バナナマン、東京03など人気芸人のコントを手掛ける構成作家のオークラが上演台本・演出を手掛ける舞台「〜崩壊シリーズ〜『九条丸家の殺人事件』」が、8日より東京・俳優座劇場にて開幕。前日の7日にはキャスト陣が登壇し初日挨拶と公開ゲネプロが行われた。

　同作品は、2015年英国オリヴィエ賞最優秀コメディ賞を受賞し、現在もロンドンでロングラン上演中の話題作。日本初上陸となる今作は、海外原作の舞台では珍しく、ストーリー、登場人物も日本の設定として上演される。物語の舞台は、これまでまともな上演をしたことがない劇団「荻窪遊々演劇社」。そんな劇団に個性豊かな役者たちが終結し、満を持して上演する“殺人ミステリー劇『九条丸家の殺人事件』”の開幕初日。セットのドアが開かなかったり、舞台上にあるはずの小道具がなかったり、役者がセリフを間違えたり、音響＆照明のスタッフが場違いなBGMを流したり、舞台本番中にまさかのアクシデントが立て続けに勃発。それでも必死に芝居を続けようとするが、次から次へと問題が起こり、舞台上は大混乱に陥る。

　タカラジェンヌへの憧れが強く、1つ1つ大げさな芝居をする元キャバ嬢や、いちいちキメポーズを繰り出す元ホスト、セリフが覚えられない無職のおじさん、本番中にも関わらず舞台上で痴話喧嘩を始める劇団団長と舞台監督など、バラエティに富んだ個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる、抱腹絶倒のドタバタコメディ。次々と目の前で起こる予測不能なハプニングに、思わず笑ってしまう展開が盛りだくさんで、観るものを飽きさせない。

　マスコミ向けに行われた初日挨拶には、山崎樹範をはじめ、松下洸平、上地春奈、久保田秀敏、伊藤裕一、大水洋介（ラバーガール）、長谷川忍（シソンヌ）、彩吹真央、梶原善の全キャストと、上演台本・演出を手掛けたオークラが登壇。

　劇団団長を演じる山崎は「気持ち良く笑っていただいて、すっきりして帰っていただける舞台」とアピール。松下は「ここ数年、舞台ではわりとシリアスな演目が続いていたので、笑いについてたくさん考えてやりました。こんなに初日が開けるのが怖い舞台はない」とやや弱気な発言をしつつ、「自分たちが作ってきたことが正しいか正しくないかは本当にお客さん次第なので、笑っていただけたらと思います」とコメント。久保田は「台本を読んだだけですごく面白くて、これは間違いなくお客さんも楽しめる舞台だなと思っています。やっと初日が開くので、気を引き締めて、頑張ってお客さんを楽しませようと思います」と意気込む。

　シソンヌ長谷川とWキャストを務めるラバーガール大水は「長谷川さんとWキャストということで、見た目もまったく違うので、違う感じもみてほしい。最終的には『お前の方が良かったよ』って、いろんなところから言ってもらえるように頑張ります」と語り、最後に「長谷川さんがミスしてくれれば最高です」とジョーク交じりにコメントすると、すかざす長谷川は「最低か！」とツッコミ、梶原は「いいコメントだ」と称賛。

　それに対し長谷川は「見た目が違うと言っていましたが、”東洋の妖怪”か”西洋の化け物”かの違いしかない」と語って笑いを誘い、お互い全然違うアプローチになっているので、両方観に来ていただければ、2回楽しめると思う」とコメント。その後、松下のコメントをパクって「ここ最近自分もシリアスな役が多かったので、今回こういうコメディという新しい扉を開けてくれたオークラさんに感謝……」とボケ始めるも、梶原がズボンを何度も叩き、大きな音で邪魔をされてしまう。さらに山崎から「今のところ大水さんバージョンの方が面白い」と言われ、長谷川は共演者からイジりまくられる結果に。

　笑いの絶えない初日挨拶のなか、彩吹は「こういう雰囲気のなかで、お稽古が始まってから今日まで毎日笑って過ごしてやってきました」と語り、「今回、初めて元キャバ嬢の役を演じさせていただきますので、精一杯頑張りたいと思います」とコメント。日本版の上演台本・演出を担当したオークラは「ロンドンで賞を獲った作品ということですが、そういう触れこみとは全く違って中身のない作品です」と自虐的に話しつつ、「目の前にある現象を笑ってくれれば、この舞台は成功なので、期待しても中身はないですけど、面白いと思います」と語り、初日挨拶を締めくくった。

　「〜崩壊シリーズ〜『九条丸家の殺人事件』」は、4月8日（金）〜24日（日）俳優座劇場で上演。その後、名古屋公演が4月24日（水）日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール、大阪公演が4月29日（金・祝）シアターBRAVA！、福岡公演が4月30日（土）、5月1日（日）イムズホールにて上演される。