チャウ・シンチー監督の最新作、映画『人魚姫』が2017年1月7日よりシネマート新宿ほかで全国順次ロードショーとなる。今作のヒロインに抜擢されたのは、オーディションで12万人のなかかから選ばれた新人女優リン・ユン。チャウ・シンチー監督作のヒロインは“星ガール”と呼ばれ、無名の新人が1作でスター女優に駆け上がるのが恒例だが、リン・ユンの今後の活躍にも注目が集まる。

　映画『人魚姫』は、人間の世界と人魚の世界に住む男女のロマンシング・アドベンチャー。若き実業家リウ（ダン・チャオ）はリゾート開発のため、美しい海を買収し埋め立てるプロジェクトを進めていた。環境破壊のせいで絶滅の危機に瀕していた“人魚族”は幸せな日々を取り戻すため、可憐な人魚シャンシャン（リン・ユン）を人間に変装させ「リウ暗殺作戦」を決行するが、シャンシャンとリウはお互いに惹かれあってしまう。しかし二人の募る思いとは裏腹に、人魚族と欲に駆られた人間たちによる激しいバトルが勃発してしまう…。というストーリー。

　チャウ・シンチー監督作で毎回注目を浴びるのが、通称“星ガール”と呼ばれるヒロイン役の女優。無名の新人をヒロインに抜擢し、1作で人気スターへと輝かせるのが恒例。『喜劇王』（99年）ではセシリア・チャンを、『カンフーハッスル』（04年）ではホアン・シェンイーをブレイクさせている。

　今回、ヒロインの座を射止めたのは、12万人が参加したオーディションで選ばれた新人女優、リン・ユンだ。長い黒髪に華奢で清楚なルックスの彼女は、まさに“人魚姫”のイメージそのもの。モデル活動をしていたものの、この映画まで演技経験はなかったという。しかし本作ではひどい不細工メイクで登場したり、顔にウニが刺さったりと体を張ったコメディ演技も見せている。一方で、ダン・チャオ演じる実業家リウとの禁断のラブロマンスでの、女性もうっとりするような儚げな表情も必見だ。

　チャウ・シンチー監督は、抜擢の理由について「野生動物のようで、未知の可能性を感じたから」という。さらに「ヒロイン選びにはたくさんの選択肢がありましたが、リン・ユンをオーディションしたときに、彼女だけ他の候補者にはないある種の感覚があり、自分の思い描いたヒロイン像に一致しました。リン・ユンはコメディに才能があり、本作の中でもその演技力が十分に発揮されていると思います」と絶賛している。

　華々しいデビューを飾ったリン・ユンは、華鼎奨最優秀新人俳優賞、ニューヨークアジア映画祭アジア新人賞を獲得するなど、早くもその才能が広く認められている。チャウ・シンチー映画から羽ばたく華麗なる“星ガール”に、また一人、逸材が加わった。映画『人魚姫』は1月7日より『2017冬の香港・中国エンターテイメント映画まつり』として、シネマート新宿ほかにて全国順次公開。