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2023/11/28 12:46

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初のプロデュース公演に挑む前川優希、開幕直前の想いを吐露「この作品に触れて感じたことを胸に、明日からも生きていけるような作品に」

舞台『青いはる』の総合プロデュース・脚本・演出を務める前川優希(撮影/宮坂浩見)
舞台『青いはる』の総合プロデュース・脚本・演出を務める前川優希(撮影/宮坂浩見)

 MANKAI STAGE『A3!』シリーズをはじめ、数多くの舞台作品で活躍している俳優・前川優希が、26歳のバースデーを記念して自身初となる舞台の総合プロデュースに挑戦する『青いはる』。11月29日(水)からの幕開けを直前に控えた前川に、脚本・演出として参加する本作への想い、普段とは違った演出家という視点で臨んだ稽古で見えた新たな発見、稽古での手応え、さらには、作品のタイトルにちなみ、前川自身の青春時代のエピソードなどを聞いた。

■「正直、今回のお話をいただいたときは、まだ自分には早いだろうって思いました」

――今回初めて、演出家として稽古に参加されてみていかがですか。いつもとは違った視点で稽古に参加するというのは、どんな感覚なのでしょうか。
「自分が演出という立場をやることに対しても、自分自身に対しても意外なことが多いなという印象です。今回は脚本も書かせていただいているので、いわば自分が書いた物語ですし、あまり自分のそういうことを挟み込みたくはないなと思いつつも、やっぱり頭の中で再生したり、軽くお芝居のイメージをしながら書いているので、“こういう感じの作品になるだろうな”と、なんとなくは想像していたんです。でも、いざ本読みや稽古が始まってみると、役者のみなさんの芝居を見て、いい意味で“なるほど、そうくるか!”って思うことがたくさんあって。たとえば、キャラクターに対しても、“この人が演じることによって、こんな一面もあるんだ”とか、“確かにこういう一面があったら面白いな”と、新たに気づくことがたくさんあります。稽古を進めていく中で、やっぱり俳優さんの力っていうのはすごいなと改めて思いましたし、いろんなものが集まってできるのが演劇なんだなと実感しています」

――日々、いろいろな発見や気づきがありそうですね。
「そうですね。もちろん演出するのは初めてなので緊張もするし、日々気づきがあって頭もたくさん使うので、演出ってすごくお腹が減るんだなって思いました(笑)。普段、役者として稽古に参加する時は、動きながらセリフを言って、時にはアクションがあったり、ダンスがあったりしますが、今回はぜんぜん動いてもいないのに、いつもと同じぐらい、いや、それ以上にお腹が減っていて。稽古が終わった瞬間『何もしてないのに、すごくお腹が減った〜』って言ったら、僕の演出をサポートしてくださっている方が『そうなんだよ。わかってくれる? 動いてないのに、演出ってすごくお腹が減るんだよね』とおっしゃっていて、そういうものなんだなって思いました」

――役者とは別のエネルギーを使っているんでしょうね。ご自身としては演出という立場でやられてみて、手応えというか、どんなふうに感じていますか。
「自分が演出家という立場になった時、俳優さんたちに対してどんな演出をするんだろう、なんて言葉をかけるんだろうなって思っていたのですが、この前、スタッフさんから『演出をずっとやっていたみたいな感じだね』という言葉をいただいて、それがちょっと嬉しかったです。ちゃんとできているのかはわからないですけど、自分の中にもそういう一面があったんだなと思って。これまでの仕事の中で、いろいろな演出家さんとお仕事をさせていただいて、“この演出家さんのこういうところが好きだな”って、尊敬する演出家さんがたくさんいて。自分も俳優人生の中でいつか演出をやるんだろうなって心の中で思っていたし、すごく憧れみたいなものがあったので」

――いつか自分も演出を…という想いが心の中にあったからこそ、いろんな演出家さんとの出会いの中で“理想の演出家像”みたいなもののストックが溜まっていったんですかね。
「それはだいぶあるかもしれないです。役者をやり始めた頃は、ただがむしゃらにやっていただけでしたけど、やっぱり自分自身いろいろな経験を重ねたり、周りの役者さんでも演出をやられる方が最近多くなってきたりしていて、いつか自分にも演出の機会が回ってくるかもしれないっていうことを考えるようになり、自分の中で作品に参加したときの視点が変わってきたのかなと。ただ演出家に言われたことをやるだけではなくて、演出家が言っていることに対して、自分だったらこうするなとか、周りが何か芝居で迷ったりしている時に、こうだったらいいんじゃないかなとかを考えるようになったり。そういう視点を持ち続けて作品に参加していたことが、今回に活きているのかもしれないですね」

■「いつかは自分も演出をやってみたいなとは思っていた」

――そして、満を持して今回、26歳のバースデーを記念して、舞台の脚本・演出に初挑戦することになりました。この企画のお話を聞いた際は、どのような想いだったのでしょうか。
「いつかは自分も演出をやってみたいなとは思っていましたが、普段、僕が演出家として尊敬している方々や演出をやられている役者の方々を見ても、いろんな知見や経験、場数を踏んだりしている方がやっと挑戦されるものだと思っていたので、正直、お話をいただいたときは、まだ自分には早いだろうって思いました。ただ、スタッフさんたちといろいろとお話をさせていただいて、“早いうちに挑戦することで、ここからの俳優人生にも力になるんじゃないか”という言葉をいただいて。確かにそうだなと思いましたし、ほかの演出家さんにも『演出やらせていただくことになりました』っていう話をしたら、みなさん同じように『大変なことも多いだろうけど、早いうちに挑戦するってすごく力にもなるだろうし、良いことだと思う』とおっしゃってくださって。自分の中でも、このタイミングで頑張ってやってみようって決意しました」

――今回の作品の方向性やテーマというのは、どのように決めていったのですか。
「これは僕が普段から考えていることでもあるのですが、物語というのはけっこうドラマチックだったりしますが、実際の人生って、劇的なことが何か起こるって、そうそうあることじゃないじゃないですか。何か特殊能力があったり、キラキラな恋愛があったりとか、憧れたりするけど、実際の日常生活って意外とそんな感じではないよなと。でも、小さな奇跡があって、人と人との繋がりがあって、その中で毎日を強く生きていく…みたいな話になったらいいなと思って。年代設定や自分の中で言いたいことが決まっていって、こういう話にしようってなっていった感じです」

――前川さんのブログを拝見すると、本題に入る前につかみというか、書き出しがあって、1つ1つがすごく練られて書かれている文章だなという印象を受けたのですが。
「だから、ブログを書くのが遅いんですよ(笑)。こういう流れで書こうって思いつくまでに時間がかかるので、先日の『明後日のガラパゴス』も2.5次元ナビ!シアターもまだ書いてなくて…。早く書かないとなって思っているのですが、今はもう頭がそれどころじゃないっていう(苦笑)」

――そうなんですね(笑)。でも、前川さんの個性をすごく感じる文章だなと思いました。もともと文章を書くのはお好きなんですか?
「そうですね。文章を書くことというか、昔から本が大好きで、小学生の頃から小説とかたくさん読んでいました。小学生の時って、“将来の夢”を書く作文があったりするじゃないですか。僕は当時、本当に夢がなかったので、いつもテキトーなことを書いていたんです。その時にパッと思いついたことで作文用紙を埋めるっていうことだけは、すごく得意だったので(笑)。そのときに、確か一度『小説家』と書いたことがあって。もちろん当時は小説家になる気はぜんぜんなかったのですが、高校でお芝居を本格的に学ぶようになって、脚本という世界に出会い、モノを書くってすごいなって思うようになりました。自分たちで演劇を作る機会もあって、脚本も自分たちで用意するという時に、他のみんなはネットや本屋で戯曲を探して、その一部を抜粋したりしていたのですが、僕だけ自分で脚本を書いたんです。僕が好きな小説の好きなシーンを演劇としてやりやすいように組み替えて書いて上演したら、すごく褒めてもらえて。それがめちゃくちゃ嬉しくて、調子に乗って短い脚本を何本か書いたり、脚本が見つからないって言っている子にあげたりして、物語を書く楽しさに目覚めました」

――高校生の時に脚本を書いた経験があったんですね。
「今もパッと思いつく瞬間とかがあるので、携帯にメモしています。それこそ仕事がない駆け出しのときは、小説を書こうともしていました。でも、やっぱり締切があるわけでもないし、どこかに発表するわけでもないから、ある程度書いたところで行き詰ってしまって、、書き上げてはいないんです。今も僕のWordに眠っています」

■「皆様がこの作品に触れて感じたことを胸に、明日からも生きていけるような作品に」

――そうなんですね。いつかそれらが作品として世に発表されることがあるかも!?
「今回の脚本を書くためにWordを立ち上げたら、何個か題名つけて保存されているやつが表示されて、“うわっ!”ってなりました(笑)。脚本がちょっと行き詰った時に、ふとそれを開いて読んでみたんですけど、ちょっと恥ずかしいって思うこともありつつ、“あれ?けっこう面白いじゃん”って思うこともあって。余裕ができたら、もうちょっと書いてみようかなっていう想いはあります」

――今回のタイトル「青いはる」にかけて、前川さん自身は“青春”というと、いつの時代を思い浮かべますか?
「僕は高校時代かな。ただ、みなさんが思い描くような、いわゆる“青春”ではないです。高校の時はとにかく表現しかしてなかったので。高校進学のときに、親に芝居がやりたいと言って、そういうことが学べる高校に入学して。自分がやりたいと思ったことと、自分が出来ていることに対して苦しんだりもしたけど、自分の書いた脚本が褒められたり、3年生になってやっと主役級の役を掴んだことが嬉しかったり、とにかく表現に打ち込んでいたのが高校時代ですね」

――何かに夢中になるというのも青春ですよね。
「放課後にみんなで遊ぶとか、カラオケやファミレスにみんなで集まったりとか、そういう漠然とした青春は、僕の場合、中学時代でした。今回の話の中でも主人公の中学時代の話が出てくるのですが、ほぼ僕の話です。もちろん、ちょっと改変している部分はありますが、自分がこれからどうなっていくんだろうなっていう未来への不安と、漠然とした自分への自信みたいな、いわゆる“厨二病”ってやつですよね。暇だから仲良い友達と過ごしたり、無駄を過ごすっていう青春を過ごしたのは中学時代にやって、何かに打ち込む、夢中になるという青春は高校時代でやっていて…って考えると、けっこう青春の連続ですね。高校卒業した後も、アルバイトしながらオーディションに行きまくっていた頃、オーディションでめちゃくちゃ手応えあったのにダメだったという経験を何度も味わって。その度に悔しい想いを味わったりしたことも、今ではすごく貴重な体験だったなって思うし、人生は青春ですね!」

――では最後に、皆様へのメッセージをお願いします。
「さきほども言ったことではあるのですが、物語というのは、とてもドラマチックな展開がありますが、僕が好きな演劇や物語というのは、何かに共感できるものだったりするんです。それは何に共感してもよくて。出来事に共感するのでもいいし、登場人物に共感するのでもいい、この人のこの気持ちわかるなとか、何でもいいんです。“私にもこういうことがあったな”と思えた時に、フィクションがとても自分に近いものになると思っていて。自分で書いておいて言うのもなんですが、僕は今回のお話は、きっと皆様の古いかさぶたを少しだけ剥がして、その後、優しく包み込んでくれるようなものだと思います。僕自身もそうですが、誰しもがちょっと恥ずかしいと思っている過去や触れられたくない部分というものがあって、それを飲み込んで大人になって生きていると思います。ただ、そういうことを含めて、それがあるから今の自分なんだよと、少し背中を押すというか、“大丈夫だよ”と言ってあげられるような作品になるのではないかなと思っています。この物語があなたの心に届くよう、精一杯、演劇として、演出家として届けます。皆様がこの作品に触れて感じたことを胸に、明日からも生きていけるような作品できるよう、頑張ります。ぜひ、劇場に足を運んでいただけると幸いです」

【作品概要】
前川優希プロデュース舞台「青いはる」
2023年11月29日(水)〜12月3日(日)シアターアルファ東京

■脚本・演出:前川優希
■出演者:
安部伊織
遠藤しずか
河内美里
林千浪
増本尚
松延知明
山崎雅志(「崎」は「たつさき」が正式表記)

飯島康平
銀狼
濱田真季(「濱」は「まゆはま」が正式表記)
林美月

■ゲスト出演者:
11月29日(水):桜庭大翔
11月30日(木):白柏寿大
12月1日(金):赤澤燈
12月2日(土):【13:00】古谷大和、【18:00】小沼将太

関連写真

  • 舞台『青いはる』の総合プロデュース・脚本・演出を務める前川優希(撮影/宮坂浩見)

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  • 前川優希 総合プロデュース舞台『青いはる』ポスタービジュアル

  

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