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2016/06/16 20:33
浜野謙太&中田亮、ファンクの帝王ジェームス・ブラウンのドキュメンタリー映画で熱いトーク
ジェームス・ブラウンのドキュメンタリー映画『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』の先行上映イベントが15日、渋谷アップリンクで開催され、オーサカ=モノレール・中田亮、在日ファンク・浜野謙太がトークショーを開催した。
今作はザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーがプロデュースを手がけ、米アカデミー賞受賞の社会派・アレックス・ギブニーが制作。ジェームス・ブラウンの権利を管理するジェームス・ブラウン・エステート所蔵の資料を自由に閲覧できる権利を得て、多くの貴重映像を発掘。JBドキュメンタリーの決定版と呼べる仕上がりになっている。
トークショーに登場した中田亮は、一貫して「68年〜72年のFUNKサウンドを蘇らせる」ことをテーマに活動する「オーサカ=モノレール」のボーカル。海外でも高く評価され、今春ヨーロッパツアーを成功させたほか、JBゆかりのアーティストとも多数共演。この映画の字幕監修も手がけている。浜野謙太はJBの流れを汲むファンクの日本に在りながら再認識する、ディープファンクバンド「在日ファンク」のボーカル兼リーダー。近年はNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に出演するなど、俳優・タレントとしても活躍中だ。
タイトなスーツにJBばりのステップで登場した二人。たった今映画を観たばかりの観客に向けて、中田は「皆さん疲れてると思うんですよ。僕字幕監修やったんですけど、ずっと喋り通しでしょ(笑)。情報量がすっごい多いんですよ。これだけ表層だけじゃなくて、舞台裏のこと、個人的なこと、政治のことまでディープに掘り下げたドキュメンタリーは無かったと思います」とレコメンド。
ジェームス・ブラウンが音楽の歴史を変え、黒人社会に多大な影響を与えた偉大な存在であることを大前提として、JBを敬愛して止まない二人のぶっちゃけトークが続く。中田が話していた「ジェームス・ブラウン、ホントにオルガン上手いのか?」説について浜野が改めて問うと、中田は「30年間研究した結果として、JBは楽器は弾けない、ドラムもむちゃくちゃ。でも、みんなに上手いと思わせるパワーがある」という結論に達したようだ。
JBと近しかった人たちとの交流もある中田からは、単なる偉人ではない複雑な人物像についての裏話が次々と語られる。そんな話を聞きつつ浜野は「そこが人間ぽいというか、パワーにもつながっていると思うんです。映画『ソウルパワー』を観たときに“ジェームス・ブラウン最高だな”って思ったのが、たくさんの黒人ミュージシャンが出演するライブに、最後JBが出てきて、仲良くフェスを作るんじゃ無くて『ぶっつぶす! こいつらの上に立つ』みたいな。そういう勢いがすごく好きなんです」と魅力を再認識していた。
そしてJBから影響を受けたことを聞かれた浜野は「才能があると思わせる、殿様になる感じが大好きで。僕はビッグバンドもやっていたんですが、封建的なボスのいないビッグバンドはダメなんです。その点オーサカ=モノレールはエラそうな人がいるからいいなって(笑)。僕もJBを踏襲したかったんですけど、クーデターが起きまくって…(笑)。でも僕らは在日ファンクということなので、日本の首相みたいにコロコロ変わる頼りない感じでもいいかなって」とエピソードを明かして笑わせる。中田が「リーダーになる人が、必ずしも音楽的に一番上手である必要はないわけやから」とフォローすると、「あっ! いただきました!」と元気を取り戻していた。
そのほかにも、映画のコアな部分でもあるJBの当時の政治との関わりについての言及や、曲の繋ぎやダンスパフォーマンスに対するJBオタク的なこだわり、そして日本のシーンのなかでのファンクバンドの立ち位置についてなど、硬軟とりまぜた話題が次々に飛び出していく。二人が語っても語っても語りつくせない、ジェームス・ブラウンの魅力がさらに浮き彫りとなった夜だった。
映画『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』は6月18日(土)より、角川シネマ新宿、シブヤアップリンク、吉祥寺オデヲンほか、全国順次ロードショー。