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2025/11/13 18:01
映画『君の顔では泣けない』高橋海人の高校生時代役の新星・武市尚士、男女入れ替わりの難役を演じ切る「俳優活動は絶対に体験できない人生を生きられる新鮮な場所」
高校1年生の夏、体が入れ替わった男女・坂平 陸と水村まなみ。15年間にわたって互いの人生を生きてきたふたりの様々な体験、葛藤、選択を繊細に描き出す映画『君の顔では泣けない』が、11月14日全国公開となる。高橋海人(※「高」ははしごだか)演じる水村まなみの高校生時代を演じるのが、スターダストプロモーション所属の新人&若手俳優集団・恵比寿学園男子部「EBiDAN」の研究生「EBiDAN NEXT NAGOYA」のメンバーとして活躍し、本作が映画初出演となる武市尚士。俳優としての活躍も期待される15歳に、作品・役作りについて、撮影エピソード、現在の活動から今後の目標についてまで話を聞いた。
■武市尚士インタビュー
――男女の体・人生が入れ替わるという大変難しい役柄だったと思いますが、作品を拝見して、スッと置かれた状況を理解して物語に入ることができ、自然に15年後の姿へと繋がって行く、素晴らしい演技だったと感じています。今回、オーディションを経てキャスティングが決まったそうですが、それ以前から君嶋彼方さんの原作小説を読まれていたそうですね。
【武市】「体が入れ替わったまま元に戻らないという作品を初めて読んだので、すごく新鮮でした。そんな作品のオーディションに呼んでいただけたので、絶対に決めたいと思って臨みました。その後、EBiDAN NEXT NAGOYAのライブが終わった後にマネージャーさんに呼び出されたので“絶対にライブのダメ出しだ”と思ったんですが、そこで渡された手紙を開けたらまさかの“合格”って書いてあったんです! 最初は喜びより動揺がすごかったんですが、だんだんと嬉しい気持ちが上がってきて、最後はテンション爆上がりでした」
――オーディションにはどんな気持ちで臨みましたか?
【武市】「陸の体を持ったまなみを僕が演じるので、その入れ替わりを分かりやすく感じられるように演じました。しゃべり方をゆっくり丁寧にしたり、歩き方も敢えてゆっくりとするように意識しました。内側で変わったつもりで演じていても、観る人がそれを感じられないと作品の意図が伝わらないので、そこを心がけてオーディションに臨みました」
――実際、撮影では監督の演出や共演者とのやりとりもあると思いますが、そこでどのように“まなみ”を作り上げていきましたか?
【武市】「最初は女性らしさを意識して演じていたんですが、坂下(雄一郎)監督から“女性らしさを演じるよりは、水村まなみという人を演じた方がいいよ”というアドバイスをいただきました。まなみならこんなときどう行動するか、まなみなら陸が困っている時にどうやって接してあげるか…とにかく“自分がまなみだったら”ということを考えるようにしました」
――まなみにも葛藤があって、すごくつらい時も努めて明るく振る舞う場面もあります。入れ替わりも含めて、二重三重に演じる難しさもあったのではないですか?
【武市】「学校の帰り道で、まなみが陸に対して初めて元に戻れないかもしれないことに対する不安な気持ちを伝えるシーンがあって。そこで最初、まなみは本心を伝えるんですが、陸は自分が思っていた以上に落ち込んでしまったので、まなみがすぐ切り替えて“嘘だよ”という感じで元気に振る舞うんです。そのワンシーンのなかで、自分の本心をやっと言えたという気持ちと、それを隠して明るく振る舞う感情を一度に表現しなくてはいけなかったので、難しかったですし、大切に演じなきゃと思いました」
――陸役を演じた西川愛莉さんと一緒のシーンが多かったと思うのですが、現場ではいかがでしたか?
【武市】「ロケバスもよく一緒に乗っていたんですが、撮影を待つ間に、陸とまなみの役を入れ替えて演じたりしました。お互いがもし元に戻ったならどう演じるかやってみることで、お互いの本来の姿を知ることができましたし、もっと役の理解を深めることができました。実際に、西川さんの姿勢が少し前のめりだったり、自分の姿勢はスッとして柔らかいしゃべり方だったり、対比が出せたと思います」
――武市さんの演じたまなみが、高橋海人さんが演じるまなみにも自然と繋がっていたのが印象的でした。
【武市】「高橋さんと陸役の芳根京子さんの撮影を見学させていただくことができたんです。高橋さんが演じるまなみは余裕があって元気で、丁寧でより一層優しさを持っているように感じられたので、自分も高橋さんを意識して、姿勢も正してゆっくり丁寧に優しく振る舞うようにしました」
――監督からの言葉や演出で記憶に残っていることはありますか?
【武市】「監督からは“まなみをもっと出すために、一回全力で笑ってみて”というアドバイスいただきました。全力で笑って一気に緊張をほぐしてからお芝居をしたら、余裕はないけど余裕っぽく見せる演技がやりやすくなったので、“困ったら笑顔”を意識しました」
――リハーサルの時に芳根さんが現場にいらっしゃったことがあったとか?
【武市】「芳根さんがお越しくださると聞いて、まさかと思ってすごくびっくりしました。真剣に見てくださっていたので緊張しましたが、アドバイスをいただきました。演技をする時の大きさは、だんだんと力を入れていくんじゃなくて、最初に全力を出して、監督の指示をいただいてから小さくしていくほうがいいよって教えていただいて。その言葉に本当に感動して、いつも意識するようにしています」
――まなみの高校時代は約15年前が舞台ということで、スマホではなくガラケーという時代も新鮮だったのでは?
【武市】「ガラケーはおばあちゃんの家で見たことはあっても、実際に触ったことはなかったので、片手で開くのに少し苦戦しました。その時代は当たり前のものだったので、慣れた感じで一回で開けて、カメラの起動までを最短でできるように西川さんと練習しました。あと、二人が待ち合わせをする喫茶店『異邦人』の店内の様子や、アイスが乗ったメロンソーダとコーヒーが、僕が小説を読んだ時のイメージと完全に一致していて、びっくりして感動しました」
――映画をご覧になって、ご自身が好きなシーンはありますか?
【武市】「身体が入れ替わった後に、親友の田崎とふざけてプロレスをするシーンが好きですね。入れ替わった直後のまなみは、陸がやっているのを見たことしかないので田崎の動きにのまれていて。でも僕もプロレスはやったことがなかったので、同じ状況で演じやすかったんです。高校の卒業式のシーンでもプロレスをやっているんですけど、そこでは少し年月が経っているのでまなみも慣れていて、自分から攻撃を仕掛けられるようになっている。そのときは田崎と全力で戦うのを意識してとにかく楽しみました。その2つのシーンで、台本には描かれていない高校生活を垣間見せることができたと思います」
――この映画を観た人にどんなことを感じてほしいと思いますか?
【武市】「この作品は、観る方によって感じ方が違うところがたくさんあって、観終わった後も、何度も妄想が膨らむ映画ですし、正解はないので、いろいろな角度で観ていただきたいです。元に戻ることができたのか、それぞれの人生を歩むことになるのか、葛藤や心情が現れた切ない作品になっているので、感じながら観ていただきたいです」
――ありがとうございます。こちらデビューという媒体ですので、武市さんのデビューのきっかけについて教えていただけますか?
【武市】「小学生のころからアイドルが好きで、嘘みたいですけど、本当にKing & Princeさんが大好きで、ハマって観ていたんです。中学生になった頃、本格的に芸能界に興味を持って事務所を探しているときに、地元の名古屋で活躍するEBiDAN NEXT NAGOYAの動画を見て、この先輩方と一緒に芸能活動をしたいと思って、自分で応募しました」
――現在「EBiDAN NEXT NAGOYA」のメンバーとして活躍中ですが、グループ活動と俳優活動、それぞれのやりがいや、楽しさについて教えてください。
【武市】「俳優活動は、自分が体験したことがないことを体験できる新鮮な場所だと思っています。この映画の撮影中も、そもそも絶対に体験できないような“入れ替わり”や、別の人生を生きたことに楽しさとやりがいを感じます。グループ活動については、僕はあまり人前に立つことが得意ではなかったのですが、たくさんのファンの方に自分を最大限見せて応援してもらえるという楽しさを知って、自信を持つことができました」
――今後の目標や夢について教えてください?
【武市】「事務所の先輩で、同じ愛知県出身のM!LKの佐野勇斗さんのように、アイドルと俳優のどちらも両立できるようになりたいと思っています。俳優活動もグループ活動も二つとも大好きなので、どちらも続けながら活動していきたいです」
――両方を高いレベルで続けているお手本の方が事務所の先輩にいるというのは心強いですよね。
【武市】「はい!そして、子供の頃から好きなKing & Princeの高橋海人さんは、一番尊敬している方です。早口ではなくゆっくり喋るとか、丁寧に落ち着いて焦りすぎないということなど、参考にさせていただいています」
――今回の映画の撮影現場でも高橋さんにお会いしましたか?
【武市】「高橋さんにお会いして、演技に対するアドバイスをいただきました。相手役のセリフを自分で一通り録音して、それを再生しながら自分のセリフと掛け合いをするという練習法を教えていただいて、参考にさせていただきました。あとは台本を読むときに、必ず奥の心情を見るようにするというアドバイスもいただいて…本当に一生の宝物です」
――今後、武市さんに憧れてこの世界に入ってくる人もいるかもしれません。芸能界を目指す人たちに、エールをいただけますか?
【武市】「僕はやりたいという気持ちだけでこの世界に入ってきて、いろいろやっても、もっといろんなことがやりたいという楽しみがたくさんある世界なので、やりたいという気持ちを大切にして、一歩を踏み出してみるのがいいと思います」
■Profile
2010年3月8日生まれ、愛知県出身。スターダストプロモーション所属の新人&若手俳優集団・恵比寿学園男子部「EBiDAN」の研究生である「EBiDAN NEXT NAGOYA」のメンバーとして、CBCラジオ「酒井直斗のラジノート」やテレビ東京「DAN! DAN! EBiDAN」に出演するなど、精力的に活動中。2024年「D&D〜医者と刑事の捜査線〜」第3話にてドラマ初出演を果たす。本作が映画初出演。
■『君の顔では泣けない』ストーリー
高校1年生の夏、坂平陸と水村まなみは、プールに一緒に落ちた翌朝、体が入れ替わってしまう。必ず元に戻ると信じ、家族にも秘密にすると決めた二人。だが、“坂平陸”としてそつなく生きるまなみとは異なり、陸はうまく“水村まなみ”になりきれず戸惑ううちに時が流れていく。もう元には戻れないのだろうか。“自分”として生きることを諦め、新たな人生を歩み出すべきか――。迷いを抱えながらも二人は、初恋、卒業、進学、就職、結婚、出産、親との別れ… さまざまな人生の転機を経験していく。しかし、入れ替わったまま15年が過ぎた30歳の夏、まなみは「元に戻る方法がわかったかも」と陸に告げる…。
<ヘアメイク>
灯(ROOSTER)
<スタイリスト>
難波雅恵(SMKT)














