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2016/09/17 07:01
*pnish*結成15周年に送る15作目の本公演『サムライモード』 森山栄治×鷲尾 昇×崎山つばさが本番への想いを語る
今年で結成15周年を迎える、佐野大樹、森山栄治、鷲尾 昇、土屋佑壱による演劇ユニット*pnish*が、15作目となる本公演『サムライモード』を9月24日より上演。2008年に上演し、好評を博したオリジナル作品の再演となる今作は、彼らの持ち味である“演劇初心者でも楽しめるアクション喜劇”という軸はそのままに、脚色・演出に、前作・舞台版『魔王 JUVENILE REMIX』から鈴木勝秀を迎え、今注目を集める若手俳優や実力派俳優を加えて、新たに描く*pnish*オリジナル活劇。*pnish*のメンバーでもある森山と鷲尾に加え、「ROCK MUSICAL BLEACH」〜もうひとつの地上〜などの人気作に多数出演している若手俳優・崎山つばさに、本番への意気込みを語ってもらった。
【*pnish* vol.15『サムライモード』森山栄治×鷲尾 昇×崎山つばさ インタビュー】
――結成15周年という節目の年に、*pnish*オリジナル戦国活劇『サムライモード』を再演。どのような想いがありますか?
【森山栄治】「男くさくて、殺陣もあり、お笑いもあり、エンタメ要素が詰まった作品なので、15年間活動してきたなかで『サムライモード』が一番*pnish*ぽいんじゃないかなと。“『サムライモード』の続編みたいなものをやってもいいかもね”という話もあったんですが、初演から時間も経っているし、15周年という節目の年に、初演を振り返ってみるのもいいんじゃないかという話になりまして」
【鷲尾 昇】「『サムライモード』は、メンバーみんなが大好きな作品なんです。うちらがやってきたモードシリーズの1発目でもあって、エンタメの要素とシチュエーションコメディの要素が詰まっていて、観た後に単純に“楽しかった〜”ってなってもらえる作品。難しい時代劇というわけでもなく、ただ世界が“サムライ”というだけで、基本は面白くて楽しい作品で、自分たちも気に入っている作品なので、選んだっていうのもあります」
――15周年を迎えて、原点回帰という意味合いもあると。
【森山栄治】「そうですね。ただ、初演は初演で、同じ作品をやってもまた違うものになると思います。再演を意識せず、初演のつもりでやろうという感じです」
――*pnish*作品への参加が初となる崎山さんは、この作品についてどんな印象がありますか?
【崎山つばさ】「初演はDVDで拝見させていただいたんですが、すごく面白くて惹きつけられました。僕が作品を観ていてそうなったように、出演者としてここに入ったときに、惹きつけられるような芝居ができればなと思いました。*pnish*のみなさんのお芝居を間近で見れるというのも貴重な体験ですし、そこからいろいろと得て、自分なりに新しい『サムライモード』を表現できたらいいなと思っています」
――それぞれ演じる役柄を教えてください。
【森山栄治】「僕は佐藤永典くんが演じる羽生凌明に仕えている『橘』というサムライを演じます。初演のときも橘を演じたんですが、初演のときは、“年上のおじさん”という設定でやっていたんです。でも、今回は違ってもいいのかなと思っていて、今は模索中な状態です。自分としてはそんなつもりは全然ないんですけど、どうしても前回の橘をなぞっている自分がいて。”凌明に仕えているサムライ”という部分に違いはないけど、どういう癖があって、どういう人物像なのかは、これから改めて作っていこうと思っています」
【鷲尾 昇】「僕も初演と同じ、羽生家と敵対する伊那家の重臣『シスイ』を演じます。舞台上には出てこない上様に対して、恩義を感じて、“この人に付いていく”という信念を持って邁進していく役柄なんですが、寡黙な役なのでセリフが多くない中で、その信念をうまく表現できたらと思っています。前回やったものだと足りない部分が多いのかなと思っているので、上様の背景もきちんと表現できるようにしていきたいなと」
【崎山つばさ】「僕が演じる『ナミキヨ』は、佐野大樹さん演じるサイガに仕えている人物なんですが、サイガ様が大好きで忠誠を尽くす、“三度の飯よりサイガ様”みたいな、そんな真っ直ぐなサムライです。サイガ様に対してだけではなく、シスイ様のことをどう思っているのかとか、ナミキヨがそれぞれの役に対してどう感じているのかも大切にして、彼はどうやって育って今に至っているのかなども自分なりに見つけてやっていきたいと思います」
――稽古場はどのような雰囲気ですか?
【森山栄治】「緊張感はありますね。*pnish*としては、スズカツ(演出家・鈴木勝秀)さんと前回(vol.14『魔王 JUVENILE REMIX』)一緒にやっているので、なんとなくの空気感はわかっているんですが、スズカツさんの演出が初めてというキャストは、僕らが前回感じたカルチャーショックをきっと感じているんじゃないかなと。というのも、稽古時間が短いんですよ。芝居を1回も繰り返さないんです。1回やったら、”はい、OK”みたいな……。『もっとこうして』とか言われないので、みんな焦るんですよね。絶対に今の状態でOKなわけがないし、”俺、ここできてないな”とか、みんながみんな自分で宿題を持ち帰って考えてくるという形なので、そういう意味での緊張感はすごくあります」
【鷲尾 昇】「『稽古は僕の場合短いです。考える時間は帰ってからいっぱいあるから、自分でやってきてください』というスタイルで。スズカツさんは集中力がハンパないんです。演出家として作品に向き合っている感じがビンビン伝わってくるので、役者のモチベーションも統一になる感じがします。本番のときって、みんな集中してモチベーションあがるのは当たり前だけど、稽古場でも毎日ピンと張りつめているから、本番を何本もやったような感覚に。本公演は十数回だったけどものすごい数やってるなっていう感じでした」
――それぞれ役者としての印象もお聞きしたいのですが、まずは崎山さんの役者としての印象は?
【森山栄治】「僕はこの前の「ROCK MUSICAL BLEACH」〜もうひとつの地上〜を観に行って、その1回しかつばさの芝居は見てないんですが、器用な役者さんだなっていう印象です。ナミキヨもそつなくやってくれるだろうなって思っているので、不安は特にないですね。聞いたら、役者始めて3年目なんだよね? 3年目の俺と比べたら、明らかにつばさのほうが優れているなって思いました(笑)」
――「ROCK MUSICAL BLEACH」といえば、森山さんも以前、崎山さんと同じく、阿散井恋次を演じられていましたよね。
【森山栄治】「そうなんですよ。初代・阿散井恋次を演じていたので、ひどかったら『いい加減にしろよ』って文句でも言ってやろうかと思っていたんですけど……全然言うこともなく(笑)」
【崎山つばさ】「栄治さんが観に来てくださってので、『何か言葉をください!』って言ったら、恋次が使っている大きい刀の『蛇尾丸(ざびまる)』の扱い方を教えてくれました」
【森山栄治】「こうしたら楽だぜっていう、楽の仕方をね(笑)」
――なるほど(笑)。鷲尾さんは崎山さんに対してどんな印象を持っていますか?
【鷲尾 昇】「僕も数回しか見てないんですがキャラクターになりきってのお芝居の印象があって、『孤島の鬼』でストレートな芝居をみたときに、こういう芝居もできるんだって単純に思ったし、ふり幅が結構あるなと感心しました。今回はコメディな部分も多いから、どういう新しい一面が見られるのか楽しみですね」
――そんな崎山さんから見て、先輩お二人の印象は?
【崎山つばさ】「(森山)栄治さんに関しては、一番最初に観たのは、ランドセル背負って、黄色い帽子かぶっていて……」
【森山栄治】「ん??」
――それは、2014年の『ネルフェス』でのこと?
【崎山つばさ】「そうです!」
【森山栄治】「それは、俺だけじゃないでしょ。*pnish*みんな同じ格好してたわ!(笑)」
【崎山つばさ】「その印象がすごく強くて。普段からこういう格好する人なんだな〜って」
【森山栄治】「するわけねーだろ!」
【崎山つばさ】「冗談です(笑)。それこそ「ROCK MUSICAL BLEACH」で恋次をやられていた方なので、森山さんが出られていた時の公演DVDをものすごく観ましたし、研究して、盗んで……ずっと栄治さんのことを観ていました」
【森山栄治】「だから、あんなに歌上手くなったんだ〜。なるほどね、俺の影響なんだね。そういうことか〜」
【鷲尾 昇】「なんでだよ!(笑)」
【崎山つばさ】「そういうことにしておきます(笑)。でも、自分の中では恋次をやっていた方と一緒にやれるというのは本当に光栄なことで。自分が栄治さんと一緒にやることによって、何かを得た分、こっちからも何かを伝えられたらいいなって思いますし、面白い関係というか、僕にとっては貴重な存在です!」
【森山栄治】「役者始めて3年目で、こんなこと言える?」
【鷲尾 昇】「俺なんて、ボックス(ステップ)も踏めなかった。これ、本当だからね(笑)」
――では、鷲尾さんについてはいかがですか?
【崎山つばさ】「「コミックジャック」を観させていただいたとき、すごく面白い役を演じていて。ワッシーさん自身も面白い人ではあるんですけど、舞台上だとそれがより爆発するというか、『黄金仮面』を拝見したときもまた別の面白さがあって、ワッシーさんの味みたいなものをすごく感じたんです。いつか共演したいなって思っていた役者さんだったので、今回念願の共演ということで、すごく嬉しくて。でも、今回ワッシーさんが演じるのは、そういう面白い要素は一切出さないシスイという役なので、僕にとってはそれが新鮮ですし、一緒に芝居するのが楽しみです!」
――『Deview』という媒体なので、改めてみなさんが役者を志したきっかけをお聞きしたいんですが。
【森山栄治】「僕は19歳のとき、大学に行くつもりで浪人生活をしていたんですが、仲の良い友達に、映画制作のアシスタントをやっているやつがいて。映画とか携わった作品の話をよくしてくれていて、『栄治だったらこういう役やったらいいと思う』とか言われたりして、“あ、そう? 俺だったらそんな感じかな?”みたいな。それで、だんだんと『お前、役者やってみたら?』って言われるようになって。そいつは映画監督になることが夢だったので、『俺がいずれ映画を作るから、お前は役者になって、俺の作る映画の主演をいつかやれよ!』っていう話になり、“いいね、それ!! じゃあ、やってみるわ!”って、この世界に入ろうと決意した感じなんです。それで、親に「大学に行くのを辞める」って話して、そいつにいろいろと聞いて、『デ☆ビュー』で見つけた養成所に、履歴書出したことがきっかけです」
――鷲尾さんはどんな経緯だったんですか?
【鷲尾昇】「僕は人前が苦手でシャイだったので、全然こういう世界に入るとか思っていなくて。きっと当時の僕を知っている人たちは“まさか!?”って思っていると思います。でも、その反動なのか、“出たい”という想いもあって。でも、親にもそんなこと言えるわけもなく……。それで、スタッフ側の裏方とか学ぶ専門学校に行ったんです。でも、就活が目の前に迫ってきたときに、自分の性格上、このまま就職したらずっとそこに勤めて終わるなって思って。初めて親に想いを話して、専門学校を途中で辞めて、フリーターになったんです。それで、どうしたらこういう世界に入れるのか調べていたときに、僕も『デ☆ビュー』を見つけて、養成所に応募したことが始まりです」
――お二人とも『デ☆ビュー』がきっかけだったんですね。
【鷲尾 昇】「しかも、最初に入った養成所に(*pnish*のリーダー・佐野)大樹っちゃんもいて。週1のレッスンにお金払いながら通っていたんですが、何もできないくせに“ぜんぜんメディアに出してもらえないな”と思って、半年くらいでそこを辞めてしまったんです。大樹っちゃんとはそこからずっと音信不通だったんですが、2年くらい経ったときに、急に大樹っちゃんから電話かかってきて、『劇団を立ち上げるから一緒にやらないか』って言われて。それが*pnish*の前身の劇団だったんです」
【森山栄治】「へ〜。その話初めて聞いた。俺らが出会ったとき、二人が同じ養成所に通ってるもんだと思ってた。同じ養成所で出会って2年も空いてたんだね。あと、あの当時、ワッシーは海老名のヤンキーだと思ってた(笑)」
【鷲尾 昇】「VネックのTシャツに金の太めのネックレスしてたね」
【崎山つばさ】「え〜〜〜!?」
【森山栄治】「で、この濃い顔面でしょ?(笑)。もう怖くて、“うわ〜こいつと一緒にやるんだ”っていう感じだった」
【鷲尾 昇】「土屋も栄治もそのとき『はじめまして』だったけど、そんな人たちが半年後には舞台に立ってたからね」
【森山栄治】「勢いしかなかったもんな。なつかしいな〜」
――*pnish*結成前の懐かしい話も飛び出しましたが、役者3年目の崎山さんはどういうきっかけでこの世界に入ったんですか?
【崎山つばさ】「僕はテレビっ子で、クラスでワイワイして人を楽しませるのが好きな子ではあったんですが、こういう世界に入るとは思っていなくて。家も田舎だったし、東京にもあまり来たことがなくて……。それで、20歳のときに原宿に買い物に行ったときに、美容師の方に声をかけてもらって、そこから読者モデルのお仕事をさせてもらうようになって」
【森山栄治】「スカウトだよ!*pnish*が一度もされたことがない、スカウトだよ!!」
【崎山つばさ】「最初は怖かったので、断ったんですけど、でもいろんな美容師さんがいて、言葉巧みに誘われて……」
【森山栄治】「1回断ったけど、また別の人にスカウトされたってこと?」
【崎山つばさ】「それもありました」
【森山栄治】「ほら、コレ……(鷲尾と目を合わせる)」
【崎山つばさ】「違うんですよ!(笑)。きっと若い男を手当たり次第に声掛けてるっていう感じなんじゃないですかね?」
【森山栄治】「(鷲尾に向かって)ラフォーレ前とかにいたことあるでしょ?」
【鷲尾 昇】「あるね」
【森山栄治】「俺もいたことあったけど、誰からも声かけられなかったわ!」
――そんなことがあったんですね(笑)。崎山さんは読者モデルがスタートということですが、“役者を目指そう”、“芝居をやりたい”と思ったきっかけは?
【崎山つばさ】「読者モデルをやっているときに、今の事務所に声をかけていただいて、所属することになったんです。事務所に入ったときは、最初モデルをやりたいなって思っていたんですけど、事務所の先輩の舞台を観に行って、“こういう世界もあるのか”と感銘を受けて。映画とかドラマは好きで見ていたけど、舞台を観たことがなかったので、その先輩の芝居を見て、“おもしろそう、自分もやりたい!舞台に立ちたい!”と思ったことが、役者をやりたいと思ったきっかけです」
――そんなみなさんが思う、“舞台”の魅力とは?
【崎山つばさ】「役者もそうですが、舞台を作る音響さんや照明さんなどのスタッフさんも、みんなで1つの舞台を作ろうという同じベクトルで作品を作っているのが、すごくステキだなって思います。それと、舞台は生ものなので、その日、その回によって芝居が違っていて、それが楽しさでもあり怖さでもある。人と人で作る化学反応じゃないですけど、それが魅力的な部分だと思います」
【森山栄治】「*pnish*を作ったときに、初めて舞台を観た人でも笑って楽しめて、舞台を観終わったあとに“あれってどういう意味だったんだろう?”みたいな疑問点が1つも浮かばないような作品創りをしようと話して。それは今回の『サムライモード』にも通ずるものがあって、舞台を観たことない人でも楽しめる作品だと思っているので、まだ舞台を体験したことない人にも観に来てほしいなと思います。特に役者を目指しているのであれば、ドラマや映画を観たりするのを同じ様に、舞台もいっぱい見てほしいですね。難しい作品とかもいろいろ見てみて、自分の中で“これは面白い”“これはつまらない”とか、そういう風に思うことが大事だと思うし、いろんな作品に触れることで、自然と自分が成長していくと思うので、ぜひ舞台作品も見てください」
――では、最後に、芸能界デビューを夢見る『Deview』読者へのメッセージをお願いします。
【鷲尾 昇】「僕自身、よくそういう決断をしたなって思うんです。道から外れたことがなかったし、義務教育を経て、専門学校行って、そのまま就職するんだろうなって思っていたので、親に『専門学校辞める』って言うことだけでもすごく勇気が必要だった。専門学校辞めてフリーターになったときは、これから先どうなっちゃうんだろうってすごく怖かったし、“出たい”という想いだけだったけど、そこで行動したからこそ、今があると思います。舞台を知らなかった僕でも、やりながら楽しさを覚えていったところがあるので、そういう想いがあるのであれは、まずは勇気を出して行動してみてください!」
【公演概要】
*pnish* vol.15『サムライモード』
東京公演:9月24日(土)〜27日(火)サンシャイン劇場
神戸公演:10月1日(土)、2日(日)新神戸オリエンタル劇場
チケットは好評発売中
脚本:*pnish*
脚色・演出:鈴木勝秀
CAST:*pnish* (土屋佑壱 鷲尾 昇 森山栄治 佐野大樹)/
佐藤永典 崎山つばさ 川上将大/津村知与支(モダンスイマーズ)/
石川正人 Hayato(WEBER) 岩 義人/宮川康裕 細川晃弘 久田悠貴/
藤原一裕(ライセンス)/鳥羽 潤
公演HP: http://www.nelke.co.jp/stage/pnish_vol15/