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2017/08/05 17:05
山田裕貴、主演作『闇金ドッグス』シリーズへの想いを吐露「定期的にくる期末テストみたいな感覚」
闇金融の世界を舞台に、金と暴力と欲望にまみれた人間たちを描く『闇金ドックス』シリーズ。その最新作『闇金ドッグス6』が8月5日(土)、『闇金ドッグス7』が9月2日(土)からシネマート新宿・心斎橋にて連続公開される。パート1・2・4に続き、パート6で主演を務める山田裕貴に、『ガチバン』シリーズから演じ続けている“安藤忠臣”という役への想い、最新作のみどころについて聞いた。
若くしてヤクザの親分になったものの、稼業を引退して、闇金の世界へ足を踏み入れた「ラストファイナンス」の社長・安藤忠臣が、元ホストの相棒・須藤司とともに、欲望と暴力の渦巻く世界でのし上がろうと苦闘するさまを描く『闇金ドッグス』。最新作のパート6・7では忠臣、司のそれぞれの恋愛エピソードが描かれ、これまでにない展開を見せている。
【映画『闇金ドッグス6・7』山田裕貴インタビュー】
◆「『闇金ドッグス』は定期的にくる期末テストみたいな感覚」
――『闇金ドッグス』シリーズも今回でパート6・7ですね。
「パート6・7をやらせていただけることに関して、嬉しいという気持ちはもちろんありますが、パート4・5をやるって決まったあたりから、自分の中で『次ができて嬉しいです』とか、『また続編をやれるなんてビックリです』というような感想は終わりました。ずっと続けていきたいし、“やらなきゃ!”という方向に変わってきていて、パート5の撮影が終わった後くらいに、プロデューサーさんから『次は恋愛ものでいきたい』という話を聞いていたんです。そのときに、“あ、次もあるんだ”っていう安心感があったのと同時に、“え!? このシリーズで恋愛ものって、どうなるんだろう?”って思いました。今回は、シリーズ初のラブストーリーを描くということで、テーマだけでもチャレンジだと感じています」
――『ガチバン』シリーズを含め、『闇金ドッグス』シリーズでもこれまでずっと安藤忠臣として生き続けてきた、今だからこそ挑戦できるテーマでもあるのかな?と思いました。
「そうですね。本当に今おっしゃた通りです。“シリーズものだから、お客さんを裏切っていかないといけない”というプロデューサーさんの考えもすごくわかりましたし、シリーズ作品だからこそ、こういう変化があっても面白いんだなっていうことに改めて気づきました」
――パート4では、忠臣の兄貴分・豊田(升毅)が登場して、忠臣の過去が明らかになり、笑顔を見せたりする変化もありましたしね。
「本当に忠臣がこの世に生きているとしたら、好きな人がいてもおかしくないわけですし、冷酷な忠臣のままだったら、いつもの感じになってしまう。でも、未奈美(西原亜希)という元カノが現れることによって、ちょっと柔和な顔を見せるっていう変化がいいのかなと思っています」
――演じる上で、そこは意識しましたか?
「意識してやったわけじゃなく、僕自身はあえて意識しないように心がけて現場に入りました。でも、意識しないようにしていても、気づいたら忠臣の優しい顔が出ていたり、柔和な感じが要所要所で見れたりしていたんです。忠臣の人間性とか、これまでも大事に演じてきたんですが、忠臣の過去を描くことによって、より深みが増したなって思いました。”あ、こういうことがあったから、忠臣は過去を捨てて生きているんだな”っていうのもなんとなくわかるんじゃないかなと」
――忠臣として、初の恋愛ものを演じてみて、新たな発見はありましたか?
「忠臣は本当に素直じゃないんだなって思いました。未奈美を演じた西原さんとは、演技をする上で、間とかテンポとかすごくやりやすくて、相性抜群だったんです。すごく気持ちがいい間でセリフが返ってくるので、僕もその空間を意識しながら、自然と言葉を発することができました。でも、忠臣としてそこに居るのがすごく居づらかったんです。現場でどんだけやっていても、未奈美としゃべっているときに、“なんでお前がいるんだよ!?”みたいな気持ちになってきて、落ち着かなくてすぐタバコに手が伸びてしまうんです。未奈美といるとき、タバコ吸う回数が異常に多いなっていうのは、新たな発見でした。自分に置き換えて考えてみても10年ぶりに元カノと再会ってなったとき、きっと何しゃべっていいかわからないでしょうし、きっと話も合わないだろうなとか、自分の中にもそういう感覚があったので、その感じが自然と出て良かったなと思いました」
――元恋人同士だけど苗字で呼び合うとか、南京錠のエピソードは、学生時代ならではの淡い恋愛ですよね。
「家でこの映像を一人で観ながら、『淡っ!!』ってずっと言っていました(笑)。僕も南京錠は学生時代に名古屋のテレビ塔でやったことがあったので、当時のことを思い出したりもしました。僕自身もそういう経験をちゃんとしてきたから、今回のような芝居ができたんだろうなと思います」
――これまでにない展開になっているパート6・7ですが、印象に残っているシーンやセリフは?
「忠臣が未奈未に『なんでそんな奴と結婚したんだよ』って言ったあと、『どうだっていいんだけどな』って言って、未奈未が『…どうだっていいんだ?』って聞き返し、忠臣が容赦なく『ああ』って言い放つんです。そこからヒートアップして、昔した約束のこととかの話しになって、怒った未奈美が出て行くというシーンがあるんです。それで、未奈美が出て行っちゃった後に、忠臣が『…あの馬鹿』ってつぶやくんですけど、その『…あの馬鹿』が絶妙ですごく好きです!! 現場で撮影したテイクを観て、“あ、勝ったな”って。“『…あの馬鹿』っていう絶妙な感じが出せる男になったか。いろいろと経験したんだな、俺も…”って思って。初めて、自分の映像を観て“カッコイイ、俺!”って思いました(笑)」
――未奈美に対して、冷たい態度ばかりとる忠臣の想いが伝わるシーンです。女子的にもあのセリフはキュンとくると思いますよ。
「未奈美がいるときに、面と向かって『馬鹿』って言うのではなくて、去ったあとに『…あの馬鹿』って言う感じがすごく好きなんです。未奈美に対して、本当に馬鹿だなって思いながらも、あの頃の懐かしい思い出があるから、強く言えない感じと、今だから距離が遠い感じとっていうのが、すべて集約されている感じがしています。俳優人生の中で、『馬鹿』って言ったセリフの中で一番良かったと思います!」
――そのシーンへの思い入れは充分伝わってきました(笑)。そこはぜひ注目してほしいポイントですね。『闇金ドッグス』シリーズは、毎回タイトなスケジュールでの撮影ということで、瞬発力が求められる現場でもあると思うのですが。
「案外、ファーストインプレッションのままやったほうが良かったりすることってけっこうあるなとも思っています。回を重ねすぎると考えすぎてしまって、“ここでああしたほうがいいのかな?”って、いろいろと余計なことを考えちゃうんですよね。でも、最初に自分が思ったまま感じたままやれるので、それはそれでいいんじゃないかなと感じています。いつも忠臣になったら、すぐ役に入れるんですが、今回、クランクインの前日まで、別作品で正反対の役を演じていたので、自分の中で“大丈夫かな?”ってちょっと思っていたんです。でも、顔が少し柔らかかったことに関しては、“それは未奈美がいるからだ”って思えてもいいしなとしています。逆境もプラスに変えるじゃないけど、自分の状況と撮影の状況で自分の中で折り合いをつけるとかも、いろいろとやらせてもらってきた中で、自分の中でできるようになってきたので、そこも今回上手いこと活かされて良かったなって思います」
――シリーズが続いていく中で、忠臣も成長していっていますが、“俳優・山田裕貴”としても成長を遂げていっていますよね。
「それが一番のプレッシャーになっています。忠臣を良くしたいということはもちろん、『闇金ドッグス』をもっと大きくしたいという想いももちろんあるので。『闇金ドッグス』をもっと多くの人に知ってもらうためには、僕を知ってもらわないといけない。どれだけ『闇金ドッグス』に還元できるかというのは、毎回自分課題です。なので、『闇金ドッグス』は定期的に来る期末テストみたいな感覚があります」
――いろんな現場で経験した後に、それを定期的に試されると。
「『ガチバン』シリーズから知っているスタッフさんたちですし、“お前、どれだけやってきたんだ!?”とか、“お前天狗になってないか?”とか、自分にとっては“初志貫徹”の場所という感じです」
――忠臣のスタート地点『ガチバン ULTRA MAX』が2014年4月公開作品ということで、この3年間で本当に様々な経験されたのでは?
「えっ!? 『ガチバン ULTRA MAX』って、2014年でしたっけ? まだ3年しか経ってないんですね(笑)。そう考えると、この3年間はすごく大きかったですし、本当にいろいろと変わりましたね。僕にとっては7年くらい経ったくらいの感覚です」
――今作では、忠臣と司の恋愛のほか、相棒である司(青木玄徳)との決別という大きな展開もありますが、今後、どんな展開を期待しますか?
「司がいなくなるという展開は、そろそろ来るかなとは思っていました。忠臣以上の超キレ者の闇金融屋が現れて、忠臣がはめられるっていうのも面白そうだなとは思います。たとえば、そこに(パート1に登場した)高岡奏輔さん演じる小中とかが復活して忠臣が助けてもらうとか、超おんぼろ闇金融屋のおじいちゃんが出てきて忠臣の味方するとかですかね? 忠臣が逮捕されたり、超キレ者の相手に負かされたりするのも観てみたいなって思います」
――では、最後に改めて本作の見どころを。
「テレビや映画で山田裕貴のことを観たことあるという人たちにも、ぜひ僕が主演をやっている『闇金ドッグス』というシリーズ作品があることを知ってもらいたいですし、観てもらえたらと思います。『ガチバン』シリーズから含めると、安藤忠臣として生きるのは、パート7で9作目になります。作品とともに僕の成長も一緒に感じてもらえると思うので、ぜひ過去作品も遡って観てもらえたら嬉しいです。まだまだ俳優としても大きくならないといけないと思っていますし、『闇金ドッグス』をもっと大きな作品にしたい。作品を大きくしてくれるのはお客様でもあるので、ぜひ劇場でご覧いただけたらと思います」
『闇金ドッグス6』が8月5日(土)、『闇金ドッグス7』が9月2日(土)より、シネマート新宿・心斎橋にて公開。
【プロフィール】
山田裕貴(やまだ・ゆうき)●1990年9月18日生まれ、愛知県出身。ワタナベエンターテインメント所属。『僕たちがやりました』(関西テレビ・フジテレビ)に出演中。今後、8月スタートのドラマ『伊藤くんAtoE』(MBS・TBS)、映画『HiGH&LOW THE MOVIE 2・3』(2:8月19日公開、3:11月11日公開)、映画『二度めの夏、二度と会えない君』(9月1日公開)、映画『トモダチゲーム劇場版 FINAL』(9月2日公開)、映画『亜人』(9月30日公開)、映画『あゝ、荒野 前篇・後篇』(前篇:10月7日公開、後篇:10月21日公開)、映画『デメキン』(今冬公開)などが控える。