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2019/01/25 18:08
「演劇集団イヌッコロ」”笑いあり涙あり”の名作コメディ再演、小川麻琴×佐藤永典×長谷川哲朗インタビュー
ワンシチュエーションコメディを題材とした舞台を数多く上演している「演劇集団イヌッコロ」が、2019年一発目に贈る『いえないアメイジングファミリー』。オーディションサイト『Deview/デビュー』では、昨年末に都内で行われたビジュアル撮影の現場に潜入。本作で主演を務める小川麻琴と佐藤永典、そしてイヌッコロの長谷川哲朗に、本作への意気込みを語ってもらった。
本作は、ワケあり三姉妹の次女が人間に恋をしてしまったことで巻き起こるドタバタコメディ。2017年にイヌッコロの脚本・演出を手がける羽仁修の書き下ろし新作として上演され、これまで同様コメディ色もしっかりとしていながら、最後にはホロっと泣ける感動の展開もあり、“イヌッコロの最高傑作”と好評を得た。そして今回、次女・メモリ役に小川、メモリと恋に落ちる人間の青年・晴海役を佐藤が演じるほか、客演キャストを一新。一部Wキャストとして【A】【B】チームに別れての上演となる。
昨年末、都内で実施されたビジュアル撮影では、洋館の壁をイメージした背景や電飾を垂らしたネイビーのバック紙を背景に、パンフレット等で使用する写真を撮影。主人公であるメモリと晴海のビジュアル撮影では、電飾が仕込まれた傘を差しての撮影が行われ、傘から垂れた電飾がキラキラと輝き、物語の鍵となる“雨”をイメージさせる。
そんな中、今回が初共演という小川と佐藤は、数秒見つめ合ったただけで思わず目をそらしてしまったり、ニヤけてしまったり、慣れないシチュエーションに悪戦苦闘するひと幕も。二人の距離感や表情、傘に仕込んだ電飾の位置など、細かな部分を調整しながら撮影が進んでいき、作品の世界観そのままの幻想的な写真が仕上がった。
そして、ビジュアル撮影終了直後、主演を務める小川と佐藤、そしてイヌッコロのメンバーを代表して長谷川を加えた3人にインタビュー。本作への意気込みや見どころ、演じる役柄についてなどを聞いた。
【小川麻琴×佐藤永典×長谷川哲朗インタビュー】
◆「"いえアメ"はすごく面白くて感動した作品だったので、いつか自分もやりたいと思っていた」
――イヌッコロ初参加となる小川さんと佐藤さん。作品の世界観にピッタリな空間でのビジュアル撮影を終えたばかりですが、撮影はいかがでしたか?
【小川麻琴】「わりと普通に、白を背景に撮影するのかなと思っていたら、すごく作りこまれた感じでの撮影で、すごく楽しかったです」
【佐藤永典】「想像していた感じと全然違っていて、とても幻想的な雰囲気でびっくりしました。小川さんとの撮影では、二人で傘をさして撮ったんですけど、何の心構えもせずに撮影に入ったので、最初はちょっと恥ずかしかったです(笑)」
【小川麻琴】「私もまさか傘をさして向かい合って撮影するとは思わなかったので、最初は照れてしまって慣れるまで大変でした」
【佐藤永典】「でも、作品に合った世界観での撮影だったので楽しかったです」
――本作への出演が決まったときの率直な感想を教えてください。
【小川麻琴】「イヌッコロさんの存在自体は、周りからよく聞いていて。でも、まさか声をかけていただけるなんて思っていなかったので、オファーいただいたときは嬉しかったです。コメディということで、お客様を笑わせるって簡単なことではないですが、自分にないものをいろいろと勉強して吸収していけたらと思いました」
【佐藤永典】「イヌッコロさんに出させていただくのは今回が初めてですが、(脚本・演出の)羽仁修さんの脚本作品には何度か出させていただいたことがあって、イヌッコロさんの舞台はこれまでもたくさん観に行かせていただいて。イヌッコロさん自体、とても好きな劇団さんですし、その中でも今回の“いえアメ”は、初演を観たときにめちゃめちゃ面白かったし感動もして、いつか自分もやりたいなと思っていた作品だったので、すごく嬉しかったです」
――初参加のお二人に対して、長谷川さんはどんな印象をお持ちですか?
【長谷川哲朗】「小川さんに関しては、今日の本読みで初めてお会いしたんですが、とてもおキレイな方だなっていう印象です。さとちゃん(佐藤)に関しては、以前からイヌッコロの舞台を観に来てくれたり、その縁で一緒にご飯に行ったり、プライベートでの付き合いはあったけど、共演するのは今回が初めてなんです。お芝居でも私生活でも僕とは真逆の方なんだろうなっていう印象。僕はけっこういい加減なところがあったりするんですが、さとちゃんは、ちゃんとしているイメージがあります」
――本作は、2017年に上演され好評を得た“いえアメ”、待望の再演になります。
【長谷川哲朗】「“いえアメ”は、コメディを主体としてきたイヌッコロとしては珍しく、笑いだけじゃなくて泣ける部分もあって、『イヌッコロの作品の中でも好き』と言ってくださる方も多くて、僕自身もすごく好きな作品なんです。キャラクターそれぞれに見せ場があるし、初演も良かったんですが、今回も出演してくださる方々も本当に魅力的な方々が多いので、そういったシーンがどうなるか、すごく楽しみです」
【佐藤永典】「本当に登場人物がみんな愛すべきキャラクターですよね。僕は初演を拝見させていただいたですが、面白くて泣ける作品でもあり、観ていて応援したくなる舞台だなと。メモリと晴海の恋愛に対して、“メモリちゃん頑張って!”“晴海しっかりしろ!”“お父さん邪魔しないで!”とか、観ている側も一喜一憂しながら楽しめるのが面白いなと思いました。なので、今回もそういう感じを表現できたらいいなと思っています」
――小川さんは台本を読んで、どんなところに魅力を感じました?
【小川麻琴】「台本を初めて読んだときに、何も考えずに楽しめたしすごく面白くて、台本だけでその世界観に入り込むことができた。個性豊かなキャラクターがたくさん出てくるんですが、嫌な役が一人もいない。それぞれキャラクターが立っているし、見せ場もあって、きっと観に来てくださる方によって感情移入するキャラも違うだろうし、いろんな楽しみ方があるなって思いました」
◆「可愛らしい女性の役なので、私生活から女子力アップを意識していこうかと」
――それぞれ演じるキャラクターに、どんな風な人物像だと捉えていますか?
【小川麻琴】「メモリは悪魔なんですけど、三姉妹の中でも人間に近いというか、人間の晴海と恋に落ちて、人間に近づこうと努力している女の子です。ドタバタコメディではあるんですが、その中でも物語の芯となるのはメモリと晴海の恋愛なので、そこをしっかりと演じていきたいなと思っています。周りが本当に個性豊かなキャラクターばかりなんですが、その中で普通の女の子を演じられたらなと」
【佐藤永典】「僕が演じる晴海は人間なんですが、すごく真面目で純粋で、ちょっと天然な男の子です。メモリが悪魔だとは知らずに恋をして、イマドキ珍しい感じのピュアすぎる子なのかなと思っています」
【長谷川哲朗】「メモリも晴海もどっちもすごく純粋ですね」
―― 一方、長谷川さんは前回同様、メモリたちの家に棲みついている悪霊を演じますね。
【長谷川哲朗】「メモリ一家の押し入れに棲みついていて、イタズラが好きで、目玉が好きな悪霊です。基本的に人の不幸が好きなんですけど、泥棒に対して、『目玉をくれたら3つ願いを叶えてやる』って言いつつも、実際に願い事をお願いされると『無理』って断ったり、気分屋なところがある役どころです」
――それぞれ役とご自身と比べて、共感できるところや、真逆だなと思うところは?
【小川麻琴】「台本を読んだときに、メモリはすごく真っ直ぐで可愛らしい女の子だなという印象を受けたんです。でも、私はこれまでそういう“ザ・ヒロイン”というようなタイプのキャラクターって演じたことがなくて。どちらかというと、元気で活発だったり、男の子っぽい役だったりが多かったので、似ている部分が少なくて、私で大丈夫かな?と不安になりました」
――今回の物語は、メモリの幸せのために、家族総出で頑張ってなんとかしようとする話ですからね。
【小川麻琴】「そうなんです! 守ってあげたくなる可愛らしさを頑張って出していかないといけないなと思っていて。普段は基本的にパンツスタイルが多いんですが、本番が始まるまでの1ヵ月は、スカートを履いたり、私生活から女子力アップを意識していこうと思っています」
【長谷川哲朗】「今日初めてお会いした印象だと、メモリにピッタリだなって思っていたんですが、お話ししてみると、三姉妹のキャラクターならどれでもいけそうな感じがしてきました」
【小川麻琴】「普段の私の言葉遣いとか性格からすると、きっと長女のカイリのほうが似ているだろうなと思います。なので、普段の私は封印して、女の子らしさに徹しなきゃなと。さっきも、ビジュアル撮影のときに、見つめ合うとか、そういう仕草がすごく恥ずかしくて。『大好き』とかそういうセリフも普段言い慣れてないので、かゆくなっちゃう(笑)。本番ではそれを自然に可愛く発音できるように、頑張ります!」
【佐藤永典】「晴海はメモリに対してすごく真っ直ぐというか、『あまり笑わないメモリがふと笑ったときの顔がほんと好きなんだ』とか、そういうことを嘘なく言っていて。『ちゃんと話は聞くよ』とか『伝えたいんだ』とか、ストレートに自分の想いを相手に伝えられるって、僕にはできないなって思いました」
【長谷川哲朗】「さとちゃんのことをすべて知っているわけではないけど、確かにできなさそう」
【小川麻琴】「草食系ってことですか?」
【佐藤永典】「好きになったらけっこう行くタイプなんですけど、一緒にいるときに言葉にして相手に伝えるって、なかなかできないなと。晴海の真っ直ぐさは僕にはない部分だなって思います」
――今回のように、劇団の公演に客演として入るときと、普段の舞台のときって、何か違いってあったりしますか?
【小川麻琴】「劇団さんの舞台はそれぞれのカラーがあるので、そのカラーにどう自分が上手く染まれるかという面白さと難しさもありつつ、いろんなものを勉強させていただけるし、吸収させてもらえる場だなって思います」
【佐藤永典】「普段の舞台だと、稽古の最初の頃はどうしても探り合いになったりするんですけど、劇団さんの公演は、劇団員のみなさんが、今日のようなビジュアル撮影とかも含めて、最初から空気を作ってくださるので、現場の空気感みたいなものに違いがあるかもしれません」
――長谷川さんは客演の方々を受け入れる立場として、心がけていることは?
【長谷川哲朗】「メンバーそれぞれで違うと思うんですが、僕は楽しくやってもらいたいと想いがあって。過剰に何かをするということではなく、基本的には自然体でフラットな気持ちで接するようにしています。稽古場で慣れてないような人を見つけたら、話しかけにいったり、みんなで楽しくやりたいなという感じです」
【佐藤永典】「イヌッコロさんは、メンバー同士みなさん仲が良い印象があります。ほかの劇団さんとかだと、演出家さんとか先輩後輩とか上下関係がけっこうあったりするけど、そういうのがあまりないですよね?」
【長谷川哲朗】「そうだね。全員が良くも悪くも“友達”みたいな感じなので。けっこう言うことは言い合うみたいな関係性です」
◆「正解やゴールがない世界なので、やっていて楽しい」
――みなさんが思う、役者業の面白さとは?
【小川麻琴】「私は役者としてはまだまだ経験が浅いですし、勉強している最中ではありますが、その中でも楽しいなと感じているのは、演劇って、同じ作品を何公演やっても絶対に同じ公演ってないんですよね。時にはアクシデントがあったりもするし、それも含めて、毎回緊張するし、毎回楽しいと思える。本番迎えるまではすごく緊張するし怖さもあるんですが、でもやり終えると、今回挑戦して良かったなって毎回思う。約1ヵ月間、みんなで切磋琢磨しながら作品を作り上げるということも好きなんだと思います」
【長谷川哲朗】「確かに、本番中は怖さと楽しさが毎日続きますね。でも、やっぱりお客さんが笑ってくれたりするのをダイレクトに感じられると嬉しいです」
【佐藤永典】「正解やゴールがない世界なので、毎回凹んだりもしますけど、それも楽しいのかなって思っています。今日も事前にいろいろと考えてきたことを本読みでやろうと思っていたけど、第一声から失敗してしまって(笑)。凹んだり、失敗したり、大変なことも多いけど、お客さんに観てもらったときの嬉しさや、みんなと作ることの楽しさもあるし、ずっと続けてこられているというのは、それだけ魅力があるお仕事なんだろうなって思います」
――芸能界デビューを夢見る読者に向けて、みなさんが夢を叶えるために大切だと思うこと、心がけていることを教えていただけますか?
【小川麻琴】「諦めたら終わりだと思います。自分がやりたいと思うことがあったり、こうなりたいという自分がいるのであれば、無理かもしれないと思うよりも、まずやってみるほうがいいんじゃないかなと。思っているだけでは何も進まないですし、一歩進んで行動することが大事だと思います」
【佐藤永典】「その通りだと思います。一歩踏み出すと、思った以上に新しい世界が広がるというか、いろんなものが見えてくる。どう行動したらわからないという方は、この舞台を観に来るという一歩を踏み出してもらえたら。この世界は大変なことも多いですが、その分、いろんな楽しみもある世界です。勇気を振り絞って、一歩踏み出してみてください」
【長谷川哲朗】「僕はまだまだ、夢を叶えた立場の人間ではないですが、とにかく自分を信じてやるしかないのかなと思っています。今、僕がこうしてお芝居をできているのは、決して一人の力ではないし、周りの人たちのおかげなので、普段の生活の中で自分の周りにいる人たちのことを大切にするというのも大事だと思います。僕も頑張ります!」
――では最後に、本作のアピールをお願いします。
【長谷川哲朗】「この作品は僕が大好きな作品でもありますし、作品としてとても良い作品だと信じています。客演のみなさんも含め、見どころが盛りだくさんの舞台なので、ぜひ劇場でお待ちしております」
【佐藤永典】「舞台初心者の方でも、一歩踏み出して観に来てくだされば、絶対に楽しんでいただける作品になっていると思います。とても近い距離でお芝居を感じることができると思うし、役者志望の方々にも、きっといろんなことを感じてもらえると思います!」
【小川麻琴】「何も考えずに観て、笑って泣ける作品です。今回はキャストが一部AとBのチームに別れているので、同じ作品だとしてもそれぞれ違ったカラーになるだろうし、両方のチームを楽しんでもらえたら嬉しいです」
演劇集団イヌッコロ第13回本公演『いえないアメイジングファミリー』は、1月30日(水)〜2月10日(日)中野・テアトルBONBONにて上演される。
【プロフィール】
小川麻琴(おがわ・まこと)●1987年10月29日生まれ、新潟県出身。2001年より『モーニング娘。』のメンバーとして活躍。2006年に同グループを卒業して以降、女優として舞台やミュージカル作品で活躍中。
佐藤永典(さとう・ひさのり)●1990年2月14日生まれ、埼玉県出身。2008年にミュージカル『テニスの王子様』で俳優デビュー。その後、舞台や映像作品など幅広く活動。2月14日の誕生日当日に、デビュー10周年&生誕記念イベントを開催するほか、10周年記念カレンダー『佐藤永典カレンダー 2019.4-2020.3』を発売。
長谷川哲朗(はせがわ・てつろう)●1980年3月9日生まれ、東京都出身。2010年より羽仁修、森訓久らとともに「演劇集団イヌッコロ」としての活動をスタート。第1回公演から出演しており、イヌッコロ作品では唯一無二のキャラクターを演じている。