才能ある声優の卵を発掘・育成する『第十二回声優アワード 新人発掘オーディション』が、今年も文化放送メディアプラスホールにて3月3日に開催された。1000通を超える応募者のなかから最終選考に出場した39名のうち、21名の声優の卵たちに声優事務所のスカウトの札が上がった。今回11社の札が上がった東京都出身の20歳・田頭美緒(たがしら・みお)さんは、「声優の存在を意識させない声優になりたい」と意気込みを語った。

　『声優アワード 新人発掘オーディション』は、年度毎に印象に残る活躍をした声優を称える『声優アワード』の誕生とともに産声をあげ、今年12回目の開催。当日は事前に行われた声優事務所による一次選考を通過した39名が集結。同日に授賞式が行われ、名だたる声優が登壇する『第十二回声優アワード』と同じステージを使い、自己PR・テキストリーディング・2人1組での掛け合い台詞・質疑応答の最終審査が行われた。

　オーディション直後の取材に「最終まで来るというチャンスをくださったことに、皆さまに感謝で、楽しかったと思います」と興奮気味に語った田頭さん。オーディション前日には「マンション住まいなんですけど、隣からクレームがくるんじゃないかっていうくらい発声をして（笑）。生姜とはちみつのお湯でケアして、寝るときも濡れマスクをして、“やってやるぞ！”っていう気持ちでばっちりケアして」と万全の態勢を整えた。

　自己PRでは自分のキャッチフレーズをやり切り「自分らしさを出せたかなって。緊張するかと思ったんですけど、楽しくできたことに関しては100点だったと思います」。掛け合い審査のほうが緊張したというが「相手役の方と設定を作ることも楽しかったですし。気持ち晴れやかにできました」と最後までステージを楽しんだことが勝因だったようだ。

　声優を目指したきっかけは『名探偵コナン』。「小学校1年ぐらいから『名探偵コナン』が好きで。最初はコナンくんは生きてると思っていたぐらいで、お母さんから“サトシもコナンくんも女の人がやってるんだよ”って言われたときに“そんなのウソだー”っていうぐらい衝撃を受けました。しかもコナン役の高山みなみさんは『魔女の宅急便』でキキを演じていて、そこから高山みなみさんに憧れて、感動をもらって。私も感動を与える側になりたいって思いました」。

　声優に憧れたものの、一歩を踏み出すには躊躇があった。「声優志望についてのYahoo！知恵袋を見たら、“お前には無理だ”“才能のあるヤツだけだ”みたいなことが書いてあって、踏み出す勇気がなかったんです。でも私のバイト先に声優さんがいて、すごく刺激をもらったことで、私もやろうと思えました」。大学3年生となり就活も始まったが「このオーディションの結果にも左右されると思って、いろんな覚悟を持ってここに来ました」とその想いを明かした。

　声優としての目標は「声優という、命を吹き込むお芝居の仕事に重点を置いて、いい意味で、声優の影が見えないぐらい、中の人の存在を意識させない声優になりたい」語った。