2013年5月13日
朝ドラ『あまちゃん』で能年玲奈が演じるアキは、母親の24年ぶりの帰郷に連れられ岩手の三陸海岸の町に来て、海女の魅力に取りつかれた役。何とか潜れるようになってもウニは全然獲れず、無理して溺れかけて祖母から海に入るのを禁じられたり。家では折り合いの悪い母と祖母の間に入ったりと、アレやコレやの青春を過ごしている。
朝ドラのヒロインは、ひたむきに頑張る役柄が新人女優の奮闘とシンクロするのが伝統。ただ、能年は良い意味で頑張り過ぎない。というか、女優としては目いっぱい頑張ってるのだろうけど、おっとりした雰囲気から肩の力が抜けて見えて。
劇中でも、何があっても過度に落ち込む空気は出さない。ドラマの明るいトーンを決定づけ、良い後味しか残らない。で、かわいい彼女がたっぷり観られるのだから、そりゃ毎日楽しみでしょう。
一方、ただのアイドルドラマにもなってない。大きなテーマがさり気なく据えられている。都会と田舎、という。アキの母親の春子(小泉今日子)はもともと海女を継ぐのを拒み、家出同然で東京に出た。アキの親友になったユイ(橋本愛)はアイドルが夢で、東京に憧れる。地元訛りで喋っていたアキに、ユイは「バカにされてる感じがする。…言い過ぎたけど半分は本心」という。アキが「ネットがあれば東京も田舎も変わらない」と言えば、「私はそんなこと言えない。田舎者の負け惜しみになるから」と。
地元でなり手がいない海女に憧れるアキと、見たことのないビルや地下鉄やネットカフェに惹かれるユイ。お互い目の前のものの良さは見えないスレ違い。でも地方在住で芸能界を目指す人は、ユイに共感は大きいだろう。ドラマ後半ではアキが東京に戻り、アイドルグループで活動するそうで、そっちも楽しみだ。
そして、『あまちゃん』の魅力は能年や橋本の美少女ぶり以外にもたくさんある。
(続く)
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