2014年4月15日
1月クールの連ドラで『S−最後の警官−』同様、“惜しい”と感じたのが『夜のせんせい』だ。舞台は定時制高校。観月ありさ演じる主人公がスナックママから臨時教員に転身して受け持ったクラスには、年齢も境遇も様々な生徒がいて。
IT企業の社長、暴力団組員、マンガ家アシスタント、役者志望のホスト、大企業の元会長、女子格闘家、専業主婦、グラビアモデル…。いくら定時制とはいえ、こんなクラスはないと思うが、そこはいい。“大人の学園もの”の意図は分かるし、1人の生徒のためにクラス全員が立場を越えて助け合う姿に感動もあったが、作りもの感が強く話が浅い。
このドラマの語り部(ナレーション)も担ったのが、元引きこもりの24歳役の蓮佛美沙子。彼女は2005年に角川映画とソニーミュージックが組み大々的に行った『ミスフェニックス』オーディションのグランプリ。名作のリメイク映画『転校生』で主演デビューしたが、パッとしない印象があった。
ヴィジュアルも女優として飛び抜けて美しいとは言えず。グランプリは獲ったけど…というパターンになるかと。でも、『PRICELESS』の木村拓哉の彼女や『潜入探偵トカゲ』の松田翔太の助手など、一瞬“この子は誰だっけ?”と思いつつ、“あっ、蓮佛か”と気づくことが増えていった。『夜のせんせい』では自分がメインの1話以降も、観月と生徒たちをつなぐ役どころを抑えた演技でまっとうしていて。
彼女もビッグオーディションのグランプリとしては、主役クラスに届かず期待通りではなかったかも。だが、『ミスフェニックス』と同時期に行われた『第6回東宝シンデレラ』『松竹STARGATE』のグランプリは今、名前を聞かない。
押される分、プレッシャーはつきまとう。4番打者でなく6番ぐらいで伸び伸び打ったほうが、長く活躍できることもある。それも成功の一つの形。一瞬輝く以上に演技力は必要だが。
(終わり)
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