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2018/11/01 17:01
特別監修を務める青学・原晋監督がキャストを激励&サプライズ出演を予告 舞台『光より前に〜夜明けの走者たち〜』の公開稽古
二人のマラソンランナー円谷幸吉と君原健二の物語を描く、舞台『光より前に〜夜明けの走者たち〜』の公開稽古が31日、都内で行われ、本作の特別監修を務める青山学院大学・原晋監督が参加。その後、宮崎秋人、木村了らキャスト陣とともに囲み取材に応じ、「本当に感動しました!本番も期待しておりますので、ぜひ頑張ってください」と激励の言葉を送った。
本作は、1964年、東京オリンピックで銅メダルを獲得した新人マラソンランナー・円谷幸吉と、その四年後にメキシコオリンピックで銀メダルを獲得した君原健二という、ライバルでもあり友人でもあった二人のマラソンランナーを描く物語。
東京オリンピックで栄光を掴み、四年後のメキシコオリンピックで金メダルを宣言するも、育成方針の変更、指導者による婚約破談、持病の悪化など、挫折と失望の果てに、自死という道を選択した円谷。一方、東京オリンピックでメダル候補として期待されたものの八位に終わり、絶望の底に落ち引退を決意。しかし、結婚を機に自分を取り戻し、国際大会で活躍するようになり、メキシコオリンピックでは、銀メダルに輝いた君原。対照的な二人のランナーの葛藤や友情、コーチとの絆などをリアルに描き出す。
この日の囲み取材には、宮崎と木村のほか、中村まこと、高橋光臣、和田正人、作・演出の谷賢一、特別監修・原晋監督が出席。台本を手に持ち、真剣な眼差しで舞台稽古を見学していた原は「本当に感動しました!」と声を張り上げ、「お話しをいただいた際は、"陸上を舞台で表現できるのか?”“どうせ嘘くさくなってしまうのでは?”という気持ちでしたが、アスリート達の心構え、陸上や長距離に向き合う姿勢というものが、リアルで『そこそこ!それが言いたいのよ』っていうのを役者さんたちがより分かりやすく伝えてくれている」と絶賛。
続けて「嘘偽りのないアスリートの出来事を舞台演出してくれているので、本物のアスリートや指導者にもぜひ、観ていただきたい」と語り、さらに「物事を作り上げるときの覚悟だったり、挫折を味わいながらもまた未知なる世界にチャレンジをしていくという精神を学べると思うので、一般のサラリーマンの方にもぜひ観てもらいたい」と太鼓判を押す。
過去に箱根駅伝への出場経験がある和田から、「このチームに作戦名をつけるなら?」とリクエストされると、原は「これはもうシンプルに『光より前に大作戦』でいいんじゃないでしょうか。光より前に行くことで、(青山学院大学も)箱根駅伝5連覇を目指したい。この精神をもとにやっていきたいですね」と、本作のタイトル名をそのまま作戦名に採用。
タイトル名については、特別監修を務める原に取材した後、それまで考えていた仮タイトルをすべて白紙に戻し、改めて熟考した結果『光より前に〜夜明けの走者たち〜』というタイトルになったそう。タイトルに込め意味について、谷は「一つは"もっと速くなりたい、もっと先を目指したい"というアスリートたちの心意気。もう一つは、青学の合宿を取材させていただいたときに感心したことでもあって。円谷さんと君原さんの練習記録を読んでいてもそうだったのですが、まだ誰も目が覚めていない、朝日すら差し込んでいない時間から彼らは黙々と体を作って走っているんだということに感動して、それをタイトルに込めました」と説明。原監督も「まさにそうなんです! ライバルよりも先に、光よりも先に走って大快走で(箱根駅伝で)5連覇を目指すため、我々もこの時期は朝日が昇る前に起きて走ってますから」と力説していた。
円谷幸吉役を演じる宮崎と君原健二役を演じる木村は、それぞれ実在の人物を演じるにあたって心がけていることを吐露。宮崎は「本や当時の映像を見たりしていると、円谷さんはとにかく笑顔が印象的な方だなと思ったので、そういうところを大事にしたいなと思った」と述べ、「円谷さんが辿った最後の結末というのは明るいことでは決してないですが、円谷さんは東京五輪の後のメキシコ五輪っていうのを自分の光にして、明るく突き進もうとした人なんだなという印象を受けたので、明るく真っ直ぐに演じられたら」と胸中を明かす。
また、円谷の生まれ故郷である福島県須賀川町(現・須賀川市)を訪れ、円谷幸吉の実兄と対面したという宮崎。「お父さんがお風呂に入っている間に目を盗んで走りに行って、お風呂から上がる前に戻ってきて、何食わぬ顔して家にいたっていう話を聞いたりして。お父様の言い付けを守りつつも、好きなことにまっすぐ突き進む人だったんだなということとか、ご家族から実際の円谷さんの話を聞いて、資料とかの知識ではなく、それを肌で感じることができた。須賀川に行けたというのは、演じる上では大きな経験でした」と振り返った。
一方、君原役を演じる木村は「まだご存命で、今もアマチュアランナーとして走っていらっしゃる君原さんを演じるのですが、一番根底にあるのは、嘘をついちゃいけないなということです」と語り、「ちょっとでも自分に甘えると嘘になってしまうセリフがいっぱいあって。その人の言葉なので、それを今大事に自分の中に落としている最中なのですが、それかけっこう大変で・・・。でも、しっかりとお客様に届けられるよう、毎日稽古に臨んでいます」とコメント。
円谷と君原という二人のランナーの物語を軸に、円谷と畠野コーチ、君原と高橋コーチという、選手とコーチの関係性も丁寧に描き出している本作。畠野役を演じる和田は、「大前提として、自衛隊体育学校というお堅い機関に所属しているため、上官と下士官という絶対的な上下関係がある。でも、その中でも(円谷と畠野の)二人は、親友同士というか、すごく仲が良くて、ある種、愛し合っていて。なので、そこを大事にそういう雰囲気をできる限り、端々で見せていきたいなと思いながらやっています」と打ち明ける。
対する宮崎も「芯の部分を上官・下士官という関係性にしたくないなと思っていて。稽古始めは、そこを上下関係を大事にしていたけど、そうなるとどうしても教官(畠野)の言葉が強すぎてしまって、下士官としてはどうにもこうにも動けなくなってしまったので、こうは言ってるけど、腹の中では可愛いなって思いながら演じています」と明かし、「和田さんは同じ事務所の直属の先輩でもあって。尊敬はありつつも、ちょっと可愛いなって思っている部分があるので、そこの感覚は似ている」と告白。
和田が思わず「可愛い?」と疑問を投げかけると、宮崎は「可愛い先輩です」と笑顔を見せ、「昨日ご飯に誘っていただいて。お仕事のこともすごく熱く語ってくださって、僕も熱くぶつかっていったんですけど、尊敬と同時にキュートさもどんどん増していった」と説明。後輩からの「可愛い」発言に、和田は「止せよ〜!」と照れ笑いを見せつつ、「もっともっとパートナーシップというか、愛を深めたいと思って、僕なりにアプローチしたんです。あとは、愛し合った二人がなぜ引き離されていくのかという、この悲劇を上手く見せられたらいいなと思います」と思いの丈を語った。
相思相愛っぷりを見せた宮崎と和田に対し、木村は「素晴らしい!本当にいいコーチだなってすごく感じる」と称賛。続けて木村は、高橋コーチ役を演じる高橋から「二人で飲みに行こうという猛アタックの連絡がくる」と明かしていたものの、「今日このあと飲みに行こうと言われていたんですが、別の予定があったので『調整します』と連絡をして。(高橋から)『無理のない程度にね』と言われたけど、昨日調整ができたので『明日、飲みに行きましょう』って連絡をしたら、今日の朝『ごめん、衣装合わせが入ってるから』て言われた」と不満を漏らす。
すると、すかさず高橋は「申し訳ありませんでした!!」と土下座で謝罪。しかし、木村は「(宮崎と和田のような)関係性作りは僕たちにはできないなって思いました。お芝居の部分でもいろいろと仕掛けてくる暴走機関車なので・・・・・・」とさらなる追い討ち。
高橋は「マラソンって、一人で走っている孤独なスポーツだなって感じたので、いかに(木村が演じる君原を)孤独にさせないかというのを、一つテーマとしてやっていて」と必死に弁解するも、和田から「でも、孤独にさせてんじゃん!」と鋭いツッコミが入り笑いが起こる。高橋は「もう、コメント言えないじゃないかよ!」と苦笑いを見せつつ、「スポーツって、レベルが高くなればなるほど、すごく厳しいだけの世界っていうイメージがあるんじゃないかなと。でも、そうじゃなくて、裏では笑ったり、躓いたり、上手くいかなかったり、もっといろんな場面があって、それを全部ひっくるめてスタートラインに立っているという感覚があるので、それを表現したいなと思いながらやってはいるんですけど・・・・・・」としどろもどろになりながら語り、改めて木村に向かって「スケジュールは二度と間違えないようにします!!」と宣言していた。
また、木村は原監督に対して「今日初めてお会いしたんですが、このコーチだったら付いていきたいって思いました。なんなら、高橋コーチ役を原さんやって頂きたい(笑)」と願望を明かすと、高橋は「僕は原さんをベースにやってるから」と訴える。「原監督をテレビで見たときに、チームの選手たちとの距離が近い方だなという印象があって。役作りの中で、原さんの明るい部分や本気で選手に向き合う部分とかは、イメージできた」と高橋が役づくりについて語ると、原監督は「おちゃらけながらも厳しく言うという部分とか、ちょっとに似ているなとは思った(笑)」と述べ、「もしかしたら、どこかで特別出演するかもしれないですよ!」と舞台へのサプライズ出演を予告。
そして、改めて原は「私自身『光より前に』という言葉が大好きになりました」と話し、「人よりも1分でも早く起きて準備をして朝練に備える。そういったことを日々積み重ねることによって、ライバルよりも速くゴールできるんだなと改めて感じましたし、指導者として、より選手に寄り添って、双方覚悟を持って同じ目標に向き合っていく必要性も改めて感じましたので、逆にお礼を言いたい。11月14日からの本番、期待しておりますので、ぜひ頑張ってください」と激励した。
原監督からの後押しに対して和田は、全日本大学駅伝を間近に控えている原監督に向けて、「いい言葉が浮かんだので、青山学院大学・原監督にこの言葉をプレゼントします!」と宣言し、「(新幹線の)"ひかり"より前に行けるのは、"のぞみ"だけなんです。望みをかけて、頑張ってください!!」と力強いエールを送った。
舞台『光より前に〜夜明けの走者たち〜』は、11月14日(水)〜25日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて(11月14日はプレビュー公演)、11月29日(木)〜12月2日(日)まで大阪・ABCホールにて上演される。