AKB48×劇団鹿殺し×コンドルズのコラボにより、たった6人のキャストで、人間の極限状態と純愛を描く監禁劇・舞台『山犬』が27日、東京・池袋のサンシャイン劇場で開幕した。

　多くの話題作を手掛ける劇作家・演出家の丸尾丸一郎（劇団鹿殺し）が、2006年、2014年に上演してきた怪作を「男女逆転ver.」として蘇らせた本作。丸尾脚本・演出の舞台『マジムリ学園』（2018）でタッグを組んだAKB48のメンバーから、岩立沙穂、太田奈緒、谷口めぐが抜擢され、文字通り体当たりの熱演を見せている。

　およそアイドルが口にするはずのない罵詈雑言が飛び交い、血みどろの惨劇が展開される舞台。しかし、そこには疎外された者の胸を締め付けられるようなさびしさ、愛情への渇望、純粋過ぎる愛ゆえの狂気が渦巻いている。パロディやギャグ、歌も交えながら暴力的に突き進み、ついには美しささえ湛えるラストになだれ込む演出も見事だ。

　AKB48のファンもギリギリを超え、リミッターを外した3人の演技にきっと驚かされるはず。取材したのは公開ゲネプロの段階のものだが、ステージ経験も豊富なメンバーのこと、開幕し客前に出ることによって、さらに煮込まれ、濃厚でコクのある表現が出来上がるに違いない。劇中のインド人コックが作るカレーのように…。

　舞台「山犬」は本日から3月3日（日）までサンシャイン劇場にて、大阪公演が3月6日から3月10日までABCホールにて行われる。

■舞台『山犬』あらすじ
「私たちが埋めたタイムカプセルを一緒に掘りに行きませんか？ ハマダマコト」。同窓会の前日に届いた一通の手紙。しかし、誰もその名前に記憶がない。10年ぶりに再会した元コーラス部の生徒たちと先生は、手紙に導かれてタイムカプセルを掘るため、学校の裏山へと向かう。タイムカプセルの中には、骨とハマダマコトの名札が入っていた。その時、何者かに襲われて山小屋に監禁されてしまう。そして、始まる記憶探しのサバイバルゲーム。「シヌキデオモイダセ」 誰かが過去を思い出す度、配給される食糧……。果たして彼女たちは解放されるのか、それとも恐怖と空腹に支配されてしまうのか。

脚本・演出：丸尾丸一郎（劇団鹿殺し）
原案：入交星士
音楽：オレノグラフィティ
キャスト：岩立沙穂(AKB48 TeamB)／太田奈緒(AKB48 Team8)／谷口めぐ(AKB48 TeamB)
山本光二郎（コンドルズ）
オレノグラフィティ（劇団鹿殺し）
丸尾丸一郎（劇団鹿殺し）