朝ドラ『あまちゃん』を盛り上げる程よい王道の外し方(5/6) | Deview-デビュー
2013年5月14日

 初回20.1%、3週目には22.0%の高視聴率を記録した朝ドラ『あまちゃん』。脚本はクドカンこと宮藤官九郎だ。『木更津キャッツアイ』や『タイガー&ドラゴン』で見せた独自のコミカルテイストを発揮。「あんたバカぁ?」「ヒロシです」といった小ネタがさり気なく入ったり、ヒロインの祖母役の宮本信子が担当するナレーションもクスリと笑える。

 たとえばアキが駅のホームで、地元のお嬢様のユイから「東京でアイドルになるの」と夢を告白されたところ。「バカなのか? 毎日あんなブ厚いステーキばかり食べてるからどうかしちゃったのかしら。とりあえずアキは聞こえてない振りを装いました」。その後でユイはトンネルに向かい、「アイドルになりたーーい!!」と大声で叫び、聞かざるを得なくなるのだが。

 そんな中でアキが、母親が自分と同じ年代だった頃に使っていた部屋に入るシーンもあった。東京に飛び出た1984年の夏のままの状態。ポスターやらレコードやら。ナレーションでは「チェック柄のヘンな髪型の若者たち。肩パッドの男。猫の免許証…」と紹介。ドラマでは現物も映ったが、これ何のことか分かります? 分かったら同志です。

 ヘンな髪型の若者はチェッカーズ、肩パッドの男は吉川晃司、猫の免許証はなめ猫。特になめ猫なんて、若者は知らんでしょう。でも、オッサンには懐かしい。クドカンと同世代だけにツボる。『あまちゃん』にはこの手の懐かしネタが随所に出てくるが、朝ドラの視聴者的に効いてるようだ。

 そもそも母親の春子役が小泉今日子だから。このキョンキョン演じる母親というのが、また良い味を出していて。
(続く)


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