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2017/05/28 20:11
大平峻也「役者は胸を張れる厨二病」人気ボカロ曲を舞台化、超クセ者たちが巻き起こす厨二病コメディ
注目のクリエーター“れるりり”人気ボカロ曲を題材とした舞台『厨病激発ボーイ』が6月8日より東京・CBGKシブゲキ!!にて上演される。この度オーディション&エンタメサイト『デビュー』が、都内で行われている同舞台の稽古場に潜入し、稽古の模様を取材。稽古の合間には、野田大和役の大平峻也、高嶋智樹役の金井成大、中村和博役の有澤樟太郎に加え、オーディションで九十九零役に抜擢された野尻大介が囲み取材に応じ、意気込みを語った。
本作は、ボカロ神曲「脳漿炸裂ガール」をはじめ、ニコニコ動画等、関連動画再生回数一億回を超えるクリエイター・れるりりの大人気楽曲『厨病激発ボーイ』を舞台化。厨二病をこじらせまくった男子高校生4人組――ヒーローに憧れる永遠の少年・野田、二次元しか愛せない残念イケメンの高嶋、天使か悪魔の生まれ変わり(?)の中村、黒幕気取りの九十九という、超クセ者たちが巻き起こす厨二病コメディ。脚本・演出に演劇プロデュース・ユニット「空想組曲」のほさかようを迎え、舞台版のオリジナルストーリーを加えて、青春の妄想と暴走と友情を描く。
この日の稽古で披露されたのは、冒頭の数シーン。わけあって転校してきた女子高生・聖瑞姫を演じる田上真里奈がセンターに立ち、転校初日の自己紹介の練習を一人妄想芝居で繰り広げる。転校先では“フツーの友達と穏やかに過ごすこと”が唯一の望みであった聖に、教室で最初に声をかけてきたのは厨二病をこじらせたクラスメイトたちだった。初対面であるはずの聖に対して、「ピンク」、「ミコリン」、「ダークネスレディ」とそれぞれ勝手に名前をつけて呼ぶ彼ら。一人ずつ聖に近寄り、怒涛の台詞をまくし立て、各々の妄想劇に巻き込んでいく。
野田を演じる大平は、白Tシャツにマジックで「野田」と書いた、役さながらのお手製Tシャツを着用し、戦隊レッドのように、正義感溢れる野田をまっすぐにそして元気いっぱいに演じる。高嶋演じる金井はバックハグや壁ドン、顎クイなどの胸キュン仕草を駆使しつつ、二次元キャラへの溢れんばかりの愛を表現。成績学年トップだが、痛さもトップレベルの中村を演じる有澤は、独特のポージングや動き、台詞回しで異様な存在感を放つ。
戦隊のピンクとして、ともに戦おうと誘ってくる野田に対して、聖を魔界の使者「ダークネスレディ」として接してくる中村。それぞれの妄想に聖が戸惑うなか、二人の妄想はどんどんと暴走していき、「ヘルサーバント」「ダイヤモンドバリケード」などの必殺技が次から次へと繰り出され、いつの間にか壮大な異世界バトルごっこに展開。そんな中、二人の小芝居を冷静に見ていた高嶋も、ふとしたことがきっかっけで二次元キャラ相手に恋愛妄想劇を始め、舞台上では、一方では異世界バトル、もう一方では恋愛妄想劇が繰り広げられるカオスな状態に。
聖の台詞同様“つっこみどころが多すぎる!”厨病ボーイズたちの妄想劇は、見ていて思わず笑ってしまうシーンが満載。稽古開始から2週間とは思えないほど、それぞれの役者たちが濃すぎるほどの強烈なキャラクターをしっかりと自分のものとし、全力で振り切った芝居をぶつけ合っていた姿が印象的だった。脚本・演出のほさか氏も役者たちの全力芝居に「みんな、いいね!」と称賛。冒頭の芝居だけでも“厨二病コメディ”の世界観を体感でき、本番への期待が高まる稽古場取材だった。
稽古の合間には、大平をはじめ、金井、有澤、野尻のメインキャスト4人が囲み取材に出席し、本作への思いを語った。座長を務める大平は、稽古場の雰囲気について「それぞれがぶっ飛んでいる厨二病の役なので、自分の出ていないシーンを見たりしているとすごく面白くて、楽しみながらやっています」と語ると、金井も「笑いと緊張が入り混じった稽古場です。ピリッとするときもあるけど、楽しいときは本当に楽しい。いい緊張感でできています」とコメント。
有澤は「ようやく慣れてきました」と明かしつつ、「最初に本を読んだときは、“こんな奴いるかな?”って正直思ったんです。でも、やってみると、“昔、俺もこうだったのかもしれない”という発見もあって。やっているとどんどん役がつかめてくる感じです」とコメント。オーディションを経て、本作への出演が決まった野尻は「稽古1週目は、本当に緊張しかなくて、余裕がなかった」と振り返り、「厨二病を馬鹿にする役ですが、もともとそういうキャラじゃないし、僕は昔、がっつり厨二病だったので、自分とは真逆のキャラクター。高みから見るっていうのもしたことないので、苦戦しています」と打ち明ける。
役作りに関して大平は「僕はヒーローに憧れている役なので、いろんな戦隊モノの作品を観たりして勉強しました。昔の戦隊モノとかって、意外と面白いポーズしてるなっていう発見があったり、映像を見て“コレ使えそうだな”って思いながらやっています」と明かし、二次元しか愛せない残念系イケメン・高嶋を演じる金井は「とにかく可愛いと思う二次元キャラの画像をどんどん携帯に集めました」とコメント。すると大平から「成大くん的には、大人のキレイめ系の二次元女子か、可愛らしい幼女系、どっちがタイプ?」との質問が飛び、「大人向けがいい!」と即答した金井は、「正直、そこまでオタクではないので、好きな漫画のヒロインとかになると、ちょっと大人向けのキャラクターの方が好き」と自身の二次元キャラ論を展開。
天使か悪魔の生まれ変わり(?)の中村を演じる有澤は「呪文を唱えたり、詠唱することが多いキャラクターなので、(共演者の)大内さんから詠唱の多い漫画を貸していただいて、読んで参考にしています」とコメント。大平から「稽古の休憩中に、鏡の前でポーズとってるよね」と言われると、有澤は「自分ではすごくカッコイイと思っているけど、客観的にみたらダサくて痛い…みたいなのを意識しています」と役づくりについて吐露。黒幕気取りの九十九を演じる野尻は「ラスボス、裏ボス…立ち方とか、画像検索をとにかくいっぱいしました」と、それぞれの役作りについて語った。
また、普段から役作りを意識しているそうで、金井は「電車に乗る前に無駄にターンしたりしちゃう」と告白。大平から「絶対、嘘だ!」と突っ込まれていたが、「本当にやってるの。あとsuicaをピッってやるときにスタイリッシュにやったりしている。周りの人からは“え?”って顔されるけど、一回やってみてほしい!」とアピール。すると有澤も「僕もつり革持つときにポーズ決めて乗ります」と金井に乗っかり、大平から「それは絶対、嘘!」と突っ込まれると、「嘘です(笑)。でもやってみたい」(有澤)とあっさり嘘を認め、笑いを誘っていた。
印象的な台詞も多い本作ということで、「好きな台詞」について質問が及ぶと、「『竜翔院凍牙』ってカッコ良く言うのが好き」(有澤)、「クレバーに抱いてやる」(金井)、「俺の背後に立つのは危険だからオススメしないしないぜ」(野尻)とそれぞれ回答。大平は「『放て!俺のサーチライト!』と『エターナルフォースブリザード』は、楽曲からある台詞なので、それを言うのは気持ちがいい」と笑顔を見せた。
厨二病をこじらせまくっている男子高校生を演じる4人。自身の厨二病について聞かれると、野尻は「傘を持つと血がたぎる。傘で戦ったりもしましたし、雨降ってるとき、傘持ってるのにささないで歩きたくなる衝動にかられます」とコメント。金井は「バトル系が好きなので、『HUNTER×HUNTER』の自分の念能力は何かっていうのを考えたりした」と語り、有澤は「学校の教科書に動物が出てきたら、それを魔王っぽく落書きしたり、明らかに子供向けの絵を、すごく厳つい、ラスボス風のキャラっぽく落書きすることにハマってました」と振り返った。
大平は「演出のほさかさんが顔合わせのときに『役者はみんな、厨二病だ』とおっしゃっていて。すごくしっくりきた。僕らは舞台上で本気で演じていて、それを外でやるとヤバイやつだってなるけど、この世界の中で僕たちは本気で生きているから、それこそ胸を張れる厨二病だなと思う」と力強く語る。
そして舞台の注目ポイントに関して大平は「台詞でも『何かを糧にして生きていけるんだったら、それでいいんじゃないか』というのがあるんですが、この物語のテーマでもあるなと思っていて。それぞれ厨二病をこじらせてはいるけど、それがあるから生きていけるっていう、そういうものを見ている方に感じてもらえたら」とコメント。有澤は「最初は“こんなキャラいるのか?”って思ったけど、自分が演じてみて“あ、自分にもこういう時期あったな”っていう発見があった。なので、お客さんにも“自分もこういうことカッコイイって思っていた時期あったな”と、昔を思い出してほっこりしてもらえるような、そういう作品にしたい」と意気込みを語った。
舞台『厨病激発ボーイ』は、6月8日(木)〜18日(日)までCBGKシブゲキ!!にて上演される。なお『デビュー』では、オーディションを経て、同舞台の九十九零役に抜擢された野尻大介のインタビューを近日公開予定。