『SPEC』の映画化は成功したのか?〜結〜(5/6) | Deview-デビュー
2014年1月8日

 『SPEC〜結〜漸の篇』では“シンプルプラン”がようやく明らかになった。世界の秩序を守るためSPECホルダーの全滅を図る国際組織が、SPECホルダーだけが感染するウイルスをバラまく計画。そのウイルスの入った瓶が最後に割れて、当麻も感染した。

 だが、『爻の篇』前半で早くも、さんざん引っ張ったシンプルプランはストーリー的にどうでもいいものになる。子供のSPECホルダーが感染して死に至り、野々村係長の死に続き当麻の怒りに火をつけただけで。

 そして人類最後の決戦へ突入するわけだが、“先人類”を名乗り「神とも呼ばれる」というセカイ(向井理)と潤(大島優子)に、当麻らが警視庁の屋上で立ち向かうだけ。CMでも流れたように、赤茶けた空をバックに。人類の命運をかける戦いにしては小じんまりと。その屋上での対決シーンが、映画全体の3分の2ほどを占めていた。

 しかも、うち半分ほどが互いの主張のし合い。セカイは「欲望にまみれた人類はガイア(地球生命体)を脅かすので滅ぼす」と言い、当麻は「人類の未来は人類で決める」と。『ウルトラマンガイア』で“守るべきは人間か地球か”という論争がガイアとアグルの間で交わされてたのを思い出した。

 とにかく場所を変えず屋上で一進一退の攻防をしてるので、観てる分にはイマイチ盛り上がらない。これもCMで流れた通り、ニノマエや冷泉、サトリら過去に出たSPECホルダーがズラリ登場するシーンもある。豪華に見えて、劇中ではあっさりセカイに消されてしまった。せっかくなら、もっと見せ場を作れば良かったのに。

 そして、最後は瀬文が命運を握ることになるのだが、流れが雑なところもあって。
(続く)


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