主役よりも良いポジションの女優(4/5) | Deview-デビュー
2014年4月14日

 吹石一恵が東京で本格デビューした頃、「あの子は絶対ブレイクする」と言う関係者は少なくなかった。当時15歳、現在31歳。彼女はブレイクしたと言えるのか?

 “ブレイク”の定義は曖昧だが、1982年生まれの彼女と同学年や1コ上・下の女優には柴咲コウ、安達祐実、深田恭子、加藤あい、真木よう子といった顔ぶれがいる。この辺と比べると吹石はブレイクし損ねた印象がある。

 一方、NHK朝ドラのヒロインを務めた岡本綾や藤澤恵麻や池脇千鶴、“チャイドル”ブームを起こした吉野紗香や前田愛、『ポカリスエット』CMの後藤理沙、ポスト広末涼子の一番手だった内山理名も同じ世代。一時は華々しく脚光を浴びつつ、現在は引退組もいるこの辺と比べれば、吹石は今も出演作が多い。

彼女に主役やヒロインのイメージは薄い。実際あまりやってない。だが、『華麗なる一族』の木村拓哉の妹や、『ROOKIES』の佐藤隆太の同僚教師など、気づけばアレにもコレにも出てた感じ。大ヒット映画『永遠の0』にも出演。そして、今回の『S−最後の警官−』同様、与えられた役をきっちり演じてきた。

 きれいで人気ある女性タレントは、演技力に難があっても主役級でキャスティングされることは少なくない。美人モデルやアイドルがドラマで棒読みのセリフを言ってるのを観た経験は、誰でもあるはず。

 けど、そういう女優は次のきれいな子が出てきたら、お呼びがかからなくなる。そこまでヘタでなくても、主役を続けることで飽きられてフェイドアウトする例も多い。

 その点、吹石は演技力が確かで、いろいろな役で使ってもらえる。主役でない分、飽きられない。15年以上、出演作が途切れずにきた。競争が激しい女優界で生き残るには、ブレイクはしなくても、ある意味格好のポジションを掴んだ。

 最近、そのナイスポジションを継ぎそうな若手女優もいる。
(続く)


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