ニュース
2013/05/02 18:51
“止田(トメダ)さん”でおなじみ、俳優・中村龍介の最新舞台、8日から初日
興和(株)『トメダインコーワフィルム』CMの“止田(トメダ)さん”役でもおなじみで、舞台を中心に俳優として活躍する中村龍介が、8日初日の舞台『ラジオスターの悲劇』に出演する。今回、舞台に臨むにあたっての意気込みや、役者の仕事へのこだわりについて語った。
とある地方都市のラジオ局の人気番組。大人に絵本を読み聞かせることを目的にした番組が、最終回を迎えようとしていた----。
毎公演日替わりゲストが演じるラジオDJと、その中で展開するラジオドラマで構成される、朗読と演劇を掛け合わせたステージ。人生に舞い込む突然の不幸、絶望と寄り添って生きていくための処方箋を提示する。
この作品で中村が演じるのは「ラジオDJが読むファンタジーの劇中劇のメインの役」。「勇者が魔王を倒すという物語で、勇気のない勇者という役柄です。僕はルックス的に怖いと思われるのか、これまで悪役が多かったんですけど、正義の味方側のメインを張るのは初めてなので、毎日が新しい挑戦です。やってないことをやりたい時期なので、芝居を考えるがほんとに楽しいですね」
役者の仕事を始めて約4年半。ペースをつかみ始めて、今は新たなことに積極的にチャレンジしたい時期かもしれない。「飛躍することは常に頭においているんですけど、一歩一歩行かなきゃと思いますね」と話す。
「今の課題は臨機応変に対応できるようになること。映像の仕事をやったときに『即興性がない』と言われたことがあるんです。舞台だと、たとえば1ヶ月くらいかけて作り込んでいくのですが、映像の作品で、演じる時に自分の芝居プランをいくつか用意するのですが、『それ違う』『それも違う』と言われると、『ああ、どうしよう!』と思ってしまいます。
舞台の場合は、稽古で試せるじゃないですか。『これないかな』と思って試しに演じてみると、意外とはまったり…。稽古中に思いつく芝居は全部やってみて、それを演出家に見せて、ダメなら成仏させるという感じです」
今回は劇団『少年社中』の15周年記念の公演。「この劇団に客演させていただくのは3作目で、キャストはほぼ顔なじみです。なので、稽古初日は『おかえり』という感じでしたね」
また同じ事務所の先輩女優・桂 亜沙美とも共演。同じ事務所の女優との共演は初めてという。
「いろいろと勉強になります。異性だし、何を真似するということではないけど、こういうアプローチは俺にはないなと感じさせられたり…。亜沙美さんと二人だけの芝居は、どのキャストとよりも一番緊張します(笑)」
まもなく舞台本番を迎えるが、「特に緊張ということはないですね」という中村。
「緊張したのは初めての舞台くらい。もともとダンサーとして5万人の前で踊っていた経験もあったので、その人数より少ない空間では緊張しないと思っていたんです。でもいざステージに立ってみると『あれ、セリフが出てこない!』って。
ダンスは自信をもってやってたし、『俺かっこいいでしょ!』という提示の仕方もできる。芝居に関してはまず見せ方がわからない。時にはかっこ悪い場面を見せなければならない時もある。それも恥ずかしいという思いもあって…」
中村のキャリアのスタートは17歳の時。「17歳でダンスを始めて、19歳で上京して、アーティストさんのバックダンサーを23歳までやっていました。でも5万人のお客さんがいても、自分を見てくれるのは5万人じゃない。1人か2人か。そしてダンサーを続けたら、その環境は変わらないと考えていた時に、今の事務所からいただいた仕事に受かることができて…」
「初めての舞台で打ちのめされた」という中村。「千秋楽が終わって、すごく後悔が残ったので『またやらせてください』と劇団のみなさんに頼んで…。それで次に、60人くらいの劇場の舞台で主役をやらせてもらったんです。稽古期間が10日もないような作品で、毎日集中しているうちに、どっぷりはまっていきました。まだ浅はかな自分なりのアプローチでしたが、自分が発するセリフでお客さんが泣いたり笑ったり、小さな劇場だから、一列目のお客さんがすごく近くなんですけど、その反応を見て『これだ!』と思いました。また演劇ではダンスも活かせるじゃないですか。300人の小屋でも、僕がセンターで踊れば、300人みんなが僕を見てくれるじゃないですか。東京ドームでバックダンサーをしているよりも、見てもらえる率は高い(笑)。武器をすべて活かせる職業だなと…」
その後は役者としてのキャリアを一歩ずつ重ねてきた中村。そんな彼の役者としてのこだわりは---。
「どう演じればお客さんの心を動かせるかということは常に考えています。周りの役者さんたちの芝居への取り組みに影響を受けてる部分もありますね。バイト行きながら稽古に来てる方が多いですが、でも僕はこの仕事一本で、台本を読み込む時間もあるはずだから、僕のほうができないと『お前何やってたんだ?』ということになりますから。特に今回の少年社中の皆さんには刺激を受けることも多いです」
「今は舞台の方が、正直映像より楽しいですね」という中村。「でもゆくゆくは映像も本格的にやりたい。根底には有名になりたいという思いもあるので…」
『トメダイン』のCMに出たことによって、知名度も上がった。CMの顔と舞台での芝居のギャップに驚かれることも多いというが、「振り幅を評価されることはめちゃくちゃ嬉しいですね」と笑う。
最後に、今回の舞台について、「ストーリーテラーであるラジオDJが日替わりゲストなので、どうなるかが全く未知数なんですね。毎日が初日という感じ。そうなると、レギュラーの僕らが、日によって変わるステージに合わせて遊ぶこともできる。日替わりゲストとレギュラー陣がどういう化学反応を起こせるか、楽しみです。
おもしろくならないわけはないので、劇場に来て、観て判断してください!」とアピールした。
舞台『少年社中15周年記念公演第一弾・第26回公演 ラジオスターの悲劇』は8日〜15日、東京・吉祥寺シアターで上演。
中村龍介プロフィール
なかむら・りゅうすけ●1985年2月12日生まれ、福岡県出身。これまで舞台を中心に、映画、ドラマなど俳優として幅広く活躍。興和株式会社 下痢止め剤『トメダインコーワフィルム』の止田(トメダ)さん役で一躍注目。6/7から上演の舞台『BOYS★TALK』にも出演が決定している。