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2024/01/05 18:02

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映画『正欲』で鮮烈な印象を残した新進俳優・東野絢香 「2024年はたくさんの出会いに期待しています」

東野絢香:撮影/厚地健太郎
東野絢香:撮影/厚地健太郎

 2023年の第36回東京国際映画祭で最優秀監督賞、観客賞を受賞した映画『正欲』のメインキャストの1人として鮮烈な印象を残した俳優・東野絢香。2023年はそのほかドラマや舞台と充実の1年となった。18歳から俳優養成機関「トライストーン・アクティングラボ」で学び、21歳で現事務所トライストーン・エンタテイメントに所属。順調にステップアップしてきた彼女の歩みには、俳優を目指す人たちへのヒントがあった。

■インタビュー「東野絢香」

「2023年はこれまであまり演じたことのないタイプの役が多く、今だからこその挑戦がたくさんできた年だったなと思います」

──2023年の東野さんのトピックスといえば映画『正欲』の神戸八重子役。東京国際映画祭のレッドカーペットや舞台挨拶でのドレスもとてもステキでした。

「作品を一緒に作ったみなさんと再び集まって、映画好きな方々の前でお披露目できる──。緊張はしましたが、ただただ幸せでした。大好きな映画に携われたばかりか、こんなご褒美までいただいてなんとありがたいことだろうと、あの熱気あふれる会場でひたすら幸福感に浸っていましたね」

──撮影は2022年の半ば頃だったそうですが、改めてご自身の演技を観ていかがでしたか?

「だいぶ時間が経っていたこともあって、ほかの登場人物のストーリーも含めて感情が揺さぶられましたね。もう少し早い公開だったら『こんな芝居のアプローチもあったんじゃないかな』とか、観ながらいろいろ考えていたかもしれません。いまだにセリフは覚えていますし、ふとしたときに八重子のことを思い出すこともありますから」

──男性に対するトラウマを抱えた役どころ。中でも諸橋役の佐藤寛太さんと対峙するシーンは、映画のハイライトの1つでもありました。

「岸善幸監督はとてもキャストを信頼してくださる方で、うまく演じるよりもその場で生まれた感情を大切にしてくださるんです。特にあのシーンは感情をトップにまで持っていかなければならなかったんですが、何度も反芻すると自分の中で感情の鮮度が落ちてしまうこともあって──」

──役作りをしすぎると、感情がウソっぽくなってしまうこともあるということでしょうか?

「もちろん八重子のこれまでの人生、彼女の転機になった出来事などを自分の中に入れておくことは大切でしたが、その上で、その場で湧き上がった感情を吐き出すには、その瞬間の心が大きく動いていないといけないんです。それでも感情をずっとトップにキープしておくのは、なかなかしんどいもので。そんなときには『お芝居を止めていいよ』と声をかけてくださるんです。新人が現場を止めるなんて──と思いながらも、そういった監督の細やかなフォローのおかげであのシーンができたところが大きかったです」

──2023年後半は映画『正欲』への反響が大きかったですが、その他のお仕事も充実。振り返ってどんな1年でしたか?

「これまであまり演じたことのないタイプの役が多かったです。その分、完成形が見えず『こういうやり方もあるかな』とか、ひたすら考えていました。ただそれが不安というよりも、『初めてだし、失敗して怒られてもまた頑張ればいいや』というワクワク感のほうが大きかったです。初めてのことって年齢を経るごとに減っていくと思いますし、今だからこその挑戦がたくさんできた年だったなと思います」

──特に印象深かった出来事を教えていただけますか?

「夏に出演させていただいた舞台『メルセデス・アイス』の演出・白井晃さんに、『不思議な女優さんだよね』とおっしゃっていただいたことが心に残ってます。児童書が原作の大人から子どもまで楽しめるファンタジーで、私が演じたのは少女から太っ腹母ちゃんまで。しかも常にハイテンションに、舞台上を動き回る役だったんですね。これは今までの引き出しでは何もアイデアが出てこないなと思って、とにかく童心にかえって誰よりも元気に稽古場を過ごしていました」

──普段、落ち着いて見える印象の東野さんが平場でハイテンションに? 

「白井さんもびっくりされたとおっしゃっていました。2022年に出演させていただいた舞台『温暖化の秋 -hot autumn-』をご覧になっていたから、普段は温度感が低いタイプだと想像されていたそうで。その上で私にこの役を充ててくださったのもうれしかったですし、その期待に応えたいというところも大きかったです」

──ここ数年は毎年1本ペースで舞台に出演されていますが、舞台ならではのやりがいはどんなところにありますか?

「舞台は数日、作品によっては数ヵ月、毎日同じ芝居をすることになります。それがすべて同じにはならない面白さと、一方でこのラインは絶対にキープしたいという安定性みたいなものも必要で。プライベートで何かがあっても幕は開きますし、心と体の安定性も大事になります。そのためにもおいしいご飯を食べて、睡眠もちゃんと取って。舞台をやっている間はいつも以上に健康になりますね(笑)」

■「楽しいことはたくさんあるけれど、どっちを優先させるか? というときに、私はいつもお芝居を選んできたなと思います」

──デビューから順調にステップを踏んできている東野さん。ご自身の経験から俳優を目指す方へのヒントをいただけますか?

「楽しいことはたくさんあるけれど、時間は有限。だから優先順位をつけるのって大事だと思うんです。俳優って私生活と仕事の境目がないんですね。台本を読むのも『何時から何時まで』と決められているわけではないので、自分で時間を捻出しなければいけない。友だちと遊びに行くとか、楽しいことはたくさんあるけれど、どっちを優先させるか? というときに、私はいつもお芝居を選んできたなと思います」

──それはデビュー前から?

「(デビュー前に学んだ)トライストーン・アクティングラボに入ったときからそうでしたね。誰よりも早くレッスン場には来ていました。何をしていたかは覚えてないんですけど(笑)、気持ちを整えたり、高めたりしていたように思います。そのクセなのか、今も舞台稽古などには早めに着いちゃうことが多いんです」

──優先順位の1位がお芝居だとして、それ以外で心の栄養を取ったりはしていますか?

「ほぼ毎日、喫茶店に”避難”しています。それからたまにお花を買ったり、パンを作ったり、お酒を飲んだり、いいお芝居をするために自分の心を安定させることも必要だなと感じるようになりました。あともともと休みの日は家に篭りがちだったんですが、最近は人と会うことを大切にしています。それこそ私が出演した作品を観て久しぶりの友だちが連絡をくれたり。それでまた縁が深まるのも、お仕事を頑張ったプレゼントの1つだなと感じています」

──それでは2024年はどんな1年にしたいですか?

「監督さんや演出家さん、初めましての方が多いですし、まずはたくさんの出会いに期待しています。それと最近、困っている人に手を差し伸べられる人間になりたいと、強く思うようになりました。これまでは自分のことでいっぱいいっぱいでしたし、いろんな人たちに『こっちだよ』と道案内をしてもらうことでたどり着けた場所がたくさんあったんですね。だんだんと後輩が増えてくるにあたって、今度は自分が誰かを道案内できるようになりたいんです。そういう形で大好きなお芝居の世界に恩返しができたらなと思っています」

撮影/厚地健太郎 取材・文/児玉澄子

■ROFILE
東野絢香(ひがしの・あやか)●1997年11月9日生まれ、大阪府出身。特技:大阪弁。趣味:カメラ フィルム 、料理、衣食住を整える事。最近の出演作、7月期新日曜ドラマ『CODE ー願いの代償ー』(YTV/NTV)準レギュラー・石原 宏美役。金9ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』(CX)第5話・篠原希役。8月上演の舞台『メルセデス・アイス』(制作:世田谷パブリックシアター 演出:白井晃)ロージー・グロウ役。11月10日に公開された映画『正欲』(監督:岸善幸)ではメインキャストの神戸八重子役を演じ、映画初出演。同作は第36回東京国際映画祭 観客賞、最優秀監督賞を受賞するなど話題となった。最新情報は、事務所の公式HP(https://www.tristone.co.jp/)、X @ayaka_higashino、Instagram @aya_kirin にて公開。

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