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2021/03/06 12:02
初主演・尾上松也×初ヒロイン・百田夏菜子、初挑戦だらけの”新感覚”映画は「すごく面白くなっていて想像を超えてきた」
映画初主演の尾上松也×映画初ヒロインの百田夏菜子(ももいろクローバーZ)で実写映画化される『すくってごらん』(3月12日全国ロードショー)。エリート銀行員人生から外れ、左遷の地にやってきたプライドは高いがネガティブな男・香芝誠が、世界一静かで優雅なスポーツといわれる「金魚すくい」や、それを取り巻く人々と出会い、仕事に恋に奮闘する姿を描く。オーディション情報サイト『Deview/デビュー』では、同作で新たな一面を見せている主演&ヒロインの二人に、本編の見どころはもちろん、演じた役への想い、お互いの印象、撮影エピソードなどを聞いた。
【尾上松也×百田夏菜子 インタビュー】
◆「唯一無二の作品ができるのではないか。そういう挑戦にお声がけいただいたことがとても嬉しかった」
――映画『すくってごらん』が初共演となりますが、お互いに対してはどんな印象を持ってましたか。
【尾上松也】「百田さんはトップアイドルですね」
【百田夏菜子】「いや、そんなことないですよ(照笑)」
【尾上松也】「そんなことありますよ! 僕がよく行くお店の方がモノノフ(ももいろクローバーZのファン)なんです。そのお店に行くと、100%、ももクロのライブDVDが映し出されてますし、その方からもももクロのお話をたくさん聞いていまして。そういう意味では、友人が憧れている象徴であり、画面を通して観る方だなっていう感覚が強くて。職業柄的にもご一緒する機会があると思っていなかったですので、最初にご一緒するというお話を聞いた時は、すごく驚きました。歌って踊っていらっしゃるイメージがすごく強かったですので、どういうふうにご一緒できるのかなっていうのは率直に楽しみでありました」
【百田夏菜子】「私の中では、テレビの中の人であり、舞台の上にいる人っていうイメージでした。一度、松也さんが出演されていた歌舞伎の舞台を観させていただいたことがあって」
【尾上松也】「そうおっしゃってましたね」
【百田夏菜子】「舞台の上で演じられているのを見ていたので、その時のイメージが強くて。あとは、“IMY”(山崎育三郎、尾上松也、城田優の3人によるプロジェクト)というグループで活躍されていたのは知っていたので、歌も歌われるんだっていう印象はあったんですけど、私も実際にご一緒するとは思ってなかったです。それに、今はスパイラルの人(ドラマ『半沢直樹』より)っていうイメージもあって(笑)」
【尾上松也】「ありがとうございます(笑)」
【百田夏菜子】「作品によってどんどんイメージが変わられる方なので、私もどんなふうにご一緒できるんだろうって、すごく楽しみでした」
――実際にお会いしてみてどう感じましたか。
【尾上松也】「非常にフランクでした。最初は、これから長い期間、一緒に撮影するので、どういうふうに接したらいいかなって緊張しましたけど、非常にフランクに話しかけてくださって。話しやすい人柄だったのが、僕としては助かったところがありますし、そのおかげで現場も明るくなったなっていう印象がありますね」
【百田夏菜子】「私も初めましての時は、緊張しました。柿澤(勇人)さんと松也さんが『久しぶり』って言い合っていて。お二人はすでに顔見知りな雰囲気があったんですけど、最初の読み合わせの時、その三人しかいなかったんです。私はそんな中でお二人の間にいて……。あの時が一番緊張しましたし、ドキドキしました。でも、撮影が始まって、体育館でのシーンで一緒にバスケをやったことがあって。負けた方がアイスを奢るというゲームをスタッフさんを交えてやったのですが、そのときに仲良くなりました。そこから、いろんな絡みをするようになって。撮影も松也さんが引っ張ってくださっていたので、アットホームな雰囲気でできたなって思います」
――お互いになんて呼び合うようになりましたか。
【百田夏菜子】「私は松也さんです」
【尾上松也】「僕は、石田さんです」
【百田夏菜子】「いや、百田です!! この絡みをずっとやってるんですよ(笑)」
【尾上松也】「え? 百田? 間違えた。ごめんなさい。僕、元々、新田さんのことは……」
【百田夏菜子】「いや、百田!! これを延々とやってましたね」
【尾上松也】「僕はその日の気分によって名前を変えて呼んで、突っ込まれるっていう遊びをずっとやってました(笑)」
■「主人公のひねくれた部分というのはとても共感できる(笑)」
――とてもアットホームな現場の雰囲気が伝わってきました(笑)。本作は金魚すくいをモチーフにした映画になってますが、一番最初に脚本を読んだ際の感想を聞かせてください。
【百田夏菜子】「脚本を読んだだけでは想像しきれない部分が多かったです。監督にお話を聴きながら、“ここに歌が入るとどうなるんだろう?” とか、いろんなことを想像していて。それがすごく楽しかったんですけど、やっぱり全体を想像することはできなかったです」
【尾上松也】「僕も最初は……正直なところ、何をしたいのかよくわからないなと思いました(笑)。“これ、一体どうなるんだ?”、“なんでこういう作り方をしようとしてるんだ?”と驚きつつ、興味をそそられました。コミック原作ものでこれをやるっていう。そこに、監督をはじめとした、スタッフの皆さんの今回の作品に対する意気込みを感じたんです。うまくハマれば、唯一無二の作品ができるのではないか。そういう挑戦にお声がけいただいたことがとても嬉しかったですし、一緒に頑張りたいなって思いました」
――松也さんは映画初主演、百田さんは映画初ヒロインとなってますが、ご自身の役柄はどう捉えましたか。
【尾上松也】「香芝は非常にひねくれた部分を持っている主人公です。ひねくれた部分というのはとても共感できますので(笑)、そこは自分の感覚を信じて演じるのみでした。ですが、映画の中で彼の心情は変わっていくんですね。他人にとってみれば大した出来事ではないことだとしても、意外とその僅かな一歩が、その人にとっては考え方や生き方を大きく変えるものだったりもする。それが、この作品の中でも香芝を通して感じられたので、監督とそういう描写を入れようって話し合いながら、キャクターを作って行きました。1ヵ月間、奈良で撮影してましたから、その期間に何度も話し合って作っていたという感じですね」
【百田夏菜子】「私がやらせていただいた吉乃は、口数がそんなに多いわけではなく、内に秘めた部分が多い、かなりミステリアスな女の子なんです。しかも、すごく女性らしい女の子だったので、どうやったらミステリアスな雰囲気になるかなとか、どうやったら女性らしい仕草が出るかなとか、そういう部分を気をつけようと思ってやりました」
――百田さんはピアノを弾くシーンもありました。
【百田夏菜子】「初めて挑戦させていただいて。ちゃんと弾くのと同時に、美しく弾くっていうのを研究しながら、“どうやったら綺麗に見えるかな”って考えながらやったんですけど、すごく難しかったです。私はピアノを弾いたことがなかったので、最初はもう、ドレミファソラシドの弾き方から教えていただいて。かなり攻めた曲だったので、これを弾けるかなって不安だったんですけど、弾いているうちにすごく楽しくなってきて。この作品をきっかけに今でも続けているくらい、ピアノが大好きな楽器になりました。ただ、撮影の時はやっぱり大変でしたね」
【尾上松也】「百田さんにはピアノという課題があって、柿澤くんもピアノを弾くシーンがありますし、石田ニコルさんはアコースティックギターの弾き語りがあって。みなさん、役ごとにそれぞれがチャレンジをしていたんですけど、僕はそういうのがなかったんですよね」
――いや、ラップがあったじゃないですか。劇中で銀行員として、TEEDA(BACK-ON)提供の「Numbers」を披露してました。
【尾上松也】「謎に英語だったりもしてね(笑)。でも、こういう機会でないとやらないことなので、単純に楽しかったです」
――他にも、歌で感情を表現するシーンがたくさんありましたね。
【百田夏菜子】「歌うシーン、めちゃめちゃ楽しかったですよね」
【尾上松也】「楽しかったですね。ミュージカルというわけではないので、音楽劇? なんていうの?」
――ミュージカルコメディではないのですか?
【尾上松也】「ではないんです! あくまでもミュージカルではなく、<新感覚ポップエンターテイメント>ということでやらしていただきたい(笑)。もちろん、ミュージカルのようにお芝居からの流れで歌うところもあれば、完全に音楽に振り切っちゃうところもありますし、突如、音楽が登場するところもある。本当に監督が好きなように描いている作品なんです。音楽も含めて、流れもすごく斬新ですが、演じてみると気持ちもちゃんと繋がりましたし、歌うシーンは楽しかったですね」
【百田夏菜子】「私は自分ではなく、役として歌うのも新鮮でしたし、だからこそ、普段、歌ってる歌の感覚や歌い方と違うものがあって。“吉乃が歌ったらどんな歌になるかな”って考えながらやってました。ただ、香芝さん=松也さんの歌がすごく心に届いて。香芝はすごくまっすぐな役なんですけど、物語上ではそのまっすぐさが吉乃には届かない。スッって避けられちゃうんですけど、届きそうになった時があって(笑)。“いかん、ここは届いちゃいかん!”って思いながら、あえて心に蓋をしたりしていて。そういうのも難しかったですけど、リハの時から全力で歌ってくださって、その熱が映像でも伝わっているので、だいぶ、感動しました」
■「すごく面白いものになっていて……想像を超えてきました」
――香芝と吉乃のデュエットナンバー「鼓動の理由」もありましたね。
【百田夏菜子】「私は普段、メンバーとしか歌ってなくて。男性の方と声を重ねるっていう機会があまりないので、それもすごく新鮮でした。今回、同じメロディをいくだけじゃなくて、いろんなラインにいったり、間にセリフに言ったり、歌い分けもちゃんとあって。それが、全部、新鮮だったんですよね。松也さんの声と自分の声が重なるのも、実際にやってみないとどうなるかわからなかったし、合わさった時にこんなふうに1つの声になるんだっていうことにすごく感動しました」
【尾上松也】「映画の中でも大掛かりなセットでしたし、最終的に僕、水を被るシーンもあったので(笑)、僕の中では山でしたし、とても思い入れが深いシーンになってますね。デュエットはあの曲くらいで、あとは、僕が一方的に歌ってるから」
【百田夏菜子】「<♪Bメロはじまっちゃいますよ〜>とか。あれ、めっちゃ面白いですよね」
【尾上松也】「幻想の中ですけど、吉乃さんと唯一、いい感じになれるシーンですからね。だから、緊張しましたし、ドキドキしましたけど、美しく撮ってくださったので映像を見た時は感動しました」
――歌の部分も含めて、完成した映画を観てどう感じましたか。
【百田夏菜子】「監督の頭の中はこうなってたんだって思いました。撮影はしたんですけど、撮影した後もどんな作品に仕上がるのか想像しきれない部分が残っていたんです。でも、それが完成して、絵になったときに、すごく面白いものになっていて。なんか……想像を超えてきましたね。自分も撮られてはいるけど、観るのもワクワクしましたし、知らないシーンもたくさんあったので、繋がって観たときに、自分がやってきたことも繋がって、1つの作品になっていたことがすごく嬉しかったです」
【尾上松也】「最初脚本を読んだ時は、“これをどうするんだ”という気持ちと、“これをどうにかしてみたい”という楽しみがあって。撮影をしている中でも、長期にわたって、みんなで試行錯誤しながらやってきて、キャストの皆さん、スタッフの皆さんが1つの方向に向けてやっていこうという気持ちがあった現場だと思います。とはいえ、急に音楽が出てきたり、いろんな要素が出てきたりするので、自分たちは気持ちを繋げて演じていたつもりですが、実際にどうなっているのかは、全部、撮り終えても想像しきれない部分がありました。ですが、今、百田さんがおっしゃったように、完成した作品を観て、全てが繋がっていると、制作した側である我々が思えた。それは、観ていただく方に提供するという意味でも大きいことだと思います。あまり見たことのない、いわゆる物語や映画のセオリーにとらわれてない作品になっていて。本当に監督がやってみたかったことを具現化している感じがしましたし、その中にきちんと、誰しもが感じる普遍的な感覚が織り込まれている。そして、シリアスなシーンもあれば、香芝と吉乃さんの切ない恋模様を、音楽でポップに昇華している。そういう意味では、それぞれが自分のことと照らし合わせつつ、明るく楽しく観やすい映画になったのかなと思います」
――手掴みでおはぎを食べたり、いきなり涙したり、心の声がだんだん表に出てしまったり。声を出して笑うくらいとても面白かったです。香芝には、“令和の虎さん”として、毎年どこかに左遷されてほしいなと思っています。
【尾上松也】「ありがたいですね。監督をはじめ、スタッフさんとも、うまくいったら、シリーズ化したいなっていうお話をしていて。かなりトリッキーな作り方しているので、どういう風に受け入れていただけるかは、期待もあり、不安もあったのですが、そういっていただけると非常に嬉しいです。音楽もとても素晴らしく、内容も楽しんでいただけますし、金魚もかなりの時間を掛けて綺麗に撮影していますので、性別や年齢を問わず、幅広い方に観ていただいて。“ああだ、こうだ”言っていただけたなら嬉しいです」
【百田夏菜子】「本当にいろんな方に楽しんでいただけるだろうなと思います。笑えるところもあるし、心を掴まれるところもあるし、感情を転がされると思うんですけど、とってもハッピーな気持ちになれると思いますので、ぜひ、たくさんの方に観て欲しいです」
■「夢を叶えることの第一歩は、続けることだと思います」
――また、香芝はある失敗をして銀行を左遷され、吉乃は過去のトラウマを抱えてます。お二人は失敗したり落ち込んだりしたときはどう対処し、どんな風に乗り越えてきていますか。『デビュー』の読者の中には、オーディションに落ちたことで悩んでいる読者も多いので。
【百田夏菜子】「自分としっかり向き合うことが必要なのかなと思います。失敗したのであれば、“なんで失敗したのかな?”って考えたり、挫折しそうになった時は、“本当に自分が何をしたいのか”っていう、自分の心の奥底にある気持ちにしっかりと耳を傾ける。私も経験上、無意識にそれを避けてしまったり、気づかないようにしてしまうことがすごくたくさんあって。“本当はどうしたいのか”ということに対してきちんと向き合わずに、周りに求められてることをやってしまうとか……。私にとっては、人がやってほしいって思ってることをやる方が楽な時があるんですよ。でも、そうではなくて、自分の本当の心の声に耳を傾けて、ちゃんと向き合ってあげること。実際に自分が本当にやりたいことをやるかどうかは別にして、まずは、ちゃんと聞き出すことをすごく大切にしています」
【尾上松也】「僕は20代前半は目立った活躍ができてなかったので、そういう時は、何度も心が折れそうになりました。僕も結構、オーディションを受けていたのですが、なに1つ、受からなくて(笑)」
【百田夏菜子】「そうなんですか?」
【尾上松也】「そうだよ。だから、偉そうなことは言えないけど、諦めないこと、信じることしかないかなっていう気がしますね。特にオーディションで何度も落ちると、その都度その都度、自分の実力が足りなかったのではないかとか、向いてないのではないかって考えてしまう。でも、そこで諦めることは意外と簡単だったりするんですよ。諦めないで信じることは、大変なことだけど、そういう時期は良いイメージを思い浮かべていました。スポットライトを浴びてる自分とか。できると信じて想像することで、なんとか乗り越えてやっていくしかないって思いますね。」
――では、最後に夢に向かって頑張ってる読者に向けてのメッセージをお願いできますか。
【尾上松也】「夢を叶えることの第一歩は、さっき言った、“信じて想像すること”も大事ですけど、実は一番重要なのはそれを続けることなんですよね。すごく大変なことでもありますが意地でも継続するってことが大事だと思っています。そして、チャンスというのは、巡ってくるというよりは、掴みに行かないといけないものだと思うんですね。チャンスを見極めて、掴んで、形にするっていう強い意志に限るのではないでしょうか」
【百田夏菜子】「私も続けることが一番難しいと思います。それこそ、1つのことを思い続けることも難しいですよね。私もやっていて、それがとても難しいことだなって思うんですけど、でもやっぱり、夢を叶えたいっていう気持ちだったり、行動に移してみたり、チャレンジしてみるっていうことが大切なのかなと。何かにチャンレジするときって、“失敗したらどうしようかな”って考えがちなんですけど、それを恐れないこと。“失敗しないようにどうしたらいいかな”って考えて、努力することが、何かを掴むのには一番大事だなと思います。たとえそれが叶わなかったとしても、努力してきた過程で別の何か大切なものが見つかったり掴めていたりすると思いますし、そういう“気持ち”が一番大事なのかなって思います」
撮影/booro 取材・文/永堀アツオ ヘアメイク/岡田泰宜(PATIONNI)【松也担当】、チエ(KIND)【百田担当】 スタイリスト/椎名宣光【松也担当】、関志保美【百田担当】