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2015/10/28 17:26
落合モトキ、花影香音が小劇場俳優とコラボ 『サヨナラサイキックオーケストラ』上演
イトーカンパニーの所属俳優と、小劇場を中心に活躍する俳優がコラボする舞台『サヨナラサイキックオーケストラ』が11月3日より公演。同舞台の稽古中の落合モトキと花影香音がインタビューに答え、作品の見どころを語った。
『サヨナラサイキックオーケストラ』は劇作家・中嶋康太(Mrs.fictions)の処女長編を劇団競泳水着の上野友之が演出する舞台。暑い暑い夏の日、地球に小惑星が接近し、各国が連帯した宇宙空間での撃墜作戦が進行していた。地球滅亡の危機が迫っているようには見えない都内の雑居ビルの屋上に、「超能力者」たちが集まってくる。 撃墜作戦が失敗した際に地球を救う、最後の砦として……。しかし彼らの能力は実効性も信憑性も薄いもの。投げやりな空気がピークに達したとき「撃墜作戦、失敗」の知らせ。 地球滅亡が決定的となったとき、彼らがとる行動とは……というストーリー。
この戯曲を最初に読んだときは「分かったようで全く分かってなかった」という落合。しかし「役者が集まって稽古で形になっていくと、見えてなかったところがどんどん見えてきて、今はすごく面白い」と中嶋戯曲に魅せられているよう。「その一言一句にすごくリアリティがあって、倒置法を使っているような文章もあれば、すごい個性的で濃ゆいなというところもある。文字どおりに進まないとテンポが悪くなるところもあるので、一言一句必死に覚えています。この台本をちゃんと再現できればいいなと思っています。最初は『SF』というのを理解するのは難しいかもしれないですけど、それは背景だと分かっちゃって、ただそれだけなんだって思ったら楽しめますよ」
一方、本格的な劇場での舞台は今回が初となる花影。「私は自分の人生に後悔がある魔美という女子高生の役です。家や学校のことでいろいろ悩んでいるんですけど、その姿が、私が上京したてで学校が好きになれなかった高校1年生のころと重なって、共感できる部分がすごく多いですね」と、すでに役にシンクロしている。最初は「人見知りを発動」したようだが、「稽古前に行うゲームやアップをしながらだんだん皆さんとの距離が近くなって楽しくなってきて、和気あいあいとした現場になっています。事務所の先輩の岩井七世さんにもセリフのおぼえ方など、いろいろとアドバイスをいただいています」と話す。そんな花影を「セリフを初日から全部覚えて、台本を持たずに稽古に臨んでいるのですごいと思いますよ。朝学校に行ってから稽古してっていうのを繰り返しているのも大変だと思う」と落合も認める。
映画やドラマで主に活躍する俳優と小劇場の俳優の顔合わせとなる舞台だが、徐々に“劇団感”が強まっている。「稽古期間が長いのが舞台は面白い。稽古場で右往左往したいろんなことを、本番の舞台では厳選して人前で見せるという、丁寧なもの作りだなと思います。今回、演出家の上野友之さんは年齢もそれほど上じゃなくて、聴いてきた音楽も一緒という世代。お話をしていても柔らかい感じの方なので、いい意味で毎回稽古で好き勝手いろいろやっているので、それがどういう形に固まっていくのか楽しみですね」(落合)
この作品で見てほしいところについて「一人ひとり、人生のなかで抱えているものがあって、それを隠しながら生きていると思うんです。そういうことも全部ひっくるめて後悔せずに人生を過ごすってどういうことなのかな…と私自身が稽古をしながら考えていたりもして。作品の中に込められた様々なメッセージをそれぞれに感じてもらえればいいなと思います」と花影。
落合は「世界が終わるときに超能力者が集まる、そこだけ聞いたらどんな舞台なんだって思うかもしれませんが、何も特別なことはしていないし、超能力でスプーンが曲がったりする演出もないですし、人が地球の終わりの一日を知らない人たちと一緒に過ごして、そこでどうなるかっていう展開なんです。それぞれに抱えている悩みを、地球の終わりというタイミングで人に言う勇気がもてたり。観ている方も、普遍的な日常のなかに幸せがあるんだなと感じてもらえる作品です。音楽にすごくこだわっているし、11月に夏の設定の舞台というのもいい雰囲気をかもし出していて、最後にはいいものを観たなって思って劇場を後にしてもらえると思います」とアピールした。
『サヨナラサイキックオーケストラ』は11月3日から11月8日、シアター風姿花伝にて上演。