「映画を観た後に、ぜひ、パンフレットを観ながら京都を回ってもらいたいくらい、全部良かった」 - 福士蒼汰 | Deview-デビュー
福士蒼汰

撮影/加藤千絵(CAPS)取材・文/永堀アツオ

大ヒット恋愛小説「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」が、福士蒼汰×小松菜奈で実写映画化。せつない運命を背負ったカップルの30日間の恋を描くラブストーリーを描いた本作で、主人公・高寿を演じた福士に、本作への想い、役づくり、好きな胸キュンシーンなどをたっぷり語ってもらった。福士オススメの京都のデートスポットとは!?
「映画を観た後に、ぜひ、パンフレットを観ながら京都を回ってもらいたいくらい、全部良かった」
福士蒼汰
――福士さんはこれまで映画『好きっていいなよ。』の大和や『ストロボエッジ』の蓮など、いわゆる学校1のイケメンという役が多かったですよね。でも、映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の高寿は、ちょっと野暮ったい美大生役となっています。
「そうですね。今回は、“気弱で、人と話すのが苦手”という役だったので、見た目的にはメガネをかけて、髪も長くて、顔がほぼ埋まっている状態になっていて(笑)。動きとしても、目線を合わせないとか、手の振りが大きくてそわそわしているということを意識して演じていました。あとは、東出(昌大)くん演じる親友の上山が恋愛上手という、高寿との対比として存在してくれていたので、高寿のキャラクターを出す上では、すごく救われたなと思います」
――胸キュン映画の名手、三木監督は「イケメンをイケメンじゃなく見せるのが大好き」だとおっしゃっています。監督からはクランクイン前に手紙をもらったと聞きましたが。
「はい。“かっこ悪い僕を撮りたい”ということと(笑)、“グラデーションをつけたい”ということが書いてありました。この映画は、高寿目線から観ると、彼の成長ストーリーでもあるんです。最初は、あまり人と目を合わせられない彼が、大きな事件をきっかけにして、少年から青年になっていく。大人の男性になっていく過程をグラデーションとして見せたいんだと書いてありました」
福士蒼汰
――変化を、ポイントではなく、グラデーションで見せるのというのは難しい作業ですよね。
「難しかったです。キャラクターとしても、一本筋が通った男のほうがやりやすいと思っていたので。もちろん、そのキャラクターを作り上げるまでは大変なんですけど、作品の中では、常にそのキャラクターでいればいい。でも、今回は、高寿というキャラクターを作り上げた上で、さらに微妙な変化を見せていかなければいけない。だから、大変ではあったんですけど、そこは監督と相談し合いながら考えていって、『このシーンではもう少しだけ大人の顔になっていいかな』とか、細かく話し合いながら演じていました」
――大人の男性に少しずつ変化していく中でも変わらない芯の部分もありますよね。
「そうですね。僕が最初に小説を読んだときに、高寿はすごくピュアだなと感じて。そこは、成長して大人になっても変わってない部分だと思います。最初はもちろん、一目惚れしたらすぐに行っちゃうけど、喋れない……みたいなピュアを持っているんです。でも後半につれて成長していく中でも、相手をずっと好きでいることだったり、純粋さは最初から最後まで持っている。本当に自分の心に素直で、ピュアな男性だなと思います」
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――原作を読んだということですが、作品の世界観に関してはどう感じました? いわゆるファンタジーものの切ないラブストーリーになっていますが。
「ファンタジーではありますが、僕はあんまりそこに縛られずに、すごく感情で読めたんです。フィクションが入ってくると、少し現実から離れて行ったり、感情が追いつかなかったりすることがあると思うんですけど、この作品はそうではなくて。本当に、登場人物たちの心情に沿って読めました。そこが自分で読んでいて不思議ではあったんですけど、その良さを、映画にどれだけ出せるかな?ということを考えながら演じていました」
――劇中である秘密というか、事実が明かされるわけですが、そのファンタジーの要素にとらわれずに、二人の気持ちに寄り添えたのはどうしてだと思います?
「自分の中ではっきりした答えはないんですけど、大きな事件が起きるけども、その事件をどう思うかではなく、その時に相手をどう思うかにフォーカスしているからかなと思います。自分の中でも、その事件を解決しようとかではなく、その中で相手をどう思ったのかが大事だと思いましたし、高寿と愛美の気持ちというか、ふたりの愛をどう見せられるかがこの映画の一番のポイントだったと思います」
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――相手役の愛美を演じた小松菜奈さんにはどんな印象を持っていますか?
「愛美というキャラクターのイメージにぴったりだと思いまでした。お茶目な部分があったり、すごく可愛らしい部分があったり、その一方で、本当にミステリアスで、心の一番、奥底では何を考えているのかが見えないところが、すごく共通していて。この役で、今まで見たことのない彼女の魅力が引き出されていると、僕は思いました」
――完成披露試写会のとき、「天然だ」、「自由だ」ってやりあっていましたね。
「あはは。東出くんと3人でずっと、この中で一番誰が天然なのかという話をしていて。結局、東出くんが天然で、僕と小松さんは自由という答えにまとまったんですけど、3人で決めたので、他から見たら、きっと違うと思います(笑)。僕自身は、高校生くらいの時に『天然』と言われていて。でも、この仕事を始めてから、友達に『自由だよね。マイペースだよね』と言われようになったので、天然と言われることも、自由と言われることもわかる気がします。小松さんも僕と似ている部分があるので、3人とも天然で自由でマイペースなのかなと思います(笑)」
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――なるほど(笑)。本作は京都での撮影でしたが、一番印象に残っているのは?
「パッと思いつくのは、鴨川を二人で飛び石で渡るところです。クランクアップのシーンでもありましたし、カメラは結構、引いた状態で、遠くから撮っていて。細かい演出もなく、セリフもなかったんです。『ただ、楽しく渡って』という演出だったので。二人でその雰囲気を作りながら、ふざけ合いながら撮ったので、すごく記憶に残っていますし、自分たちでも楽しかった思い出になっています」
――他にもいろんな場所に行っていますよね。
「全部、良かったです。映画を観た後に、ぜひ、パンフレットを観ながら回ってもらいたいくらいです。例えば、伏見稲荷も、人が少ない早朝、差し込む光が綺麗でしたし、京都府立植物園のイルミネーションも素敵でした。やっぱり、この作品は京都で撮ったということも大きかったと思います。京都の街に1ヵ月半くらい泊まり込みでの撮影だったので、自分たちもそこに住んでいるような感じで作品に入れましたし、気持ち的にも1回、家に帰ってオフになることがなくて良かったのかもしれません。フィクションではありますが、京都の街がフィクション過ぎないように引き締めてくれた部分あったと思います」
――いろんなデートシーンが出てきますが、もし気になっている相手を最初にデートに誘うなら?
「映画しか思い付かないです。映画は二人の距離感は近いですけど、目的が映画にあるので、話さないといけないシチュエーションではないので。映画を観るという目的で、二人でいる環境をつくれるから、映画って最初のデートには適している場所なのかなと思います」
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――劇中では、高寿はちょっと早めに来て、デートコースの下見をしていますが、その気持ちはわかります?
「いや、僕はしないと思います。あまり全てを決めてしまうことはしない気がします。デートに限らず、友達との旅行とか、何事においても、全部決めて、予定通りに進めることはつまらない感じがして。大体の場所は決めますけど、その中で自由に過ごす方がいいのかなと思うので。例えば、デートだとしても、相手の女性が行きたいと思うところに行きたいので、あまり自分では決めたりしないかなと思います」
――胸キュンポイントいっぱいの映画ですが、福士くんが好きな胸キュンシーンは?
「お互い下の名前を呼び合うシーンです。僕も演じていて、改めて名前を呼び合うことって、けっこう恥ずかしくて。演じていてドキッとしました」
――完成した作品を見て、福士さん自身はどう感じました?
「温かいと思いました。完全なハッピーエンドというわけではないですけど、その中で温かさとか、人を思う気持ちとか、時間をどう使うか、誰と過ごすかを考えさせられました。前向きに終わるなと思ったので、自分と同じことをみんなも思ってもらえたら嬉しいなと思います」
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――今、「時間の使いかた」という話が出ましたが、デビューを目指す同世代読者に、「今をこんな風に過ごして!」というアドバイスを送るなら?
「生きている時間に意味を持たせることのが一番いいのかなと思います。なんとなく生きる時間もいいのですが、やっぱり今、この時間が自分にとってどういう意味があるんだろうと考えると、今の行動とか、今後どう過ごすとかが変わってくるのかなと思います」
――では最後に、夢を叶えるために必要不可欠だと思うことを教えてください。
「なんでしょう…。好奇心でしょうか。何かを始めるということに関しては、自分が好きで、好奇心を抱いているものだけをみて、他は何も見ずにまっすぐに突き進んでいくことが大事かなと思います。デビューした後は、自分がどれだけの準備をしていけるかが大事になってくると思うのですが、『デビュー』ということを考えると、どれだけ好奇心を持ってやれるかかなと」
――ちなみに福士さんの好奇心が今向いている先は?
「ずっと変わっていないですが、英語の勉強と格闘技です」
――格闘技は、映画『図書館戦争』の撮影後からハマっていますよね。
「そうですね。ジークンドーとカリは、やり始めてからもう4年くらいになります。ずっと続いています」
Profile
福士蒼汰(ふくし・そうた)●1993年5月30日生まれ、東京都出身。研音所属。12月27日、28日にTOKYO DOME CITY HALLにて開催される、研音所属のメンズによるイベント『MEN ON STYLE SUPER LIVE 2016 〜5th Anniversary〜』に出演。映画『無限の住人』(2017年4月29日公開)、映画『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017年初夏公開)主演、映画『BLEACH』(2018年公開)主演、『曇天に笑う』(2018年公開)主演と、注目作品が多数控えている。
映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
12月17日(土)より全国東宝系にてロードショー
ぼくは明日
ぼくは明日
ぼくは明日
(C)2016「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」製作委員会
1150万部を突破した大ヒット小説「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」が遂に実写映画化!
京都に暮らす美大生・南山高寿(福士蒼汰)は、いつものように大学まで向かう電車の中で出会った女性・福寿愛美(小松菜奈)を一目見た瞬間、恋に落ちた。勇気を振り絞って声をかけ、「また会える?」と約束を取り付けたようとした高寿だったが、それを聞いた彼女は、なぜか、突然涙してしまう―。彼女のこの時の涙の理由を知る由もない高寿だったが、2人は意気投合し、その後、すぐに交際をスタート。二人の交際は誰もがうらやむ程に順調で、すべてがうまくいくものだと信じていた…。
「わたし、あなたに隠していることがある…」初めてキスをした日、高寿は、愛美から想像もできなかった大きな秘密を明かされる…。そして、二人の運命は“すれ違い”始める―――。

公式サイト: http://www.bokuasu-movie.com/
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