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2021/08/12 18:31
高畑充希、1年ぶりに南相馬の映画館。朝日座に凱旋 「母校みたいな感覚」と感激
映画『浜の朝日の嘘つきどもと』(9月10日全国公開、8月27日福島県先行公開)の舞台となった福島県・南相馬の映画館「朝日座」にて11日、朝日座凱旋イベントが行われ、主演の高畑充希、大久保佳代子、佐野弘樹、そしてタナダユキ監督が登壇した。
『百万円と苦虫女』『ロマンスドール』など多くの話題作を世に送りだして来たタナダユキ監督が、主演に高畑充希を迎えオリジナル脚本で挑んだ本作は、福島県・南相馬に実在する映画館「朝日座」を舞台に、東京の映画配給会社に勤めていた福島県出身26歳の茂木莉子(本名:浜野あさひ/高畑充希)が、高校時代の恩師・田中茉莉子(大久保佳代子)との約束である【「朝日座」再建】のため、小さな“嘘”をついても映画館を守ろうと奮闘するストーリー。
昨年夏の撮影以来、1年ぶりに「朝日座」へ凱旋したキャスト・監督一同。朝日座について高畑は、「一年前、夏の暑い時期に朝日座で撮影して以来、久々に来ましたが、変わらず朝日座がどっしり存在していて、自分が1年前に戻った気がしてノスタルジックな感覚です。朝日座は少し【母校】みたいな感覚があって、入った瞬間に(撮影中のことを)思い出すところがあるので、今日戻って来れて嬉しいです」と回想。タナダ監督は「映画を作り終えた後に、ここでイベントがやれたらいいな、と思っていました。変わらずに朝日座が存在してくれているということは、朝日座を守っている人がいる、ということ。それが嬉しいです」と話す。
一方、喬太郎師匠演じる「朝日座」館主・森田保造と言い合うシーンで朝日座を訪れた大久保は、朝日座について「夕暮れが差し掛かってきた頃、外の待合室にいた時に、そこから見る朝日座の外観が「わー頑張って立ってるな、がんばれ!」と(応援したくなる)感覚がありました。建物と雰囲気の印象が強く残っています」と懐かしみ、喬太郎師匠との共演については「お互いまあまあな年なので集中力が続かなく、お互いミスしてしまったので、やり取りが長かったです。最後の方はお互いちゃんとやれよ、と思いながら撮りました」とこぼす。さらに、大久保演じる茉莉子先生のパートナーでベトナム人の技能実習生、チャン・グオック・バオ役を演じた佐野は、朝日座での撮影について「2日間くらいしか朝日座にはいなかったけど、もぎり席がある映画館は初めてだったのでプライベートでもまた来たいな、と思いました」と話した。
同じシーンの撮影が多かった高畑・大久保・佐野の3人だが、印象に残っているシーンについて聞かれると高畑は「ファミレスのシーンで、(ベトナム人役を演じた)佐野さんが1年くらい日本に住んでいる設定だったので日本語の片言感を調整する過程が面白かった」と暴露し、笑いを誘った。さらに、劇中で「朝日座」館主・森田保造と軽快なやり取りを見せた高畑は、喬太郎師匠について「喬太郎師匠とは出会ってすぐに(台詞で)結構な暴言を吐いてしまったのですが、本当に優しい方だったので、「ひどいこと言うけど、すみません!」と一回言って、あとは自由にやりました。喬太郎師匠のリアクションがかわいかったので、後半とても楽しくなっちゃいました」と話すと会場からは笑いが。
大久保については「(大久保演じた)茉莉子先生とは長回しのシーンがあったんですけど、大久保さんと普通になんてことない会話をしている気持ちになっていった」と話すと、すかさず大久保が「口が悪いレベルが同じなんだと思う」と突っ込み、イベントでも息の合った掛け合いを見せる。そんな大久保にすかさず高畑が「大久保さんめっちゃかわいかった!」と話すと、会場からは大きな拍手。さらに大久保の恋人役を演じた佐野からも「本当に魅力的で、かわいくて、胸がときめきました」と恥ずかしそうに告白。大久保が「嘘臭い!」と戻すと、タナダ監督は「さっきも言ってたよ!好きになっちゃったって」とフォロー。会場が温かな空気に包まれた。
また、共演した高畑の印象について大久保は「(高畑演じた)莉子という役柄が、わがままな時と、犬が震えてるみたいな不安そうな表情を見せるときがあるので、本当に可愛く見えてきて、ほっといたらどんどん小さくなるんじゃないかな、可愛いな、犬みたいだな、という感覚になり、気持ちをのっけてもらえたので、いい関係性ができた」とアピール。そして本作のクランクアップ時に、「これだけしっかりセリフのある役は初めてだった」と話していた大久保だが、高畑からは長セリフのシーンについて「最悪カンペを見ればいい!」というアドバイスをもらった、と笑いながら話す。
本作の主人公が恩師との約束を果たすため奮闘する内容にちなんで、大切な人と交わした約束や果たしてもらっていない約束があるかをトークするくだりでは、佐野が少し考えたのち、「大した約束はしてない…」とこぼすと、タナダ監督も「できるだけ約束はしない」と宣言。約束はあまりしない、という2人に対し大久保は「2人くらい、40歳までにお互い結婚してなかったら、結婚しよう、と話していたが、消息不明になった」とぼやき、笑いを誘った。
「朝日座」が100年もの間、多くの人の憩いの場として愛され続けていることにちなみ、【憩いの場】について聞かれると、高畑は「実家。小さいテラスがあって夏になるとバーベキューをするんですが、両親も人に会うのが好きなので実家にたくさん人を呼ぶ。私がいなくても、友人が来ていたりする」と話し、驚かせた。さらに司会からコロナが落ち着いたら「浜の朝日の?つきどもと」の共演者も実家に呼ぶか、と聞かれると、「お酒が飲めて、犬と猫アレルギーがなければ、是非!」と誘うと大久保は「すぐ行きます!」と予約。仲睦まじいやり取りを見せた。
そして大久保は「昔夜型だったけど、最近犬を飼い始めてから6時に起こされるので、散歩でちょっとした広場に行く」と話し「朝って臭くない、朝の空気ってこんなにすがすがしいんだと感じます。早起きってやっぱりいいな」と健康的な一面を明かす。さらに佐野は「家の近くの喫茶店」、タナダ監督は「こういう映画だから、映画館って言った方がいいかもしれないけど…」と前置きし、「東京宝塚劇場と、兵庫の宝塚大劇場。そして猫の腹です!」と思い思いの憩いの場を明かした。
最後にタナダ監督から公開を待ち望むファンに向け、「南相馬で沢山撮影した作品なので、是非ロケ地にも足を運んでほしいです。ちょっと嘘をついてもいいので、面白かったよと広めてください」とメッセージ。主演の高畑からは「1年前に撮影し、やっと皆さんに見て頂けて嬉しい。(撮影中は)1年後もっと良くなってると思っていたので少し寂しいですが、エンターテインメントが明日の元気につながればいいです」と8月27日の福島県先行公開、9月10日に控える全国公開に向けて、期待を込めていた。
≪STORY≫
100年近くの歴史を持つ福島・南相馬の映画館「朝日座」。ある日、茂木莉子と名乗る女性(高畑充希)が支配人の森田保造(柳家喬太郎)の前に現れる。莉子は、<経営が傾いた「朝日座」を立て直す>という高校時代の恩師・田中茉莉子(大久保佳代子)との約束のため東京からやってきた。すでに閉館が決まり打つ手がないと諦めていた森田だが、見ず知らずの莉子の熱意に少しずつ心を動かされていく。果たして「朝日座」の運命やいかに……。