連続テレビ小説『わろてんか』で、ヒロイン・てんを演じる-葵わかな | Deview-デビュー
葵わかな

撮影/草刈雅之 ヘアメイク/吉田美幸 スタイリング/岡本純子

10月2日から放送がスタートした連続テレビ小説『わろてんか』でヒロイン・藤岡てんを演じる女優・葵わかな。明治後期から昭和初期の大阪を舞台に「笑いをビジネスにした日本で初めての女性」となっていくヒロインを体当たりで演じる葵が、クランクインから約4ヵ月が経った現場の雰囲気、てんの役作りと自身の変化、成長について語った。
「笑ってると不思議と疲れも取れるし、周りも明るくなる。てんちゃんに気付かせてもらった、笑いの大切さを伝えたい」
葵わかな
――第1週は幼少期のてん(新井美羽)のエピソードが中心ですが、葵さんへの笑顔のリレーは自然だったと思います。
「台本を見たとき、セリフとして『あははははは』とだけ書かれている場面があって、声を出して笑うのは難しいなと思っていたんですが、美羽ちゃんは、声を出して笑うのが上手で。彼女の演技を見たり、自分でも演じていくうちに、自然に声を出して笑えるようになりましたし、台本のト書きにある『鈴のように笑う』『コロコロと笑う』というさまざまな笑い声にも挑戦しています」
――監督からも、いろいろ表情を変えてほしいと要求されたそうですが?
「自分がどうしてこんなに笑顔輝く役に選ばれたのかよく分からなかったというか…ああ、ネガティブなことを言っちゃいましたけど(笑)。なので輝く笑顔を手に入れるため、最初に監督と『変顔』の練習をしたりしたんですが、今ではいろんな表情ができるようになって、だいぶ笑顔にも馴染んできたかなと思います。普段の会話でも、表情が豊かになったと共演者の方に言われますし。とにかくてんちゃんを演じるには笑顔がキーポイントなので、初めは顔全体を使って笑い、それができたら次は身体全体を使って笑うのを目標にしています。さらに歳を取ってからの笑いにも挑戦して、いろんな笑顔ができたらいいなと思っています」
葵わかな
――てんを演じるのは楽しいとおっしゃっていましたが、性格を自身と比較すると、やっぱり違いますか?
「台本を見たときから、自分とはかけ離れている子だなと思っていました。てんちゃんは楽天的なところがあるんですが、私は結構ネガティブで物事を熟考するタイプなので(笑)。いろんなマイナスの気持ちをポジティブに変換できるのが、てんちゃんの強さだし、そこはぜひ見習いたいと思う部分です」
――日々演じながらてんに近づいているように感じますが。
「以前は“てんちゃんだったらこう考える、でも私だったらこう考える”という受け止め方だったのが、最近はてんちゃんと私自身が混ざり合って、切り離して考えるのが難しいです。この先てんちゃんも年齢を重ね、子供が出来たりと、私が経験したことのない未知の領域に足を踏み入れることになります。どうやって演じればいいんだろうと考え始めたとき、とても不安になりましたが、それはてんちゃんにとっても“初めての経験なんだ、そういうことを一緒に経験して成長すればいいんだと気付いて楽になりました。撮影現場では、共演者さんやスタッフの方々のお陰で、これまでの現場で考えられなかったぐらい笑っているし。この4カ月で(てんちゃんに)取り込まれているのか、(てんちゃんを)取り込んでいるのか、とにかくいっしょくたになっている感じです」
葵わかな
――「取り込まれているのか、取り込んでいるのか」という表現が面白いですね。実際、てんちゃんが自分のプライベートや考え方に影響していることもありますか?
「“どう笑ったらいいか?”と日々考えているからかもしれませんが、前より笑うようになったと思います。これまで自分の笑いの沸点は高くてシビアだと思っていたんですが、本当は沸点が低くて意外と笑い上戸だったのか?って(笑)。ごく普通の日常で起きたことに対して反射的に笑えるようになったような気がします」
――以前、映画『逆光の頃』で「京ことば」を叩き込まれたと聞いていますが、今作も京都の言葉が重要な要素になります。
「クランクイン前からしっかりと言葉稽古をしています。最初はイントネーションや、言葉のどこにアクセントを置いたら、今のこの感情を伝えられるのか分からなかったんですが、今では『京ことば』あってのてんちゃんだなと思います。セリフを覚えるのも早くなったし、簡単なアドリブだったらなんとなく喋れるようになりました」
葵わかな
――記者会見で話しているときも、京ことばのイントネーションがちょっと入っていましたね。
「ホントですか! 普段から出てる気はしますね。スタッフの方からは“エセから始まるんだ”って言われているので、とりあえず『エセ関西弁』を使いまくってます。久しぶりに家に帰ったとき、きょうだいから“エセ関西弁、ウザいんだけど!”って突っ込まれました(笑)」
――元々和のものが好きだったり、京都にハマったりしていたときに今回の役と巡りあうというのは、ちょっと運命的ですよね。
「ずっと着物を着る役がしたくて、時代ものもいつかはやってみたいという思いがあったんです。それが、自分がヒロインの朝ドラで実現するというのは、すごい巡りあわせだなと思います。しかも京都のお嬢様の役だから、すごく着物が素敵なんです! その後の展開で貧しくなったりもするんですけど、とにかくずっと着物を着られるということはなかなかないので、とっても楽しいです」
――ドラマ『舞え!KAGURA姫』のときにも、おでこを上げた髪形がすごく似合ってると思ったんですが、自分ではどうですか?
「ポスターでは髪を上げて撮影したんですが、最近までずっと前髪ありのスタイルだったので、自分でもちょっと別人のような感覚です。丸髷(まるまげ)になったら、急に昔の人になった気がしました」
葵わかな
――てんという人は、夫婦で小さな寄席経営を始めたことで「笑いをビジネスにした日本で初めての女性」となっていきます。自分、そして夫の好きな「笑い」を自分の一生の仕事にしていきますが、そういう部分に、女性として、人として憧れや共感はありますか?
「私自身、今のこのお仕事が大好きです。好きなことを仕事にできるってなかなかないことかもしれませんが、好きだから上手くなることもあるし、好きだから続けられて、つらいことも頑張れるということもあるはずだと思います。てんちゃんは一度崖っぷちに立たされるんですが、そうなったときに、人生を賭けてもう一回何かを始めるとしたら、やっぱり自分の好きな「笑い」を仕事として選ぶというのは、すごくカッコいい、素敵な決断だと思うし、そういうてんちゃんの生き方に共感します」
――現場でも笑いに助けられたと語っていましたが、笑いに対する考え方や感じ方は変わりましたか?
「今までは、自分の好きなときに笑って、笑いたくなかったら笑わなくてもいいという考えで、『愛想笑い』には悪い印象しかなかったんです。でも意外と『愛想笑い』も、誰かを想って笑うことに繋がるのかなって考えるようになりました。例えばすごく辛いときに、まず笑うことで気持ちが軽くなって元気になる。笑ってると不思議と疲れも取れるし、周りも明るくなるし、笑いって自分が思っているより大事なことなのかもって、てんちゃんに気付かされましたね。そういうことをドラマを観ている方々にも、説得力を持って伝えたいと思っています」
Profile
葵わかな(あおい・わかな)●あおい・わかな●1998年6月30日生まれ、神奈川県出身。趣味/宝塚観劇、猫を愛でること。特技/歌。スターダストプロモーション所属。映画『陽だまりの彼女』『くちびるに歌を』『サバイバルファミリー』に出演。『逆光の頃』が全国順次公開中。CM「アート引越センター」「地盤ネット」「mineo(マイネオ)」などに出演。
連続テレビ小説『わろてんか』
2017年10月2日〜2018年3月31日 全151回(予定)
【NHK総合】(月〜土)午前8時〜8時15分/午後0時45分〜1時[再]
【BSプレミアム】(月〜土)午前7時30分〜7時45分/午後11時30分〜11時45分[再]
(土)午前9時30分〜11時[1週間分]
わろてんか
わろてんか
明治後期、商都・大阪が大いに栄えていた時代。京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女として生まれた藤岡てん。いつも周りを朗らかにしながら自分もよく笑う、いわゆる笑い上戸(=ゲラ)の女の子。ところがある日、父から”笑い禁止”を命じられ窮屈な日々を過ごすことに…。
そんな時、笑いをこよなく愛する旅芸人の藤吉(松坂桃李)と出会い、「笑って生きる」ことこそが自分の人生の希望だと確信。運命的な恋に落ちたてんは、親の反対を振り切って駆け落ち同然に藤吉と大阪へ向う。実は藤吉は大阪船場(せんば)の老舗米問屋「北村屋」の長男。簡単に二人の結婚が許されるはずもない。さらに北村屋の危機を救おうとした藤吉が大失敗をして店を傾かせてしまう事態を招く。その時てんは決意する「藤吉さんが好きな笑いを、商売にしてみませんか?」。
その一言から、素人同然の若夫婦が大阪のみならず日本中の人を笑わせるべく、二人三脚の大冒険を始める。

公式サイト: https://www.nhk.or.jp/warotenka/
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