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2022/04/23 08:01

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総合エンターテインメントプロデューサー・つんく♂、オンラインサロン発の映画制作で切り拓くエンタメ界の未来「映画ヒロインたちの5年後は面白くなってる」

総合エンターテインメントプロデューサーのつんく♂ Photo:Shin Ishikawa(Sketch)
総合エンターテインメントプロデューサーのつんく♂ Photo:Shin Ishikawa(Sketch)

 総合エンターテインメントプロデューサーのつんく♂氏は、2020年1月からオンラインサロン「つんく♂エンタメ♪サロン〜」を立ち上げ、様々なジャンルのクリエーターとサポーターが交流し、新しいものを生み出す場を作り上げてきた。立ち上げ後、新型コロナによってエンタメ界は激変。しかしそんな中でもつんく♂サロンは『中2映画プロジェクト』を立ち上げ短編映画を多数制作。『青春映画祭』を興し多くの才能が世に出る道筋を作った。つんく♂サロンも約2年が経ち、今年6月4、5日には第2回目の『TOKYO青春映画祭2022』(原宿ベルエポックホール)の開催を控える。今、つんく♂氏に、現代におけるオンラインサロンの意味、今後のエンターテインメント界の未来について聞き、これからの若き才能に向けてのメッセージをもらった。

■総合エンターテインメントプロデューサー・つんく♂インタビュー

――「つんく♂エンタメ♪サロン〜」は、現在まで様々な発展を遂げて来ました。現在感じている手応えについてお聞かせいただけますでしょうか。

「立ち上げ当初は、どんなことをやっていくべきか迷いながらのスタートでした。ハロー!プロジェクトやモーニング娘。の制作裏話をネタばらし的に公開するとか、ゲストを呼んでトークをするようなファンクラブ的な要素もやりながら、それとは別にクリエイティブな部分も広がって行きました。映画制作から始まり、その映画の曲や詞を、僕じゃなくてサロンのメンバーが作って、それをつんく♂サロンに集まるサポーターが応援したり、僕が持っているノウハウやセオリーを伝えてクリエイトの手助けをしたりして。ミーハーが集まるわけでも、超マニアックになるでもなく、良い感じのクリエイティビティが醸成されたと思います。ちょっと迷ったらつんく♂サロンメンバー同士で相談したり語り合ったりすることができて、本来なら学校に行くか、誰かの弟子に入るか、独学かでしか得ることができない学びがある。僕も最初はサロンについて半信半疑でしたし、儲かるような商売ではないんですが、人に教えることで、違う自分に気付けたり、つんく♂サロンメンバーを中心に映画祭が始まってからは、イベント運営やオーディションなど、ウチの会社スタッフだけでは出来ない部分を、つんく♂サロンのメンバーが補ってあれだけの作品が作れて、ヒロインが集まって来てくれて。そうしたことはつんく♂サロンを立ち上げていなかったら出来なかったなと思う。それは一つの収穫ですね」

――つんく♂さんがこれまで培った経験やノウハウを、惜しみなくこれからの人に伝える場所は、とても意味のあることだと感じます。

「それはオーディションで直接会った中2映画のヒロイン達以外でも、記事やYouTubeに上がっているものを観たら、芸能界入門としても参考になると思うし、学校や大学の面談でも役に立つと思います」

――「つんく♂エンタメ♪サロン〜」は2020年1月4日にスタートしました。その年の3月から新型コロナの影響でエンタメ界が一変しました。奇しくもそうなる以前にオンラインで多くの人と繋がる場を持てたことは大きかったのではないでしょうか?

「たまたまスタートが早かったのは良かったなと思います。でも、手探りで始めた割にはクリエイティビティの部分で成立していますし、ファンクラブ的な意味でも生放送を月に1回、なんやかんやで一回も飛ばさずに続けています。ハワイにいながら僕が自分でセッティングして生配信してるので、めっちゃ大変ですけど(笑)。そうやって得たものは大きいですね。つんく♂サロンに集まる人たちは、ビジネスで出会った関係ではない分、嫌やったら去って行くと思うし、“一緒に映画を作ろう!”って言ったら“やろうやろう!”って手伝ってくれるメンバーたちなんで。そこはビジネスではやれないし、単なる上下関係でもないし…新しい世界だと感じますね」

――サロンの中で、『中2映画プロジェクト』のオーディションで集まったヒロイン候補生たちに、オンラインでダイレクトにお話しされているのを見るのも新鮮でした。まだデビューもしていない一般の子たちに対しても直接真摯にお話しをされていて。そういう接点が持てるというのも面白いのではないですか?

「ハロー!プロジェクトだったら、先輩メンバーから後輩に教えていくようなことだし、“俺が直接言わんでもいいか”っていうこともたくさんあるけど。ヒロイン候補生たちはバラバラの地方に住んでいるし、タテヨコも無いからね。『勉強嫌いなんです〜』とか『朝起きれないんです〜』みたいなピュアな質問にイチから答えていると、自分でも改めて“そうだよな〜”って思うことも多いです。ハロー!プロジェクトメンバーや初期モーニング娘。には僕が直で教えていたけど、それ以降は先輩から後輩とか、マネージャーがメンバーに教えていて、伝言ゲームで意味がちょっとづつ変わって行くこともあったから。今回、オンラインで直接伝えられたことは良かったかなって思う」

――そのなかでも、勉強の大事さや、努力を継続することの大切さが基本にあることをお話しされていました。

「一昔前の芸能界なら、“学校に行かなくてもいいから芸能の仕事だけやってなさい”みたいな風潮もあったけど、これからはそうじゃないと思うし、だからといって“みんな大学に行きなさい”ってことでもないと思うのでね。これから先、大学はオンラインになったり、環境は変わるかもしれないけど、何からでもいいから“学ぶ”ということは必要だと思う。『漢字が苦手なんです』って言ったって、たかだか2000か3000か知らんけど、覚えちゃえば終わりですよ。基礎知識や基礎体力はあって損はないし、もちろん外国語も、今は男の子であっても料理や裁縫だったり。それが自慢じゃなくて当たり前という時代だなって思う。タレントになる・ならないは関係なく、やっといたほうがいいんちゃうって」

――つんく♂サロンでヒロイン候補生に語っていた、『令和はバランスの時代』という言葉が印象的でした。

「デビューして一時期はいい時があって、チヤホヤされるかもしれないけど、結果的にはどれだけ続くかでしょう? どこか一つ才能が突き抜けてても、長続きしないのはもったいないと思う。ちょっと前までは“オタクなんです”って言うのもカッコよかったけど、それもちょっと古い。ある程度人とコミュニケーションを取れて、ちゃんと時間を守る常識があること。偉い人は朝起きれないから1〜2時間の遅刻はしゃーない、みたいな時代もあったかもしれないけど、そのときはみんな我慢しても、ピークを超えたり何かあったりしたら、常識が無い人の所には人は残らないと思うんです」

――現在は一人の突き抜けた天才が何かを作り出すのではなく、いろいろな人と繋がれるコミュニケーション力のある人が重要になっていくのかなと。

「日本にとどまらずに海外と繋がれる人とか、オンライン上でもリアルでも、コミュニケーション能力が高い人は、ネット社会が進化すればするほど信頼されると思う。メールのやりとりやラインのやり取りだけではすませない何かがあると思うので」

◆映画にはエンタメの要素が詰まっているから、出会いの期待も大きい

――「つんく♂エンタメ♪サロン〜」は6月に『第2回TOKYO青春映画祭』を開催します。これまで映画祭を続けて来ての手ごたえをお願いします。

「音楽業界で言えば、年間3〜5枚のシングル、2年に1枚のアルバムを出してみたいなサイクルがあったとしたら、映画監督が映画を作れるのは2〜3年に1本かもしれない。そういう意味で映画祭を毎年やるのは大分体力がいります。もうすぐ6月がやって来て、その段階では2023年の仕込みが始まるから、思った以上に大変なんですけど、やっぱり続けないと、ヒロインたちの出口が無いので。地方からでも参加できて、女優になれるんだという場所はキープしたいですよね」

――今、日本映画も若手監督が台頭して面白い状況になって来ていますし、先日の米アカデミー賞で『ドライブ・マイ・カー』が高く評価されたように、海外進出の可能性もさらに大きくなっている。そんななかで、映画祭を続けていることの意義や未来への期待は?

「ウチの映画祭が、どれほどの価値を持っているのかはまだ定まっていませんが、“TOKYO青春映画祭出身の子”みたいなブランドが出来たらありがたい。映画祭出身の子は最低この基準に達してるよね、みたいな。もうそういうにおいはしてますけどね。まだ今年2回目なんで。5年経ったら最初の子たちも成人していくわけですから、それぐらいからようやく面白くなってくるかも。5年ぐらい経ったら笑えると思うんよね“こういう頃もあったね〜”って(笑)」

――「中2映画プロジェクト」のオンライン合宿では、全くの演技未経験者もワークショップが体験できますし、少しヒントを与えると飛躍的に伸びているようです。まだ地方在住で磨かれていない原石に、場数、現場を体験させたいという意図はあるのでしょうか。

「普通はどこかのプロダクションの研修生として上京してレッスンするところなんだろうけど、東京へ通えない子たちにもアプローチできる。新しい形ですよね。ヒロインの映画を作るということだって、特に女の子は、衣装を着てメイクをしてもらって、“可愛い”って言われるだけでも一気に何段階も成長するから、現場を体験させることは大事ですよね。実際、ヒロイン達は映画のクランクイン前と後では全然違うし、他の人の事もよく見てる。あの子がこうなった、じゃあもっと上に行ったろ、みたいな切磋琢磨がある。『中2映画プロジェクト』は、アイドルでも単なる女優でもなくて、ヒロインという頂上を目指して頑張るということにも意味があると思う」

――音楽のプロデューサーというイメージのあるつんく♂さんが、映画を作ろうと興味を持たれたきっかけは?

「映画の中にはエンタメの要素がいっぱい入ってるし、音も作りやすいし、地方でも作れるし。いろんなチャレンジの方法があるから、なんか出会うんちゃうかなって期待値が高いと思うんです。映画を作ると言いながらも、主題歌だけでも11本分・11曲が出来上がって行くし。今度、映画の中のアイドルグループを作るんですが、その子たちがまた歌を歌ったりするから、そういう広がりが面白いなって思います」

――確かに映画を中心として、様々なエンターテインメントが派生していきますね。

「僕らの時代で言うと、角川映画のヒロインの原田知世さんは、振り返っていまだに可愛いなって思いますしね。その時点での芝居がどうのこうのよりも、この子のための映画に角川がものすごい力を注いで、これがスタートだよなっていう作品が今も残っている。中2映画はそこまですごいものじゃないかもしれないけど、ああいうものへの憧れはあります。僕は吉永小百合さんの『キューポラのある街』がすごく好きで、吉永さんがめっちゃ可愛いんですよ! そういう吉永さんに今も会えるのは映画があるからだなって思う。中2映画でヒロインを務めた桜田ミレイも、この先どういう人になって行くかは分からないけど、デビュー作っていうのは残って行くはず。だから映画からのスタートはクリエイティブだなって思います」

――だから「映画は大変」と言いつつも続けていきたいと。

「5年とか10年とか経たないと価値が出てこないと思うんですよ。ヒロイン映画が10年で100本作れたとして、そこから一人でも大スターが出たら全部チャラですよね。お金という意味じゃなく、価値として。お金はチャラになるか分からんけど(笑)。映画祭だけは続けたいので、ちょっと応援してくれる企業とかあったら…ぜひ!映画は金がかかる(苦笑)」

◆エンターテインメントの世界を目指す君たちへ

――今後も『中2映画プロジェクト』は続いて行くと思いますが、どんな人に参加してほしいですか?

「2年目のプロジェクトでは、中2映画と謳いながらも中学生だけではなく19、20歳の子も役者として出ています。来年はさらに参加する幅は広がるんちゃうかな。これまでの作品でもそうですけど、地方に居たままで、基本的には何も変わらずヒロインになれちゃうから、地方在住の子にしても親にしても安心ちゃうかな。あとはちょっと有名な監督も参加してくれんかなって思ってます(笑)」

――作品自体が評価されて、次のステップへと繋がって行く可能性も広がりますよね。

「プロジェクトを卒業したら、その映画を持って、プロダクションへの売り込みにも使えるしね。映画館で上映されたら“この子使おうよ!”って誰かが見つけてくれるかもしれないじゃないですか? 名刺代わりですよ」

――エンターテインメントの世界を目指すデビューのユーザーに向けて、今改めて考えてほしい事を教えてください。

「今の時代、地方にいることをハンデキャップと思わない事。“私、田舎モンだから都会の子に合わせないといけない”とか、そんなことも思わなくていい。インスタとか含めて、“誰かがやってるからやらなきゃ”ということはやる必要ないけど、頑なになるのはまた違う。臨機応変にやりたくなったらやればいい。それとは別に、常識が無いと一流にはなれないよ。高校が合わなかったら辞めたっていいけど、だからといって昼過ぎまで寝てていいというわけではない。昔は“大人の言うことなんか聞かねえぜ”みたいなことがカッコよかったけど、そんなのはダメです。あとはやっぱり『好きこそものの上手なれ』なので、自分で興味を持って行動することが大事。“女優になるためには、学校に行けばいいんですか?”。そうじゃない。専門学校に何年通っても、受け身の奴は何も得られない。“映画100本観ればいいんですか?”。観てもいいけど、自分が興味を持って、何を見るか、自分がどの目線で、どのように研究するかが大切。、“どうやったら上手くなりますか?”といえば、これは女優でも歌手でも同じだけど数をこなすしかない。練習・訓練・実践、それしかないですね」

■「つんく♂エンタメ♪サロン〜」
https://community.camp-fire.jp/projects/view/198719

Photo:Shin Ishikawa(Sketch)
Stylist:山田ひとみ
Hair&Make:坂野井秀明(Alpha Knot)

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