ニュース
2025/01/01 12:30
主演映画『ありきたりな言葉じゃなくて』公開中の前原滉 若きバイプレイヤーから注目の俳優へ「やることと言えば、これからも芝居を頑張ることだけ」
若き名バイブレイヤーとして多くの作品で活躍する俳優・前原滉。現在は主演映画『ありきたりな言葉じゃなくて』が公開中で、2025年1月13日スタートの連続ドラマ『119エマージェンシーコール』へもレギュラー出演が決定した。トライストーン・エンタテイメントに所属して今年で10年目。知名度の向上とともに、近年は俳優業とは異なる露出も増えている。2025年もさらなる充実が期待されている前原に新年の抱負を聞いた。
■前原滉インタビュー
──2024年は数多くの作品に出演したほか、年末からは主演映画が公開と充実した1年になったのではないですか?
「周りから“忙しそうだね”と言われることは多かったですね。自分の実感としては“そんなスケジュール詰まってないですよ”という感じなんですけど、それでいて"たくさん出てる風"に見えるのはラッキーというか(笑)、ありがたいなと思ってます。2025年はもっと実働日数を増やした上で、そう言われるくらい頑張りたいです」
──2025年は連続ドラマ『119エマージェンシーコール』が"仕事始め"。どんな役になりそうですか?
「僕が演じる箕輪健介は消防局の指令管制員の1人で、おしゃべり好きなキャラクターです。主演の清野菜名さんや瀬戸康史さんと同じチームなので、僕にしては珍しく全編を通して共演者の皆さんと関わるドラマになりそうで楽しみですね。緊迫した場面も多いドラマなので、息抜き的なポジションになれたらと思っています」
──瀬戸康史さんとはNHK朝ドラ『まんぷく』(2018年)以来の共演ですね。
「その後も食事に連れて行ってもらったり、すごく良くしてもらっています。瀬戸さんは面倒見もいいですし、誰に対しても分け隔てがないですし、とにかく人間としての器が大きいんですよね。3〜4歳しか変わらないので大きな括りでは"同世代俳優"なのかもしれないですが、瀬戸さんと話してるとまだまだ自分は俳優としてのスタート地点に立ったばかりだなと感じたりもします」
──近年は"若き名バイプレイヤー"と評価されることも増えていますが、主役と脇役で臨み方の違いはありますか?
「芝居に関してはやることに違いはぜんぜんないです。ただ作品を背負う意識は、誰よりも持たなければいけない立場なんだなと感じました。具体的には舞台挨拶に立ったり、芝居を受けたり、芝居以外にやることが多いんですよね。それが嫌だというわけじゃなくて、現場が終わっても作品を届けるまでスタッフのみなさんともうひと頑張りさせてもらえる。その役まで任せていただけるのは嬉しいことだなと思います」
──主演として現場を引っ張るという意識についてはどうですか?
「主演俳優にもいろんなスタンスがあると思いますが、僕はあまり“ついてこい!”というタイプじゃないので(苦笑)。意識していたのは、少なくとも現場で働く人の間に上下を作らないことくらいでした。特に若いスタッフって役者に“座ってください”とか椅子を持ってきてくれたり気を遣ってくれるんですが、あまり気を遣わなくていいように言ってました。」
──映画の現場では俳優部、中でも主役がヒエラルキーのトップという認識が根強いのかもしれないですね。
「その気遣いはありがたいと思いつつも、そのスタッフには別の仕事があるわけで、そっちに専念したほうがいいはずなんです。現場にいろんなプロフェッショナルがいる中で俳優部が偉いというのも変な話だし、みんながフラットなほうが現場の雰囲気も良くなるじゃないかなと思うんですよ。もちろん自分のやり方が正解だと思ってるわけじゃないんですが、自分が心地いいなと思える現場の雰囲気作りまで踏み込めるのが主演というポジションの特権なのかなと思いますね」
──主演映画『ありきたりな言葉じゃなくて』では、脚本家の卵を演じました。役に共感するところはありましたか?
「半々ですね。僕も主人公と同じように“何者かになりたい”“なれるんじゃないか”という気持ちはすごくあるし、なかったらこの仕事はしてないと思います。ただ僕は何か大きな仕事をいただいても、主人公のように舞い上がることはなくて。むしろ“これから大変だぞー。なんとか楽しめるように頑張ろう”となるほうだと思います」
──本作の主人公は掴みかけた夢を自慢してしまう。それが原因で奈落の底に突き落とされますが、前原さんはその心配がなさそうですね(笑)。
「その行動に拒否感を覚える方もいるようですが、彼のように承認欲求を全開にできるのも人生楽しそうだなと思ったりもします。共感はできないですけど(笑)。自分の中で消化できなかった部分は、共演の皆さんが芝居や空気感で埋めてくれましたね。本当に自分が主演というのが不思議なくらい、キャストが素敵な役者さん揃いなんですよ」
──『沈黙の艦隊』で共演した酒向芳さんとの父と息子のシーンも素晴らしかったです。
「酒向さんとは『沈黙〜』では一緒のシーンになることがなかったんですけど、本当にかっこいい方でしたね。紳士で色気があってユーモアもあって。名バイプレイヤーと言われていますけど、掴みどころがないような、それでいてどんな役にでもフィットするような奥行きのある雰囲気を纏った方でした。僕も酒向さんくらいの年齢になった時にこんな俳優になれていたら……という目標ができましたね」
──今年でトライストーン・エンタテイメントに所属して10年。3月15日に開催されるファン感謝イベント『Tristone Fan Fes 2025 〜UNDOKAI〜』には、小栗旬さん率いるチームで出場されるそうですね。
「はい、事務所の所属タレントが4チームに分かれてチーム対抗戦を行います。小栗さんや綾野剛さん、田中圭さんといった先輩方のように、自分がチケットの売り上げに貢献できるかどうかはわからないですが(苦笑)」
──前原さんも女性ファッション誌のインタビュー&グラビアに登場したりと、確実にファンを掴んでいるのでは?
「どうしても“どこに需要が!?”という自己認識から離れられないんです。でもオファーをいただく以上は、“そういう需要もあるんだな”と受け入れる許容も持っていないといけないというか。いつまでも“トライストーンの飛び道具です”とか、自虐ネタを言っててもダメだよなとも思い始めています」
──俳優業が充実した先にファンがついてくるというのは、俳優にとって理想的な形なのでは?
「たしかにやることと言えば、これからも芝居を頑張ることだけなんですよね。それこそ思いがけない需要もそうですけど、“こうすればこうなる”という正解がないのが俳優業の面白いところだなと改めて感じています。僕はゲームも攻略本を見ないで先に進めるのが好きなので、そういう意味ではこの仕事が向いていたのかもしれないです」
──最後に2025年に実現したいことを教えていただけますか。
「海外に行きたいですね。僕、今まで行ったことがないんですよ。かと言って長期の休みが入ると“大丈夫か?”と不安になってしまいそうなので(苦笑)、仕事が第一優先というのはこれまでと変わらないかなと思います。そういう意味では仕事で海外に行けたら最高だなと、そんなオファーをお待ちしたいです(笑)」
(取材・文/児玉澄子)
【PROFILE】
前原滉(まえはら・こう)●1992年11月20日生まれ、宮城県出身。
高校卒業後、演技未経験からトライストーン・アクティングラボ(TSAL)』入所。レッスンを経て、トライストーン・エンタテイメント所属の俳優となる。連続テレビ小説『まんぷく』(NHK)などのドラマや、各映画賞で高い評価を受けた『あゝ荒野』(前篇)などの映画に出演。2019年のドラマ『あなたの番です』(NTV)でマンションの新管理人役を演じ注目された。2023年はドラマ:連続テレビ小説『らんまん』(NHK)波多野泰久役で注目され、2024年にはドラマ:『沈黙の艦隊シーズン1〜東京湾大海戦〜』(Amazon Prime Video 2月9日〜配信)、 映画:『笑いのカイブツ』などでも存在感を放つ。2024年12月20日公開の映画『ありきたりな言葉じゃなくて』では新人脚本家・藤田拓也役で主演。2025年1月13日スタートの連続ドラマ『119エマージェンシーコール』(フジテレビ)には箕輪健介役でレギュラー出演する。
■映画『ありきたりな言葉じゃなくて』(全国公開中)
■ストーリー
青春から遠くも近くもない32歳の藤田拓也は、町中華を営む頑固な父と愛想のいい母と実家暮らし。ワイドショーの構成作家として毎日徹夜でナレーション原稿を書き散らす日々が続いている。そんなとき、先輩の脚本家の推薦によって、ようやく念願の脚本家デビューが決まった。「脚本家」の肩書を手に入れ浮かれた気持ちでいる拓也と偶然出会う謎の女性・りえ。2人は意気投合するが、りえと出会ったことで拓也は予期せぬトラブルに巻き込まれていく…。、
出演:前原滉
小西桜子 内田慈 奥野瑛太 那須佐代子 小川菜摘 山下容莉枝 酒向芳
池田良 八木光太郎 沖田裕樹 敦士 鈴政ゲン 加藤菜津 佐々木史帆 高木ひとみ◯ 谷山知宏 今泉マヤ 根岸拓哉
チャンス大城 土屋佑壱 浅野雅博 外波山文明 玉袋筋太郎
脚本・監督:渡邉崇
原案・脚本:栗田智也