2013年5月15日
能年玲奈がヒロインを演じる朝ドラ『あまちゃん』で、母親の春子役は小泉今日子。84年に家出同然で三陸を出た設定で、回想シーンがたびたび入る。当時の春子役は有村架純(『SPEC』で係長の愛人・雅ちゃん役)で、その髪型が聖子ちゃんカット。
当時は松田聖子の髪型をマネる女性は多く、小泉もデビュー時は聖子ちゃんカット。アイドルとしてフォロワーの1人だった。後に自ら髪を刈り上げて独自の存在になっていったが、彼女のデビュー時を知ってると、聖子ちゃんカットの回想シーンにニヤリとする。有村がまた昔のキョンキョンに似ていて。
といった同世代ウケの小ネタは別にしても、小泉の母親役はスパイスになっている。本人が会見で「ヒロインの一番の理解者で、微笑みを絶やさないお母さんをやりたかったのですが」と話していたが、朝ドラの母親役はそんなイメージ。けど春子は、飲んだくれるわパチンコは打つわ、母親(アキの祖母)や周りに当たり散らすわと、やさぐれ気味。そこに定型でない存在感がある。母親だって1人の人間。自分の母親や娘との関係や、田舎と都会について悩んでいるんだと。
小泉自身、年齢よりも若々しい分、いわゆる“お母さん”役はイメージしにくいが、こんな母親ならハマるのが新鮮な驚きだった。かつて彼女に「なんてったってアイドル」を提供した秋元康が、「10代の頃と気持ちが変わってない人」と評していたのは納得。だからこそ演じられる春子役。好調『あまちゃん』で彼女が担う部分は少なくない。アキといい春子といい、前作『純と愛』は朝ドラの基本を外し過ぎたが、『あまちゃん』は程よい外し方が吉と出ている。
ところで春子には、高校時代は地元で知らぬ人のいないツッパリだった…との設定もある。自分たちがアイドル小泉を見ていた時代から、「キョンキョンはデビュー前は厚木のツッパリ」というのが公然の秘密のようになっていて。脚本の宮藤官九郎はそこまで踏まえてネタにしたのだろうか。てか、“ツッパリ”って分かります?
(終わり)
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