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2019/09/20 08:01
『あなたの番です』で注目の奈緒も輩出 野島伸司総合監修の俳優養成所『ポーラスター東京アカデミー』で育成中の役者の卵たちにインタビュー
石原さとみ主演のドラマ『高嶺の花』(2018)、FODで配信中の『百合だのかんだの』(2019年)など数々のヒット作を手掛けてきた脚本家・野島伸司が総合監修を務めるアクターズスクール『ポーラスター東京アカデミー』が、続々とドラマ・映画出演を果たす生徒を輩出している。ここで特待生として学んだ奈緒が、ドラマ『あなたの番です』(日本テレビ)尾野幹葉役の怪演で話題を呼び、映画『ハルカの陶』で映画初主演を果たすが、彼女に続く生徒たちもチャンスを求めてレッスンに励んでいる。現場に直結した俳優育成の実績が業界内でも注目される『ポーラスター東京アカデミー』で現在学ぶ4人に話を聞いた。
■『ポーラスター東京アカデミー』インタビュー/有原遣智さん(27)&池内明世さん(18)&野本梨加さん(21)&南進也さん(24)インタビュー
――俳優を目指したきっかけと、ポーラスター東京アカデミーに通い始めたきっかけを教えてください。
【有原遣智】「小さい頃から家族で一緒にドラマや映画を観たり、レンタルビデオ店で借りてきたDVDを一気見したりしていて、映像作品が好きになりました。高校の時から洋服が好きになって、『メンズノンノ』のファッションコーディネート大賞でグランプリを受賞したことで芸能の世界に興味を持ちました。その後、大阪芸術大学の舞台芸術科に進学して芝居の勉強をしながら、在学中にデビューさんのオーディション用紙を使って、延べ120ぐらいオーディションに応募したかな…でも結果が伴わなくて。
そして役者の道を諦めて、大学4年生からカメラマンの仕事を始めました。『女子博覧会』というイベントのバックヤードで、プレスとして芸能人のオフショットを撮っているとき、そこに出ている方々のキラキラ感を見ていたら、悔しくなってきて。その時、イベントのプロデューサーさんが“いい目をしてるね”と声を掛けてくれたんです。そこで、役者を諦めたことや“今日の現場は楽しかったですが、複雑でした”っていう話をしたら、そのプロデューサーさんはポーラスターの方とお知り合いで『もったいないから続けたほうがいいよ』ってアカデミーを紹介してもらったんです。ご縁がつながって、今ここにいます」
【池内明世】「中学校の頃から芸能界に興味があって、キラキラして可愛い女優さんやモデルさんに憧れていました。でも中学3年のときに中島哲也監督の映画『渇き』に出会って、そのときに初めて“なんだ?この美しいけど残酷な映像美は! 芸術作品みたい”って感性に突き刺さるものがあったんです。そしてこういう世界観の作品に出たいって思うようになりました。
その後、養成所のモデルコースに1年間通っていたんですが、ずっと女優をやりたいと思っていて。卒業のタイミングで、演技の勉強をしなきゃ、このままじゃオーディションにも受からないと感じて、探していたときにポーラスターを見つけました。私の好きなドラマや、歌の作詞が野島さんだったり、お母さんもドラマ『未成年』や、『高校教師』の主演だった真田広之さんが大好きで“その野島さんの学校!? ここはもう受けるしかない!”って思って応募しました。お母さんも大賛成で“挑戦してきなさい”って送り出してくれました」
【野本梨加】「幼稚園の時から学芸会とか、みんなの前で何かをやるのが好きな、単なる目立ちたがりだったんです。最初は軽い気持ちで女優になるって言っていて、高校を卒業したのを機に上京しました。親は“ちゃんとした仕事をして、ちゃんと結婚して、ちゃんとした人生を歩みなさい”みたいな人なので、大反対で“そんなに甘くない”って言うんですけど、そんなのやってみなくちゃ分からないじゃないですか?
正直はじめは“テレビに出たい”“名前を知ってもらいたい”ぐらいの気持ちでしたが、専門学校に入って、ドラマや映画の現場を肌で感じるようになったときに、裏側はこんなに大変だけれど、いろんな人に感動や勇気を与えられたりするのはすごいことだな、自分の好きなことで人の人生を変えられるって素晴らしいと思って、本気で目指すようになりました。
でもそのあと、悪徳事務所にひっかかってお金を取られたり、いろんな道を通って、たくさん失敗してきました。そして“これが最後”って思った時に、ここのホームページを見つけて門を叩いたんです。1年間頑張って、見返してやるという気持ちです」
【南進也】「アニメやマンガが好きで、高校卒業を機に声優を目指して上京して、専門学校に通い始めました。カリキュラムの一環で修了公演の舞台に立ったんですが、そのときにいただいたお客さんからの拍手や、板の上に流れている空気、役として舞台に立っていることの気持ち良さに夢中になっちゃって。声の仕事よりも、役者としてやっていきたいと思うようになりました。
事務所に所属して2年弱活動をしていたんですが、心身ともに調子を崩してしまって、お芝居自体をお休みしていたんです。親は“そんなにまでなるんだったら、もう帰って来たほうがいい”と言ったんですが、“もう一回だけでいいからチャンスをください”って。周りの人を説得して、もう一度東京に戻ってきました。
改めてしっかり演技の勉強をしたいと思った時に、ポーラスターの広告をデビューで見かけて、野島伸司さんのお名前を見つけました。僕が演技を面白いと思った“バイブル”が、野島さんが脚本監修をした漫画『NOBERU』(小学館)でした。子役の子たちが出てくるファンタジックな漫画なんですが、演技について本当に人の心に深く入り込んでいくような描写に衝撃を受けたんです。その野島さんの元に飛び込んでみようと思って、ポーラスターに応募しました」
■アカデミーで発見したこと学んだこと
――アカデミーに入って発見したことや学んだことは?
【有原】「映像ってナチュラルなお芝居が多いんですが、最初自分はナチュラルをはき違えていたかなと思います。自分が思うナチュラルをやってみると“面白くないね、そのお芝居”って言われますし、僕が大げさだと感じる芝居も、登場人物にとっては自然かもしれない。講師からは“馬力を付けなさい”“出力を上げなさい”とよく言われましたね。例えばスポーツカーは普通の道も走れますが、軽自動車はレースに出られない。“馬力を付けて、それを調節できるようにする練習をしなさい”って言われたことが心に残っています」
【池内】「課題を見つけて解決していけばいくほど悩むことが多くなるんですが、課題が難しくなるにつれて、私は悩むことが好きなのかなって、ここに来て気付いたんです。自分の前に立ちはだかる壁が、土壁からコンクリートの壁になって、強度を増して壊すのが難しくなっていくような。でも試行錯誤を繰り返しながら壊していくのが好きで、逆に悩めるって幸せだなって気付きました。悩む楽しさを知ったことが成長かもしれません」
【野本】「自分はコメディをやりたいと思っていたんですが、ここにきて確信に変わりました。演技レッスンでは、“もっと違う方向から見てみなよ。もっと広げてみて、もっと出してみて”って言われ続けていたんですが、最近では“出し過ぎ”って言われるようになって、それが嬉しいです(笑)。自分の個性的な部分も見つけることが出来ましたし、レッスン生の普段の面白いところや、個性的な仕草を見つけるようになりました。あと、ここで一番変わったのが、夢が現実に近づいたということ。まだ私続けてもいいなって思えるようになりました」
【南】「僕がよく言われたのは“無駄なことを考えるな、相手だけに必死になれ”ということです。普段の生活では、自分を守るためにつまらない嘘をつくこともありますけど、、ここのレッスンの中では嘘をついていることがもったいない。自分に正直になって、相手に必死になるということが、結果的に自分の力になるんだと感じます。普段の生活にもフィードバックしていて、レッスンの先生から“明るくなったね”って言われたりして。本当に皆さんからエネルギーをもらっていて、自分のエネルギーを引き出してくれる環境が、このポーラスターにあるんだろうなって思います」
【有原】「セルフプロデュースの大切さも学びました。お芝居を勉強するだけではなくて、オーディションを突破するために、自分の武器・強みをちゃんと考えて探していきなさいということや、自分がやりたいと思っている芝居より、別の方法が向いてるかもしれなということなど、様々なアドバイスをいただきました」
■実際の現場で役に立った教えとは?
――そうした指導が、実際に現場等で役に立った経験はありますか?
【有原】「自分は、心の中は野心メラメラでも控えめに見えるという特徴があるので、サブリーダー的な役柄でいったほうがいいのかなって思ていました。でもレッスンでは、お兄さんっぽかったり、面倒見が良かったり、ちょっと知性的だったり、渋かったりというところが君の強みだねと言われていて。先日放送されたドラマで東京大学ラグビー部のキャプテンの役をやらせてもらったんですが(NHK BSプレミアム『キミに最後の別れを-永遠なれ ラグビー部の青春-』主人公・水田泰郎役)、今までキャプテンはやったことがなかったんですけど、自分のなかに少なからずあるリーダーシップを、どうやって現場で膨らませるかということを教えてもらいました。自分が不得意だと思っていた役のなかにも、自分と一致しているところが必ずあるから、それをいかにして膨らませられるか。そのレッスンをしていた時期があって、それはこの現場ですごく役に立ちましたね」
【池内】「“台詞と行動はセットになっているから、台本をキチンと読み込んで行けば、その通りに動けるようになっているよ”と講師の方はおしゃっていて。台本を読み込んで役を理解しきっていれば、現場で動きを指定されても、自然に動いて台詞を言うことが出来る。自分でも結構苦しんでいたポイントだったんですが、それを学んでからは冷静になって、初めての現場でも落ち着いて演技に集中することが出来るようになりました」
【野本】「私は“現場の雰囲気を大事にしなさい”という事を教わりました。初めてのテレビの仕事で、ドラマ『時効警察はじめました』に役付きで出演させていただいたんですが、スタッフさんとのコミュニケーションを大事にしようと思って、たくさんの方に私のままで接したんです。そうしたら次もまた呼んでいただいて。本当にいろんなスタッフさんに覚えていただき、“すごく個性的な子だよね”って言っていただけて嬉しかったです。こういうところでコミュニケーションをとって、パイプを作っていくこともこの業界では大切なんだって実感しました。“芝居を覚えていくのも、役を作って行くのも当たり前、まずは現場で自分がどうあるべきかを学びなさい”って言われたことは大きかったです」
【南】「エキストラとして現場にいるとしても、脚本やシーン、作品を読み解く力は必要だし、それがずれていると、たくさんの人に迷惑をかけてしまうことになる。ポーラスターで勉強したのは現場で求められる読解力です。本を読んだ感想は人それぞれでいいんですけど、それはプライベートなこと。プロのお仕事として、台本を皆さんと一緒にすり合わせていくには、どう読み解けばいいのかというのを教えていただきました。
オーディションでは、ペラ一枚の台本を渡されて、短い時間で覚えてやってくださいということが多いんです。そういうときに、自分の中でこのポイントを分析しようと決めておけば、落ち着いて台本を読むことができるんです。そうでなければ、この役はどう生きてきて、どういう性格なんだろうってぐるぐると考えてしまって、それって結局効率が良くない。効率的に的確に役や作品を読み解く力と言うのは、オーディション、現場、いろんなところで役に立っているなって感じます」
【有原】「基礎として台本の読解力を学ぶことはいいんですが、オーディションには読解力のある人が選ばれて来ているから、脚本に沿って演じると、結果同じようにまとまったお芝居に陥りがちなんです。だから進んだクラスでは、自分の強みを入れて崩していく、プラスアルファを入れることがオーディション突破の近道ということを教えてくれます。自分も悩んでいた時に、ちょっとずつ崩していくことを学んでから、オーディションの通過率も少し上がったかな。及第点をとるだけではなく、そこからプラスアルファできることも大事なんです」
――それは、最初に崩すことから考えてはいけないんですよね。まずはデッサンを覚えてから自分なりの絵を描くように。
【南】「『守破離』っていうんですかね」
【野本】「中学校のバスケ部の横断幕でした(笑)」
【有原】「ここはカリキュラムが段階に応じて、スタンダードとアドバンスがありますので」
■アカデミーで得られるメリットとは
――では、アカデミーに通う事のメリットは?
【有原】「モチベーションが維持できるのがいいところだと思います。僕は1期生で、奈緒さんと同期で同じクラスだったんです。入校するときに、野島先生にお芝居を観ていただいたんですが、“キミ、お芝居できるね、男では一番良かったよ”って言われたんです。あんなすごい方がそう言ってくださったという事実だけで頑張れる! よっしゃ!って思って家に帰ったんです。でもよくよく考えたら、男では一番良かったってどういうことだ?って。そして入校したら、同じクラスに奈緒さんがいて。自己紹介をする機会があったんですけど、“あ、この子だな一番の子は!”ってすぐにわかったんです。それで実際にお芝居を観たら、馬力が、エネルギーを入れられるところがあって、ああ全然違うなって思ってしまいました。
彼女はすぐに事務所に入って、その後も仕事が途切れずにバンバン決まって、ああ、遠い存在になっちゃったなって思ったんですけど、僕も奈緒さんと同じ事務所になんとか入ることができたんです。活躍できる道があるという前例、差を付けられたというコンプレックスの両輪があって、そうやってモチベーションが維持できなかったら、途中で辞めちゃってたかもしれないです。近い人と競り合って悔しいという気持ちも大事ですし、遠く先を行って切り拓いてくれた人がいるということも、両方が力になりましたね」
【南】「ここのレッスンは週1回で、それ以外の時間をどう使うかは本当に自由なんです。継続して自分を磨いている人間とそうでない人間とでは、一週間でその差はとてつもなく開いてしまいます。そういう変化を間近で感じられることで“負けてられない”という気持ちも湧いてきます。その様子を、講師以外のスタッフの方もモニターで見てらっしゃる。毎日毎日、誰にも見せないで一人で訓練するって、結構泣きたくなるぐらいしんどいんです。でも“だんだん変わって来たよね”って声を掛けてくださったり、いいところも悪いところも見逃さないでいてくれるのは、愛情だなって思います」
【有原】「ここの先生方は、お芝居というあいまいなものを、言語化するのが上手い方が多いので、それが助かります。他では“ここはパッと”とか“気持ちが入ってないよ”とか感覚的な指導もあるので。学ぶにあたって、言葉に変換してもらえるとすごく入って来易いと思います。コーチングの経験を積んできた方々がカリキュラムを組んでいるので」
【野本】「コテンパンに言ってくださるので、ヤバイ!と思う時もあるんですが(笑)、その有難さも分かっているので、芝居をもっと好きになろうって思います」
――皆さんの今後の目標や夢を教えてください。
【有原】「元々洋服が好きなので、露出を増やす機会として雑誌に出たい。今は髭を生やしてシブい雰囲気を出しているので、医療モノか刑事ドラマに出たい。日常を切り取ったなかに面白みや感動があるヒューマンドラマが好きなので出たいです。あとは映画が好きなので、沖田修一監督の作品や山崎貴監督、犬童一心監督の作品に出たい。そして最後に、おばあちゃん大好きなおばあちゃん子なので、おばあちゃんが観る大河に出たい!」
【池内】「思考は表現に現れるので、自分の表現や芝居を通して、観ている人に自分の思考を覗いてもらいたいと言うのを目標にしています。そこで人間性も素敵だなって思ってもらえるような女優になりたいですし、作品を盛り上げる一部になりたい。詩を書くことも好きなので、それもひっくるめた人間力のある人になりたいです」
【野本】「最近はみんなテレビよりスマホの時代じゃないですか? ながら観が多いなかでも、私の芝居で目が留まる女優さんになりたいです。そして作品の中に私が入ったら味が濃くなるような、スパイスになるような役者になりたい。将来は日本アカデミー賞をとってハリウッドに進出したい。ハリウッド映画には、勇気を奮い立たせる力をもらったので、そういう作品に参加できるような女優になります!」
【南】「演技が大好きな気持ちが強いので、お芝居が上手な人と一緒にお芝居出来たらいいなと思います。今はまず役付きで、キャストのクレジットに乗ること。そしてジェームス・ディーンが好きなので。ハリウッドに進出したい! 渡辺謙さん、真田広之さんのような世界で活躍できる俳優が目標です」
■何から始めていいか分からない人に道を示してくれる
――これからアカデミーの門を叩こうと思っている人に向けてメッセージを。
【南】「役者でやっていくことは狭き門ですし、難しいです。ポーラスターは、果てしない道を歩こうという情熱を持った人に、コンパスのようなものを授けてくれるところだと思うんです。熱意はあるのに、どうしていいか分からないようだったら、ぜひ門を叩いていただいて、一緒にお芝居したいと思います。本当に厳しいので覚悟はしたほうがいいと思いますが、でも楽しいです」
【野本】「私が最初にここのホームページで『君は何者か…』という文を読んだのは、ちょうど壁にぶち当たって、地元に帰ろうと思っていたときだったんですね。どん底に落ちていたときにその言葉を見て、自分にはもっとやれることがあるんじゃないかと思ったんです。そんなに簡単に諦めていいのかと。ここは自分を広げていける場所だと思うので、迷ったり、本当に芝居をしたいと思ったら、ちょっとでも自分を信じてあげて、ここに足を運んでいただけたらと思います」
【池内】「私もホームページに書かれていた『本物主義』という言葉に感銘を受けました。私は、芝居をしているときに、ごまかしたり、嘘ついたり、妥協したり、ヘンにこなしちゃう感覚が嫌いなタイプなので。何事にも貪欲な姿勢で臨める人がここに来たら、本来持っている良いモノを出せる機会になると思うので、ここを選んでほしいと思っています」
【有原】「俳優になりたくても、何から始めたらいいかわからない人も多いと思うんですが、ここは道を一つひとつ教えてくれて、頑張っていればスタッフさんたちが観ていてくれて、ここの強みである現場に呼んでもらえるということもあります。現場で経験を積み重ねていれば、事務所を紹介してくれるなどのきっかけを与えてくれます。それはもちろん自分たちの頑張り次第ではあるけれど、やみくもに始めるよりもクリアになっているほうが、先の分からない世界でも安心できると思います。そういう安心感を与えてくれるアカデミーでもありますし、その頑張りをちゃんと見てくれているスタッフさんがいるので、一緒に頑張りましょう」
現在『ポーラスター東京アカデミー』は特待生オーディションの募集を行なっている。公式サイトの応募フォーム(https://psta.co.jp/audition/)からエントリーできる