオやナレーションの仕事を通じて、声の仕事の楽しさを知りました」
百田夏菜子
――今回、『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』で初めてアニメの声優に本格的に挑戦することになりましたが、いかがでしたか?
「最初に予告篇の声を録ったときに、すごく不思議な感じだったんですよ、自分の声がキャラクターに乗っているっていうことが。ちょっとだけ違和感があって何かしっくりこなくて、“どうしようかな”と思ったんですね。自分の中で確信が持てなくって。それから本編を録るまで2、3ヵ月あったんですけど、ちょうど、その合間に(トークイベントで)ベテラン声優の野沢雅子さんにお会いすることができて、そのとき、野沢さんに言われたんです。『あなたは思うままに突き進んだほうがいい』って。それで一度、考えすぎてきたものをすべて捨てて、本編のアフレコに臨んだんですけど、そのとき、初めて自分の中で違和感が消えました。私、仕事で関わってしまうと、なかなか作品を客観視できないんですが、今回は素直に楽しんで観ることができました」
――違和感が消えた瞬間は覚えていますか?
百田夏菜子
「自分の声がゾロリーヌの声とぴったり合ったときですね。ただ、ゾロリーヌの口の動きと台詞を合わせることばかりを大事にしていたら、監督が『ちゃんと気持ちをゾロリにかけてあげて!』って、言ってくださったんです。そのときに、“あぁ、私の声でゾロリーヌが生きているんだな”って感じましたし、ゾロリーヌとつながれた気持ちになりました。ちゃんと私の声がゾロリーヌの“心”になれているって思えた瞬間は、嬉しさと楽しさがありました」
――もともと声優に興味があったそうですが?
「昔からすごく『アニメ声だ、アニメ声だ』って周りに言われてきて、自分の声があんまり好きじゃなかったんです。ももクロで歌っているときも、すごくカッコイイ楽曲には“私の声だと、うまくハマらないなぁ〜”とか思ったりすることもあって。ちょっとしたコンプレックスでした。でも、ナレーションのお仕事をやらせていただくようになってから、『すごく声、いいよね』とか『声から感情が読み取れるよね』と言っていただけるようになって。あとラジオ番組もやっているので、街で会った人から『ラジオ、聴いてるよ! いい声だねぇ〜』って声をかけていただくようになって、自信が持てるようになりました。“声だけで伝える”ということ自体、私の中では新しい世界だったし、やっているうちにやりがい、そして達成感みたいなものを感じることができて、そこから“声の仕事って楽しいなぁ〜”って思うようになりました。だから、本当にいいタイミングでこのお話をいただけたと思います」
百田夏菜子
――しかも、今回は、若き日のゾロリのママ“ゾロリーヌ”という大きな役です。
「私もこんなに重要な役だとは思っていなくて」
――観たら、みなさんびっくりすると思います。
「でしょ? 私もだもん(笑)。出番、がっつりやん!! みたいな(笑)。嬉しさよりも先に“大丈夫かな?”って不安がきちゃいましたね」
――子供のころからゾロリを見てきた百田さんが、ゾロリのお母さんを演じる、というのも面白い話ですよね。
「ただ、それまでドラマ(連続テレビ小説『べっぴんさん』)で、ずっとお母さん役をやっていたので、そこだけはホッとしたんです。子供を想う母親の気持ちなどは、それまでずーっと考えていたので、その役作りで悩むことはないなって。ただ、ゾロリのお母さんの若いころって、いままで描かれたことがないので、そこは想像するしかないじゃないですか? 台本を読む前から“若い頃のゾロリのお母さんって、どんな人なんだろう?”って、想像しすぎちゃって(笑)。その後に、台本を読んだら、結構アクティブな感じだったので驚きました。私、もっと優しくて『(穏やかな口調で)ゾロリ〜』みたいなイメージを描いていたんですよ。おとなしくて、ほんわかしていて、どうして、こんな優しいお母さんからゾロリが産まれたんだろうって」
百田夏菜子
――自分が思い描いていたゾロリーヌ像とは違ったと。
「実際にはゾロリーヌはイタズラ好きで、ゾロリを助けるために危ない行動もバンバンしちゃう性格。私の想像していたキャラクター像とは全然、違ったけれど、逆に私自身にすごく近いなって思ったんです。だから、役作りでは自分の素の部分に、ドラマで学んだ母性を混ぜながらやってみました。完成した映画を観たら“そりゃ、ゾロリみたいな子供が産まれるよなぁ〜”って納得しましたね(笑)」
――映画の中では、ゾロリはゾロリーヌが自分のお母さんだと気が付いていますが、ゾロリーヌはまったく気づきません。
「そうなんですよね。でも、やっぱり繋がっている部分、通じ合っている部分は必ずあると思うんです。だから、ゾロリに対する母性とかを観ている人にちょっとでも感じ取ってもらえるように……と意識はしました。たとえばゾロリを心配するシーンでも、ちょっとお母さんが子供を心配するような感情を持ちつつやってみたり。みんなが思い描いているゾロリママの優しさを残しながら、元気さを出せたらいいなと」
百田夏菜子
――若き日のゾロリのお父さん(ゾロンド・ロン)も登場しますが、やはり、ゾロリとの関係性には気づいていませんよね。
「だから、ゾロリとロン先輩が言い合いをするシーンでは、お父さんと子供の言い合いなんだけど、噛み合っていないんですよね。それでもすごくグッとくるものがあって。“うわぁ、なんていい話なの! なんという親子愛!!”みたいな感じですごく感動しました。ゾロリーヌ自身はその2人の会話を聞いていないので、観ていてなんか、嬉しくなっちゃって“ゾロリーヌに聴かせてあげたい!”って、勝手に感動しちゃいました」
――そのあたりはお子さんだけでなく、お父さんやお母さんにも劇場で感じ取ってもらいたいですよね。そして、今回は声優だけでなく、主題歌『夢は心のつばさ』も担当しています。ゾロリ役の山寺宏一さんとのデュエットです。
「最初に聴いたときは“ウソでしょ?”って信じられなかった。完全に大人がノリで話しているだけで、結局、実現しないで終わるパターンでしょ?って。もちろん、“やってみたい! 夢みたい!!”って思っていたけれど、心のどこかで冷静に“いや、そんな夢のような話はないな”って思っていて。でも、音源と歌詞カードが送られてきて“マジじゃん!”ってなりました(笑)。しかも山寺さんとのデュエット。私、ソロで歌うことすら、ほとんどないのに“いったいなにが起きているんだろう”って(笑)。とにかく舞い上がっちゃいましたね」
百田夏菜子
――アーティストの名義は「ゾロリーヌwithゾロリ」になっています。
「役として歌うのは初めてだったんですけど、すでに本編を録ったあとだったので、ゾロリーヌの役に入りこめていて、すごく大事に歌いました。めっちゃいい曲なので、ぜひ、映画館で聴いてもらいたいです!」
――山寺さんとのデュエットも、すごい話ですよね。
「この話が決まってから、テレビに山寺さんが出てくると、もうプレッシャーがすごくなっちゃって、最終的に“もう(山寺さんを)観たくないです!”って思っちゃった(笑)。初めてお会いしたのは、レコーディングのときだったんですけど、本当に優しくて!! 役の上では私がゾロリを包みこまなくちゃいけないのに、逆に山寺さんの“父性”に包まれちゃって“おぉ、息子よ!”って(笑)。本当に親子役をやらせていただけて、良かったです。グループの名前に“Z”がついていることで、こういうお話がいろいろいただけると思うので、人生、本当にわからないですよねぇ〜」
百田夏菜子
――最後に。百田さんは今回、こうやって声優デビューという夢を叶えましたが、芸能界を夢見ている『Deview』読者へ、夢を叶えるためのアドバイスをいただけますか?
「そりゃ、もう『Deview』に乗っかったほうがいいですよ! それが夢への第一歩になりましたから。私はそうしました! 私も小学生のときに『Deview』の雑誌を見て、今の事務所に履歴書を出さなかったら、今の私は存在しないし、子供のころから見ていた『かいけつゾロリ』にだって出られなかったと思うので、みんなも『Deview』を見て応募して、一歩踏み出しましょう!!」
Profile
百田夏菜子(ももた・かなこ)●1994年7月12日生まれ、静岡県出身。スターダストプロモーション所属。2008年に結成され、現在、絶大なる人気を誇るアイドルグループ「ももいろクローバーZ」のリーダー。16年の5大ドームツアーでは25万人を動員するなど、アイドルグループとして精力的な活躍を果たす一方、女優としても、16年にNHK 連続テレビ小説『べっぴんさん』での演技で注目を集めた。現在、ももいろクローバーZ ジャパンツアー「青春」ツアーSeasonUを開催中。
『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルセット)のひみつ』
11月25日(土)全国ロードショー
映画かいけつゾロリ
映画かいけつゾロリ
© 2017 原ゆたか/ポプラ社,映画かいけつゾロリ製作委員会
“いたずらの王者”を目指すキツネのゾロリが、双子のイノシシのイシシ&ノシシを子分に冒険を繰り広げる、こどもたちに圧倒的人気を誇る児童書『かいけつゾロリ』シリーズ。
30周年のアニバーサリーイヤーに公開される映画第5作目の本作では、ゾロリたちが過去にタイムスリップし、衣装に縫い付けられたトレードマークの「ZZ(ダブルゼット)」の秘密が明かされる。
百田は、ゾロリが過去にタイムスリップした際に出会う、若き日のゾロリの母“ゾロリーヌ”役の声を務め、さらにソロとして初の主題歌(ゾロリ役の山寺宏一とのデュエット)も担当。

公式サイト: http://www.zorori-movie.jp/
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