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2018/05/12 23:19
元アンジュルム・田村芽実、ボーカリストとしての成長を見せた初ワンマン 今夏ソロメジャーデビューも決定
元アンジュルムの田村芽実が12日、自身初のワンマンライブを渋谷duo music exchangeで開催した。ステージでは、本人にも知らされていないサプライズとして「2018年8月ビクターエンタテインメントからソロデビュー決定」が発表された。
田村は2011年10月にハロー!プロジェクトのスマイレージ(14年アンジュルムに改名)としてデビュー。約5年間アイドル活動を行ってきたが、2016年5月30日の日本武道館コンサートをもって、かねてからの夢である女優を目指すためにグループを卒業した。昨年5月には舞台『minako-太陽になった歌姫-』で本田美奈子役を演じ、11月には阿久悠トリビュートアルバムにも参加するなど、高い歌唱力と豊かな表現力を武器に、実力でソロ活動の道を切り拓いている。
この日はバンド編成で、様々なジャンルの名曲をカバーする歌オンリーの初ワンマンライブ。まずは「I've Never Been to Me(愛はかげろうのように)」(Charlene)をしっとりと歌い上げると、一転して「SWEET SOUL REVUE」(PIZZICATO FIVE)でキュートでコケティッシュな、キラキラしたボーカルを聴かせる。成長を続ける表現力、ゆるふわに巻いたロングヘア、すらりと伸びた脚、肩を大きく出した衣装も相まって、大人びた雰囲気を漂わせる。
しかし、最初のMCでしゃべるはじめると、ちょっと舌足らずで子供っぽい口調の、いつもの田村芽実が現れ、そのギャップがたまらなく愛らしい。満員の客席を見渡し笑顔を見せると「今日、自分が一番遠くから来たと思う人!」と質問。北海道からと熊本からのファンがいたが、じゃんけんさせて北海道のファンを「最も遠くから来たお客さん」と認定すると、唐突に「好きなお花はなんですか?」とインタビュー。何度も言い直させた上で、結局は「薔薇」と言わせたかったらしく、「君は薔薇より美しい」(布施明)の曲振りへ。そんなマイペースなMCに客席からも思わず笑いがこぼれる。
ジャジーなアレンジの「君は薔薇より美しい」を声量たっぷりに聴かせたかと思えば、続くブルージーな「タイガー&ドラゴン」(クレイジーケンバンド)で見せる鋭い視線は、ゾクゾクするような色気を湛える。そこから「ベルベット・イースター」「青春のリグレット」「潮風にちぎれて」と松任谷由実楽曲を3曲連続で披露。アンニュイな表情、凛とした表情、切ない表情と、楽曲ごとに異なる豊かな表現力でパフォーマンスした。
ウッドベースとアコースティックギターの編成による「4月の雨」(DREAMS COME TRUE)、「ミルク32」(中島みゆき)ではちょっと背伸びした表現にもチャレンジ。ミュージカルで培った演技と歌唱の融合が、物語性の強い楽曲で存分に活かされていた。
後半戦に入る前のMCのタイミングで、スクリーンには「2018年8月ビクターエンタテインメントからソロデビュー決定」の文字が現れた。それを見た田村は飛び跳ねて狂喜! 「テキトーな映像流すからって言われてて…!」と本人にも知らせていなかったサプライズ発表にファンも驚き、そして祝福。「ミュージカル女優を目指してソロになったので、歌手でデビューできると思っていなかったので、とってもとっても嬉しいです。次に歌う歌忘れちゃった(笑)」と満面の笑みを見せる田村。「今日はカバーライブですが、ちょっとずつ自分の曲を歌っていけるということですよね? 最近歌詞を書いたり、ギターを弾いたりしているので、そういうものも皆さんにお届けできたら」と語り、期待を膨らませた。
後半戦は、キュートな「ゴロちゃん」(ひらけ!ポンキッキ)、しっとりとした「SWEET MEMORIES」(松田聖子)、「真夏の果実」(サザンオールスターズ)に続いて、阿久悠トリビュートでもカバーしている「ロマンス」(岩崎宏美)を歌唱。「人生は夢だらけ」(椎名林檎)ではピアノとの競演で圧巻の歌声を聴かせた後は、「ミュージカル女優なので、ミュージカルナンバーを一つ入れたいと思って」と映画『グレイテスト・ショーマン』の「Never Enough」をパフォーマンス。遠くを見つめる力強い眼差しでパワフルに歌い上げた。本編最後は、優しい癒しの笑顔で「希望という名の光」(山下達郎)で締めた。
アンコールに応えて登場した田村は、まとめ髪にTシャツ、デニムのショートパンツというラフないでたちに着替え、自身の気持ちを投影したような「歌うたいのバラッド」(斉藤和義)、明るく盛り上げる「KISS」(プリンセスプリンセス)を続けて歌う。田村芽実初のワンマンライブは、最後までケレン味の一切ない歌だけのライブ。「私の歌だけを届けることにこだわった」というが、アイドル時代からのファンを「飽きさせてしまったら…」という不安もあったようだ。しかしファンの拍手が、それが杞憂だったことを証明する。田村は「皆さんには感謝しかないです。こっちが元気をもらいます」とほっとしたような表情を見せた。
最後には「幼稚園の時に習った童謡。久しぶりにカラオケで歌ったら、歌詞がすごく刺さったんです。日本中の子供たちがいつまでもこの歌を歌っていくようだといい」と「にじ」(カラフルパレット)を歌い、ピースフルな雰囲気のまま、ライブは幕を閉じた。ミュージカルナンバーから王道ポップス、ジャズからブルースまで、どんな歌でも表情豊かに歌いこなす田村に驚かされた初ワンマン。ミュージカル女優としてだけではなく、若き実力派ボーカリストとしての活躍も期待させてくれた。