才能ある声優の卵を発掘・育成する『第十七回声優アワード 新人発掘オーディション』が11日、文化放送メディアプラスホールにて開催された。最終選考に出場した38名のうち、21名の声優のたまごたちに声優事務所のスカウトの札が挙がった。最終審査のステージで4社からの指名を受けた、兵庫県出身の18歳・隅瑞実さん（すみ・たまみ）は、最終選考の前日に高校を卒業したばかりのフレッシュな逸材。「アニメ、雑誌、テレビなど、様々な場所で輝ける声優さんなりたい」と意気込みを語った。

　『声優アワード 新人発掘オーディション』は、年度毎に印象に残る活躍をした声優を称える『声優アワード』の誕生とともに産声をあげ、今年17回目の開催。事前に行われた声優事務所による一次選考を通過した40名が最終選考に進出（当日2名欠席）。同日に名だたる声優が登壇する『声優アワード受賞者発表番組』と同じステージを使い、自己PR・テキストリーディング・2人1組でのシナリオリーディング・質疑応答の審査を実施。そして、最終的に21名に参加声優事務所からスカウトの札が挙がった。

　スカウトの札が挙がった瞬間、喜びの涙を流した隅さん。「本当に信じられないっていう気持ちでした。いろんな方に助けていただき、期待もしていただいてこの場に立てていたので、札が挙がった瞬間、気持ちが溢れて涙が出てしまいました。“まだ若いから次があるよ”とは言われていたんですが、現状決まっていないことが不安でした。札が挙がった瞬間に、不安が無くなって、新しい道に進んでいけるんだって思って、ホッとしたら涙が出ちゃいました」

　最終審査に臨むにあたっては「日々の練習は続けつつ、歌を歌うことで自分のモチベーションを上げたり、その日のコンディションを確かめました」と準備を重ねてきた隅さん。『新人発掘オーディション』についても調べたというが「前回の人がどこの事務所に入ったとか調べていて、デビューさんに掲載されたインタビューも読ませたいただきました。そうしたら、逆にどんどん緊張が勝ってきちゃって…」と苦笑い。

　当日の出来栄えについて聞くと、自己PRとテキストリーディングまでは「80％出せた」というが、「シナリオリーディングは40％ぐらいでボロボロだったんです」と言う。「相方さんが男の子役をやりたいと言っていて、私も本当は男の子役をやりたかったんですが、自分の目標のアイドル系を押すなら女の子役でいこうと思ったら、上手くいかなくて。中盤にそれが顔にも出ちゃって」と、自分的には満足いかなかったよう。だからこそ合格の札が挙がったときにビックリしてしまったそうだ。

　ちなみに、自己PRでは得意の歌の一部を披露。しかしその歌は中森明菜の『少女A』と、彼女の年齢からは想像できない昭和の歌謡曲だった。「さっきまで17歳だった自分の心境と、“自分が好きな自分でいたい”という気持ちが歌詞と重なるなって思ったんです。そもそも好きな曲でしたし、歌いやすい声域で、しかも私が歌うので新しいかなって思ったんです。皆さんの心をつかみに行きました！」。そんな戦略が見事にハマって、声優事務所のスタッフの心を動かしたのかもしれない。

　声優を意識したのは、最初は兄の影響だった。「とにかく兄がアニメ好きで、その妹とし影響されました。アニメの『HUNTER×HUNTER』（2011年版）をリアルタイムで観ていたので、まず声優という職業を知ったんです」。そして「主人公の男の子のキャラクターを女性が当てているというのがすごく衝撃的でした。カッコよくてキラキラしているな、私も声優になれたら、観ている人に感動を与えられるのかなと思って、小学4年生から目指し始めました」と、声優の夢を持ち続けてきたという。

　憧れは「雑誌でも、テレビでも、アニメでも、いろんなところで活躍する、輝いている声優さんなりたいです」という隅さん。ダンスやボーカルのレッスンも積んでいて、「アイドルグループにも興味あります」と語っており、声優アイドル、声優アーティストとしてデビューする姿にも期待したい。