俳優・仲村トオルと鷲尾いさ子の娘・美緒が、2021年5月よりスターダストプロモーションに移籍。175cmの長身とスタイルを活かし、11月27日発売のファッション誌『25ans』（ヴァンサンカン／婦人画報社）にモデル出演、芸能活動のスタートを切った。元々目立つことが好きではなく、高い身長にコンプレックスを持っていたという彼女が、タレントとして本格的に始動した現在の心境。そして家族との関係、パーソナリティーについて話を聞いた。

■美緒インタビュー

――事務所を移籍し、本格的な芸能活動をスタートした今の心境を教えてください。

「それまで、父の事務所（KITTO）にいたので、今回の移籍で少し自立したというか、殻をちょっとだけ抜け出して、ひよこになれたかな、という感じです。今までは狭い世界にいたので、新しい世界に飛び出して来たと思っています」

――過去の取材では、人前に出るのが得意ではなかったと語っていますね。

「今の自分の行動とは矛盾しているんですけど、なるべくひっそりと生きていきたい、目立たず静かに一生を終えたいと思っているんです（笑）。幼稚園のころはまだ“私を見て”という感じはあったと思うんですが、年齢が上がるにつれて“私のことは気にしなくていいよ〜”っていうふうに性格が変わっていきました」

――ご両親共に誰もが知る俳優という環境に育って、影響は受けませんでしたか？

「両親の仕事が俳優という認識はあったんですが、自分が同じ仕事を選ぶかといえば、そのように考えたことはありませんでした。最初にお話をいただいたのは大学3年生の就職活動の時期で、“自分は何をやりたいんだ”と考えたとき、一番身近で想像しやすいのが親の職業だったんです。俳優という職業をやりたいと思ったことは無かったのに、父親の背中を見てきたので、同じ道に行きたいなという気持ちになって。俳優だからというより、父母を人として尊敬しているので、尊敬している親が働いている場所がここだったという感じでした」

――初めての仕事は、お父さんとのCMでの共演でした。

「これまで仕事の現場に連れて行ってもらうことはあったんですが、初めて見学する側ではなく、スポットライトが当たっている場所に立ちました。そのとき、こんなにたくさんの方が作品を作るために尽力をしているのだから、ここにいる人たちの生活を背負う覚悟で立たないといけないと感じました。そしてその撮影が楽しかったんです！　この楽しい時間を長く続けたいと思った時、このお仕事がしてみたいと、心の中が変わったんだと思います」

――そこからまた少しのブランクがありますね。

「そのCMのあと“やっぱり私、目立ちたくない”っていうほうに戻ってしまって（苦笑）。学生でいる2年間のうちに自分のやりたいことを決めようと考えていましたが、その間にコロナであらゆることが変わってしまって。しっかりと考えて自分の進むべき道を決めないと、このままここで終わっちゃうと思って、決断させていただきました。コロナの期間に考えたことは大きかったですね」

――そして今年5月にスターダストプロモーションに移籍。『25ans』でモデルデビューを果たします。モデルのお仕事を経験してみていかがでしたか？

「普段着ることのない洋服を着させていただけて、すごく楽しかったです。カメラマンが昔、母のことを撮ってくださったことがある方だったので、そういう繋がりを感じさせていただくと、よりいっそう両親を誇りに思えました。そういうこともあって撮影はすごく楽しくて、また機会があれば頑張りたいと思いました」

――以前の雑誌撮り下ろしは、美緒さん自身として撮られるものでしたが、今回はファッションを見せるモデルとしてのお仕事でした。

「自分がどういう立ち方をすれば服が綺麗に見えるかとか、自分より洋服を目立たせたいとか、頭で考えたようにできるわけもなくて、やっぱり難しいと思いました。現場に立ってみて初めて学ぶことが多かったです」

――しかし、コンプレックスに感じていた高い身長も武器になる仕事です。

「これまで身長を気にしながらも、周りの友達と似たような雰囲気の服を着ていたいという思いがあって、どこか自分にサイズが合っていなかったんです。でも今回の撮影で着せていただいた服は、すごく自分に馴染むものでした。この身長があったからこそこの服が着られると思うと、この大きさに産んでもらったことに感謝ですね（笑）」

――どこか運命のようにこの場所に導かれていく感じがして、不思議ではないですか？

「本当に。大学1年生の自分は、こんな素敵な雑誌に載っているなんて考えもしていないですし、何をやっているかも想像できなかったと思います。この家で育った何かが導いてくれて、今ここにいるのかなって感じます」

――そうすると、役者のお仕事を期待されるのではないかと思うのですが…。

「今まで演技というものをしたことがなくて、学芸会でも木の役しかやったことが無いくらいなので、自分がどのくらいできるのかが未知数過ぎて。演技のお仕事をやりたいとは自分に対して絶対言えないですし、いつか人間として形成されたとき、経験値が増えてきたときに、初めてやりたいと言えるかもしれないです」

――漫画のように、親の能力を知らないうちに子が受け継いでいるという“設定”があればいいんですけどね。

「ホントですよね（笑）。身長だけは受け継いでいるんですが、残念ながら演技については今は無いかな…。いつか人としてもうちょっと厚みが出たときに挑戦させていただけたら。そのときに隠された能力が発揮されたらいいんですけどね（笑）」

――プロフィールを拝見すると漫画やアニメ、ゲームがお好きなようですね。

「昔から『ドラえもん』や『プリキュア』などは普通に観てきたんですが、大学で“このアニメ面白いよ！”って勧めてくれる友人と出会って、観始めたらどんどんハマっていきました。元々漫画は大好きだったので、漫画原作のアニメから観ていくうちにアニメの魅力に目覚めました」

――大学では卒論のテーマに『ナウシカ』を選んだとか？

「心理学部なんですが、心理学と絡めたら卒論のテーマは何でもいいよっていうゼミだったので、せっかくなら自分が大好きなものと絡めたほうが面白そうだなって思って。じゃあジブリアニメにしようと思って『ナウシカ』をテーマにしました」

――どんな研究内容だったんですか？

「ナウシカは、他者の為に体を張れる自己犠牲のヒロインだと思っていて。そういう心理は、どんな家庭環境や成長過程で得るものなんだろうかと。普通に暮らしていて、自分が傷ついてまで誰かを命がけで守るとかは想像できないなと思って、じゃあ調べてみようと思いました。原作漫画にもあたって、こういう過去があるからこういう風に育ったんだ〜宮崎作品って深いんだな〜って思ったり。それで無事に卒業できました（笑）」

――最近はどんな作品を観ているんですか？

「今観ているのは『ワールドトリガー』とか。『呪術廻戦』みたいな王道の人気作品も観ていますし、配信で少し前の『とらドラ!』を観たり、あまり観たことのないジャンルの作品も面白いと思ってます」

――本格的に始動したばかりで、あらゆる可能性が広がっていますが、今後の夢や目標を教えていただけますか？

「独り善がりで楽しいだけじゃなくて、一緒に作品を作り上げた方も楽しくて、作品を観てくださった方も楽しい。そんなお仕事をたくさんしたいし、そういう人間になりたいと思っています」

――そんな美緒さんを見て、お父様はどうおっしゃっていますか？

「今は“覚悟を持って、日々感謝の気持ちを持って頑張れ”という感じで応援してくれています。自分が歩んできた道だからこそ苦い部分も知っていて、だからこそ“意志をしっかり持って、ブレずにいないとダメだよ”ってアドバイスをくれます。同じ道を歩むプロの部分と、家族の部分の両方を知ってくれているからこその言葉は有難いと思っています」

■美緒

1998年11月19日、東京都出身。
趣味：ゲーム、食べる事、身体を動かす事、映画・アニメ鑑賞。
特技：剣道（剣道三段）。
【雑誌】
デジタル写真集【デジタル原色美女図鑑 】
週刊文春「原色美女図鑑-ミオ-」 2019年6月13日号
家庭画報「百化繚乱-女優コート」 2019年11月号
婦人公論「Dear Woman:21」＜中央公論新社＞ 2019年12月24日・1月4日合併号
婦人公論「Dear Woman:22」＜中央公論新社＞ 2020年1月28日号
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