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2020/09/18 18:01
念願の花魁役に挑戦した奈緒、角川春樹監督の”女性陣はほめて伸ばす”方針に「本当に優しくて不安になることもあった」と回顧
作家・高田郁によるベストセラー時代劇小説を、角川春樹が映画化した『みをつくし料理帖』の完成披露試写会が17日、丸の内TOEIにて行われ、主演の松本穂香、共演の奈緒、若村麻由美、窪塚洋介、小関裕太、藤井隆、石坂浩二、中村獅童、そして角川監督が出席した。
豪華メインキャストが一堂に会したこの日。神田にある蕎麦処「つる家」の女料理人・澪役の松本は、角川監督の印象について「現場では毎日『芝居良かったよ〜!』と私と奈緒さんには仰っていたんですが、撮影前に女性陣はほめて伸ばす、男性には厳しくと宣言されていたので、褒められてもそれが頭をよぎる。本当に思ってくれているのかな?って」と苦笑い。生き別れた澪の幼馴染・野江役の奈緒も「本当に優しくて不安になることもありました。でも角川監督から『OKを出しているのはOKだから』との言葉をいただきました」と喜んでいた。
その男性陣の一人である小関は「厳しかった」と宣言通りだと笑いつつ「でも優しくて、優しい中に厳しさがある。完成した作品を観て、初めての自分の姿を見た気がします。新しい自分がいる!と感動しました」と初の角川組で新境地を実感したことに笑顔で語った。窪塚も「角川春樹といえば、龍とか朱雀とかもはや伝説。実際にお会いして、人となりや言動に触れる中でハンパじゃない人だと思った。雨予報の日に『雲切りをしてきた』と言っていて、実際に雨が降らなかった。…龍なんだと伝説を体感しました」と角川春樹パワーに脱帽していた。
一方、藤井は「女優さんには優しく、男性には厳しくですか? 割と僕は褒めて伸ばしていただいた」と笑わせつつ、「カットの後に『いいよ!藤井!』と呼び捨てで呼んでいただけたことも嬉しかった」と身振り手振りで撮影当時の様子を語り、会場を笑いの渦に 包んだ。憧れの女優・薬師丸ひろ子との夫婦役共演には「今でも嘘だと思っている。実際に僕出ていました?」とボケを披露。
角川、プロデュース作品『蒼き狼〜地果て海尽きるまで〜』(2007年)以来の若村は、今回の撮影を振り返り「角川監督は一人一人の登場人物を愛して、キャストを愛して愛の眼差しで撮影をされていました。自分はその包容力に身をゆだねて、一生懸命やるだけ。居心地のいい現場でした」とニッコリ。松本については「とてもひたむきな方。角川監督からは親子のようにと言われましたが、こんな素敵な娘がいればいいなぁと見とれていました」と娘・松本に慈愛の視線を投げていた。
映画『男たちの大和/YAMATO』(2005年)以来の獅童は「角川監督はずっと応援してくれていて、駆け出しのころから『お前は大丈夫だ』と声をかけてもらいました。それが心の支えになり、再び呼んでいただいた嬉しさは一言では言い表せません。そして新しい中村獅童を引き出してもらいました」としみじみ。藤井隆との殺陣シーンでは「段取りの段階なので流れを緩くやっていたら『何をやっているんだお前たち!真剣にやれ!』と怒鳴られた」と笑いつつ「その声を聞いたときに『角川監督はまだ大丈夫だ』と思った。角川監督はこれが最後の監督作だとおしゃっているけれど、まだまだ撮り続けていただきたい」と監督続投を懇願した。中村獅童の息子の名前は角川春樹の名前からとられているが、角川監督は「ストレス発散の憂さ晴らしのために付けたと私は思っています」と仲の良いトークで笑いを誘っていた。
そして『犬神家の一族』(1976年)からの付き合いである石坂は「当時の角川監督の、映画界をなんとかしなければ!という熱をいまだに覚えています。そして今回も改めて日本の映画界を!とい う気持ちを感じた」と熱量を受け取ったそうで、「角川監督には『店じまい』とか言ってまたやる!みたいな感じになってほしい」と監督業続投を期待。
"ラスト監督作"を銘打っている角川監督だが「原作はまだ2作くらいの映画ができるネタがあります。撮影後の打ち上げの時にスタッフ・キャストに『また会おう』という声をかけました。またこの顔ぶれで映画を撮りたい」と監督業続投に意欲を見せていた。
最後に主演の松本は「大切な人と映画館で観てほしい」と劇場公開に期待を込めると、角川監督も「撮影前の神事では、全世界に映画を観る喜びと感動を与えることができるよう、世界中の人々に愛されるようにと祈りました。それが私の気持ち。みなさんから愛されるような映画になることを願っています」と思いを込めていた。
映画『みをつくし料理帖』は10月16日(金)より全国ロードショー。