舞台「呪術廻戦」や数多くのミュージカルで活躍中の豊原江理佳、俳優を志したきっかけを回顧「生きづらさを感じていた思春期の頃、ドラマや映画にすごく救われた」 | ニュース | Deview-デビュー

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2022/07/14 19:01

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舞台「呪術廻戦」や数多くのミュージカルで活躍中の豊原江理佳、俳優を志したきっかけを回顧「生きづらさを感じていた思春期の頃、ドラマや映画にすごく救われた」

ミュージカルや舞台を中心に活躍中の豊原江理佳(C)Deview
ミュージカルや舞台を中心に活躍中の豊原江理佳(C)Deview

 ミュージカル『アニー』主演・アニー役でデビュー、その後、ミュージカルや舞台を中心に活躍し、この夏話題の舞台「呪術廻戦」への出演も控える豊原江理佳。10月にはシアタークリエで上演されるミュージカル『The Fantasticks』のヒロイン・ルイーザ役に抜擢され、さらなる飛躍が期待される彼女に、俳優を目指したきっかけやこの仕事の魅力、今後の目標などを聞いた。さらには、オーディションに落ち続けたという過去を振り返り、それを打破するために行ったことを明かした。

【豊原江理佳インタビュー】

■「ハーフということもあり、思春期の頃に生きづらさを感じていたとき、ドラマや映画にすごく救われた」

――今年は春にミュージカル『EDGES』、夏に舞台『呪術廻戦』、秋にはミュージカル『The Fantasticks』と、注目作への出演が続いている豊原さん。そもそも、この世界に足を踏み入れたきっかけは?

【豊原江理佳】「私は小さい頃からずっと剣道をやっていたのですが、9歳くらいのときに喉にポリープができたことで続けられなくなってしまって。週6ぐらいで剣道をやっていたので、辞めて急に暇になったこともあり、そのときに、夏休みの期間だけ市民ミュージカルみたいなものに参加したんです。もともと歌うことが大好きだったので、そこで歌ったり踊ったりすることがすごく楽しくて。それを見た母が、ミュージカルの養成スクールに通わせてくれたことが最初のきっかけだと思います」

――その頃に、ミュージカル『アニー』とも出会うわけですね。

【豊原江理佳】「養成スクールに入ってすぐくらいに、初めて『アニー』のオーディションを受けたのですが、1回目は落ちてしまって、すごく悔しい思いを味わって。1年間、発声練習とかレッスンを頑張って、もう1回チャレンジして、アニー役に合格しました。でも、当時は将来これを仕事にするとか、芸能界でやっていくとか、そういう意識はぜんぜん無くて。単純に、“人前で歌ったり踊ったりすることが楽しい!”っていう思いだけでやっていた感じでした。これを職業にしたいと考えるようになったのは、18、19歳くらいになってからで、当時の私は俳優になりたいとかもまったく考えていませんでした」

――『アニー』出演後、中学・高校と普通の学生生活を送っていた中で、この世界に挑戦しようと思ったのは、何かきっかけがあったんですか?

【豊原江理佳】「もともとドラマや映画を観ることが大好きで、その頃はまだ今のような配信サービスもない時代だったので、レンタルビデオ屋さんでいろんな作品を借りて、日本のドラマや映画、海外の映画などいろんな作品を観ていました。特に思春期のころ、私がドミニカ共和国と日本のハーフということもあり、生きづらさみたいなものを感じていたときに、そういった映画やドラマに救われたり元気をもらったりすることがすごくあって。それで、自分と同じような思いを抱えている人たちに、何かちょっとでも勇気や元気を与えられるような職業に就きたいと考え、俳優の道を目指すことにしました」

■「ブロードウェイに行くと決めて、その3日後くらいにはアメリカへ」

――俳優の道を志してから、どんな行動に出たのですか?

【豊原江理佳】「最初はブロードウェイに挑戦したいと思って、アメリカまで行ったのですが、何のキャリアもない人にはやっぱり厳しい世界だなと実感しました。そこで出会った先生に『まずは日本でキャリアを積んでから挑戦したほうがいい』と言われて、『日本に居ながらでもオーディションは受けることもできるし、今のあなたは履歴書が真っ白だから、1度日本に戻ってキャリアを積んだほうがいい』と。それで日本に帰ってきて、芸能プロダクションなどをいろいろと探し始めました」

――いきなりブロードウェイに挑戦するって、けっこう勇気がいることですよね。そこに躊躇みたいなものは一切なかった?

【豊原江理佳】「普通だったらそうですよね(笑)。私なんかいつも、“イケける!”って思っちゃうんです。ブロードウェイに行くって決めて、その3日後くらいにはアメリカに行っていました。上京してきたときもそうですが、けっこう衝動的で、やりたいと思ったらすぐ行動しちゃうタイプなんです。普段はそんなにフットワーク軽くないんですけど、やりたいことや自分が好きなことになると、すぐに決断して行動します」

――すごい行動力ですね。それは昔から?

【豊原江理佳】「そうかもしれません。やりたいことが見つかるとじっとしていられなくなるんです。“コレやりたい”って思ったら、すぐにやらないと気が済まないっていうのはあると思います」

――そして、帰国後にオーディションを受けていた中で出会ったのが、ミュージカル『アップル・ツリー』だったんですね。

【豊原江理佳】「高校卒業後に3ヵ月間アメリカに行って、日本に帰ってきた後に、受験をして1年遅れて大学にも入学したんです。ミュージカルを学びたいと思って大阪芸術大学に入ったのですが、でも芸能活動もやりたかったので、オーディションも受けていて。その中の1つがワタナベエンターテインメント主催のミュージック『アップル・ツリー』でした。入学してすぐ、6月くらいにそのオーディションがあって、ラッキーなことに合格して出演することが決まり、さらにはその後、『ワタナベエンターテインメントに入らない?』と声をかけていただけて。大学は実質1ヵ月くらいしか通ってないのですが、でも芸能の仕事ができるなら!と思って、上京することを決めました」

――ミュージカル『アップル・ツリー』出演以降は、舞台を中心に様々な作品に出演されていますよね。これまでを振り返ってどんな日々でしたか?

【豊原江理佳】「事務所に所属した後、最初の頃はオーディションには受からないし、仕事もぜんぜん決まらないという期間が続いて。最初の3年くらいはオーディションに行く度に、『歌は上手いんだけどね…』って、言われ続けて、頭打ち状態だなって感じることがここ最近までありました。なので、自分の中では“とんとん拍子に仕事が決まっていった”という感じは一切なかったですね」

■「表現力を広げるために、自分の心を豊かにしようと意識した」

――オーディションに落ち続けたり、仕事がなかなか決まらない期間って、モチベーションをキープするもの大変だと思うのですが、どのようにして乗り越えてきたのですか?

【豊原江理佳】「ミュージカルや映画・ドラマなど、素敵な作品に触れることで、“やっぱり自分もこういう表現がしたい”という思いになって、それが最終的にはモチベーションになっていました。めげずに、自分もそこに行けるようにするにはどうしたらいいのかということを考えようと思わせてくれる。素敵な俳優さんや歌手の方の姿を見て、自分もいつかこうなりたい!という思いをずっと保っていました」

――その期間はどんなことを心掛けて過ごしていましたか?

【豊原江理佳】「当時、歌唱力と表現力というのはぜんぜん違うものだというのをすごく感じていて。歌を上手くなるというより、表現力を広げるために、自分の心を豊かにしようと思いました。良い作品を観に行ったり、心動くようなことや場所に行ったり、いろんな人と関わったり…。それまでの私は、どちらかというと“ガリ勉タイプ”で、ひたすら机に向かってやるみたいな感じだったんです。でも、表現というのは日々の生活の中から生まれてくるものだと教えていただいてから、すべてが自分の表現の糧になるんだと思って、レッスンにずっと励んでいたのをちょっと緩くして、趣味を持ったり友達と遊んだりするようになりました」

――スキルだけを磨くのではなく、人間としての厚みというか、豊かな感情を育むことを意識して過ごしたと。

【豊原江理佳】「そうですね。もちろんレッスンとかでスキルと磨くことも大事だけど、それだけをやっている人よりも、いろんなことを経験している人のほうが、観ていて心打たれたりするなと自分でも思ったので、意識して行動するようにしています」

――オーディションは技術力だけで合否が決まるわけではないですしね。

【豊原江理佳】「以前はオーディションに落ちる度に凹みまくって、何がダメだったんだろう、どうしたらできるのか、どうやったら正解が出せるのか…みたいなことを考えてしまっていました。自分の中にないものを一生懸命作って出そうするけど、でも、自分に無いものは出ないし。何かになろうとするんだけど、そうすると自分がブレるので、結局は受からないんですよね。今だったら、それがダメだったんだってわかるけど、当時はそんなこともわからなくて。落ちたときも受かったときもそうですが、何がダメで落ちたとか、何が良かったから受かったっていう考えに固執してしまうと、それに振り回されてしまう。それではダメだと思って、あまりそういったことを気にしないようにしたら、だんだんとありのままの自分を出せるようになっていきました」

――今の豊原さんが思う、この仕事の楽しさ・魅力とは?

【豊原江理佳】「昨年からインスタライブを始めて、ファンの方や舞台を観に来てくださる方の声を聞くことができるようになって。普段、生きているとなかなか自分の感情を表に出せなかったり、本当はすごく怒っていても大人でいなきゃいけなかったり、心を揺らせない場面もあったりすると思うんです。でも、劇場って魔法がかかっている空間だと思うし、そういうことを共有できる場所でもあると思っていて。この前のミュージカル『EDGES』でも、お客さんと同じ気持ちを共有しているなと感じることがすごくあったんです。作品を通して、自分の中で引っかかっていたことに気づいたり、人生が1歩前に進んだり、それを普段交わらない人たちと劇場で出会って共有できるってすごく幸せなことだなって思います」

■「思い入れのある劇場で大好きな作品のヒロインとして舞台に立てるなんて!」

――そして、10月にはシアタークリエで上演されるミュージカル『The Fantasticks』も控えています。同ミュージカルの楽曲を10代の頃から何度も聞いていたそうですね。

【豊原江理佳】「そうなんです。それこそミュージカル『アップル・ツリー』のオーディションの歌唱審査のとき、ミュージカル『The Fantasticks』の『Try To Remember』という曲を歌って提出したんです。この作品はブロードウェイでロングラン上演されていた作品で、NYに行ったときも歌ったし、楽曲もよく聞いていたし、10代の頃から触れる機会が多かった。シンプルだけどすごく深い作品でとても素敵な作品です」

――そんな思い入れのある作品に出演が決まった際、どんな想いでしたか?

【豊原江理佳】「めちゃくちゃビックリして、マネージャーさんにも『本当ですか?』って何度も確認しました。すごく光栄で嬉しかったですし、自分がいつかやりたいと思っていた作品でもあったので、あまり気負わずに楽しんでやれるだろうなって思いました。しかも、シアタークリエも思い入れのある劇場だったので、すごく感慨深かくて。そんな思い入れのある劇場で大好きな作品のヒロインとして舞台に立てるなんて!って、すごく感動しました。なので、お客様にこの作品を通していろんなことを届けたいですし、今からすごく意気込んでます!!」

――豊原さんから見て、この作品の見どころは?

【豊原江理佳】「私の中ではブロードウェイの『The Fantasticks』のイメージがすごく強いのですが、小さな劇場で舞台セットもシンプルで、豪華で派手にというよりも芯を衝いてくるような作品だなと思っていて。物語自体がシンプルな分、作品の中にあるメッセージがお客様にまっすぐ届く作品なんじゃないかなと思います。絵本を読んでいるような、ちょっと昔に帰るというか、原点に戻るような感じの温かい気持ちになれるような作品だと思います」

――『The Fantasticks』でさらなる飛躍が期待される豊原さん。今後の目標も教えていただけますか。

【豊原江理佳】「表現するということを突き詰めていきたいなと思っているので、ミュージカルやストレートの舞台、映画やドラマなどジャンルにとらわれずに挑戦していきたいです。今、自分がどんどん変わっていっていて、自分の中の世界が開いていっているなと感じることも増えてきているので、そこに身を任せてみようかなと。それと、10代の頃の私のように、生きづらさを感じている人たちが、劇場に来ているときや私の表現を観ているときに、救われるとか癒されると感じてもらえるような、その人の幸せの一部になれるような女優になれたらいいなと思っています」

【プロフィール】
豊原江理佳(とよはら・えりか)●1996年4月8日生まれ、ドミニカ共和国出身。ワタナベエンターテインメント所属。
2008年、ミュージカル『アニー』主演アニー役でデビュー。その後、NY留学を経て、ミュージカル『アップル・ツリー』に出演を果たす。その後、Rockミュージカル『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』、ミュージカル『タイタニック』、ミュージカル『オン・ユア・フィート』、舞台『ピーター&ザ・スターキャッチャー』、ミュージカル『ゆびさきと恋々』、ミュージカル『ソーホー・シンダーズ』、ミュージカル『EDGES』など舞台を中心に活躍。
7月15日より上演の舞台「呪術廻戦」では釘崎野薔薇役で出演、10月にはミュージカル『The Fantasticks』ヒロイン役での出演が控える。

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